吉と出るか?凶と出るか?

嫌味ではありません。
 
M & A 
 
は、難しいです。
 
結婚と類似しますし、
 
あるいは、
 
お子様を、どこからか、養子に迎え、自分の家族として、育てるのとも、類似します。
 
確かに、売り上げは、超・小さいのに、1兆円も????!!!!
 
と、世間で、非難されたり、
 
また、日本人は、M&A の、やり方を知らないで、
 
金を積むだけだ!
 
って、欧米、投資家たちから、言われておりますが、
 
私は、
 
是非、日立さんが、
 
良い方向に、向かうことを、願います。
 
それにしても、このマックの大きな液晶注文版
 
ロシアにはあるのに、日本では、まだなのですか???
 
 

 

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日立の大変革を先導 米グローバルロジックの実力

日立    新章(1)

 

中山 玲子

日経ビジネス記者日立製作所の新章が始まる。経営トップ3代が10年以上かけた事業構造改革にめどがつき、22あった上場子会社はついにゼロになる。次なる舞台は、DX(デジタルトランスフォーメーション)市場。約1兆円で買収した米社とともに、仏シュナイダーエレクトリックや米アクセンチュアなどライバルに挑む。

連載1回目は、買収したグローバルロジックが、ITソリューションで成長しようとする日立において変革の先導役となり、世界で戦う起点になることを描く。

 

 

■連載予定 

※内容は変更する場合があります

 


(1)日立の大変革を先導 米グローバルロジックの実力(今回)
(2)脱「日立時間」へ 買収企業からアジャイル文化吸収
(3)デジタル人材10万人計画 日立が資格・研修総動員
(4)沈む巨艦に大なた 日立歴代トップが構造改革できた理由
(5)日立の東原会長「サイロを壊し、黒船を呼び込んだ」描いた改革戦略
(6)日立は世界で勝てるか DX、敵はシュナイダーやアクセンチュア
(7)日立の小島社長「GAFAのように俊敏でないと負ける」
(8)日立がグローバルリーダーになるには「多様性が不可欠」伊出身常務

 米国東海岸にあるマクドナルドの店舗。来店客が向かうのはレジでなく、縦長のタッチスクリーンがあるエリアだ。「パティはビーフで、チーズはあり。ピクルスはなしでオニオンはあり……」。画面に沿ってメニューを選ぶ。

 自分好みのハンバーガーを注文でき、嫌いなピクルスを抜いてもらうのにわざわざ店員に説明する必要はない。ストレスなく自分だけのハンバーガーをカスタマイズできる。

グローバルロジックは米マクドナルドのセルフオーダーシステムを開発した

グローバルロジックは米マクドナルドのセルフオーダーシステムを開発した

 これは米マクドナルドが2018年から導入しているセルフオーダーシステムだ。開発したのは、IT(情報技術)企業のグローバルロジック。日立製作所が21年7月、約1兆円で買収した企業だ。

 グローバルロジックのスニール・シンCTO(最高技術責任者)は「マクドナルド側の業務効率化だけでなく、個々の消費者に最適なメニューを提供するパーソナライズ化の要素を加えた」と話す。

顧客にグーグルやオラクル

 IDとパスワードを登録すれば、2回目以降の注文時に、以前カスタマイズしたメニューを薦めてくれる。画面のメニューは写真付きで、子供でも操作は簡単。システム導入によってレジ前の行列を見かける回数は減少し、待ち時間も大幅に短縮した。顧客満足度は上昇し、9割超の客が利用しているという。

 グローバルロジックは00年の創業で、米グーグルや米オラクル、韓国のサムスン電子など世界有数の企業を顧客に持つ。22年3月期の売上高は12億8000万ドル(現在の為替レートで約1770億円)で、前の期に比べ38%伸びた。

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 取引を広げられている原動力の一つはビジネスモデルにある。経営者の悩みを聞き出し、アイデア出しからソフトウエアの開発まで幅広く手掛けており、現在ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の波にうまく乗っている。冒頭のシステムも、マクドナルドからの相談をきっかけに開発が始まったという。

 1兆円は高すぎる──。買収金額が明らかになったとき、市場関係者からそんな声が聞こえてきた。通常のM&A(合併・買収)の相場からすれば高いかもしれない。だが、日立は意に介さない。

 小島啓二社長兼CEO(最高経営責任者)は「1兆円をかけて買収した最大の意味は、グローバルロジックのリクルート能力にある」と話す。「リクルートマシン」とも表現する

 

もちろん、グローバルロジックに今いる約2万5000人そのものを日立が手に入れたかったのは当然のことだ。企業の頭脳となってDXを進めるグローバルロジックに活躍の場があると考え、米グーグルや米アマゾン・ドット・コムなど「GAFA」から移ってくる人材もいる。

 小島社長が強調したのは、そうした人材を世界で集める力量だ。争奪戦が激しく、グローバルロジックから出ていく人間もいるが、それでも年数千人を採用しており、企業として成長力を確保してきた。

グローバルロジックのシャシャンク・サマントCEOは「企業が成長するためには、人材戦略が欠かせない。それが、この約10年で変わったIT業界での定説だ」と話す

グローバルロジックのシャシャンク・サマントCEOは「企業が成長するためには、人材戦略が欠かせない。それが、この約10年で変わったIT業界での定説だ」と話す

 米IBMや米ヒューレット・パッカードに身を置いてきたシャシャンク・サマントCEOは08年に入社し、12年にトップに就任した。それ以降、「最も力を注いできたのは人材戦略」と話している。

世界に300人のリクルーター

 優秀な人材を獲得するため、グローバルロジックは世界に網を張る。本社を置く米シリコンバレーは当然のことながら、日本をはじめ英国、ドイツ、インドなど世界各地に約300人ものリクルーターを配置している。

 リクルーターは「ソフトの開発者」といった大きな業種で区分けされているのではなく、何のソフトを開発するのかという細かな分野を定め、分野ごとに人を置いている。

 世界トップ級の約80の大学と提携しており、社員を講師として派遣するケースも多い。カリキュラムの作成に関わるほど入り込んでいる。学生に直接声をかけて勧誘することができれば、競合企業よりも先に優秀な人材を確保しやすい。

 地域ごとのターゲットも明確だ。欧州なら自動車のデジタル人材、日本ならエネルギーの人材、インドはソフトウエア開発者といった具合に各地域の主力産業から世界最先端の人材をかき集める。

 同社の人材採用の特徴は世界に網を張ると同時に、地域にも密着していることだという。「会社設立以来、グローカル戦略を貫いてきたことが功を奏している」と、人材採用の責任者であるエイミー・ハンロン・ロデミック氏は話す

 

 

人材面で気になるのは、グローバルロジックの3分の1近くの人材がウクライナにいたということだ。世界的なIT人材の宝庫とされてきた同国だが、日立の買収後、ロシアが侵攻した。ただ、小島社長によると、東部地域に住んでいたプログラマーらは隣国へ向かい、年齢制限で国境を越えられない人は西部の都市に移って働き続けている。もともと完全なリモートワークのため、稼働率は96%程度になっている。

 グローバルロジックは様々な国で人材を囲い込むネットワークを築いてきた。日立グループに入った加勢も得て、必要な人材を随時補っていく。

ルマーダ強化の礎に

 日立がグローバルロジックを買収し、有能な人材を得ていくことで狙ったのはITソリューション「ルマーダ」事業の強化だ。

 AI(人工知能)やあらゆるモノをネットにつなぐ「IoT」といったデジタル技術を使い、企業のDXを促す。そうしたサービスの総称を同社はルマーダ事業と呼んでいる。

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 日立のサービスのイメージを、自動車部品メーカーが顧客の場合で考えてみよう。例えば、コンピューターの仮想空間に実物データを反映してバーチャル工場をつくる「デジタルツイン」技術を使い、生産設備を遠隔管理するサービスが、ルマーダ事業の一つに数えられる。

 生産設備から日々の振動などのデータを取得し、AIで故障の予兆をとらえる診断サービスもルマーダに入ってくる。

 日立が思い描くのは、こうしたサービスを単発で受注するだけではなく、継続的に受注するビジネスだ。

 自動車部品メーカーの場合で言えば、まず第1段階として、効率的な生産ラインをどう築いたらよいかという相談を企業から受け付け、解決策を「立案」する。第2段階では解決策に沿って、工場設備から出るデータを連携させてバーチャル工場をつくり、同時にロボットを並べるなど「システムを構築」する。

 第3段階は、デジタルツインのデータを使って設備の「運用」を始める。最後に、「保守」の場面では遠隔診断のサービスを展開する──といった流れだ。これがルマーダの理想の形となる

 

単発でなく、価値を継続的に創る

 ただ、今までは「立案」の部分が弱かった。この能力を持つことができれば、ルマーダを看板ビジネスへと押し上げることができる。だからこそ、「立案」に強いグローバルロジック買収には意味がある。

 ルマーダの事業が大きくなるにつれ、蓄積データが増える。小島氏は「2周目、3周目と進むたびにビジネスは新しい領域に入る」と話す。1つの企業から何度もデータを取得できれば、故障予測の精度を上げるなど次の価値を生み出せる。

 ルマーダ事業がカバーする市場は広い。作業服大手のワークマンとの協業では、商品の発注業務を自動化するシステムを同社の約600の店舗に納めた。約10万点ある商品を在庫回転率の高低に応じて都度、AIによる需要予測型か在庫補充型に自動で分類。回転率が高い場合は需要予測型となり、低い場合は補充型が選ばれる。システム導入によって、発注にかかる時間は各店舗において1日当たり30分から2分に短縮された。

違法な森林伐採の監視システム事業に携わったラディカ・クリシュナン氏

違法な森林伐採の監視システム事業に携わったラディカ・クリシュナン氏

 

 

 

 海外で取り沙汰される違法な森林伐採の監視システムもある。森林があるのはたいてい人里離れた地域で、カメラの設置は難しい。このため音で検知・解析する方法を採用。違法伐採があったときに生じる音のパターンを学習したシステムの検知精度は88.5%に上る。米国に本社を置いて海外のITシステムを開発している日立ヴァンタラで、森林監視システムを担当するラディカ・クリシュナン氏は「(データの蓄積が進むにつれて)システムの精度が向上し続けている」と話す。

 日立は今年で創業113年目。長らく重電分野などで高い技術を誇ってきた。この10年で、どの企業もDXに無縁ではいられなくなり、日立はITソリューションに大きな成長のチャンスを見いだす。

 日立の22年3月期の連結売上高10兆2646億円のうち、ルマーダ事業は1兆4000億円(日立建機を除く)を占めた。4月に発表した中期経営計画では、25年3月期までの3年間で2兆7000億円に伸ばす目標を掲げた。上場している子会社を切り離していくため、3年後の売上高も約10兆円。そのこともあってルマーダの重みが増す

 

[新連載]日立の大変革を先導 米グローバルロジックの実力 (4ページ目):日経ビジネス電子版 (nikkei.com)