警察の責任果たせず慚愧に堪えない」 警察庁長官、異例の会見
安倍晋三元首相銃撃事件を受けての記者会見で、厳しい表情を見せる警察庁の中村格長官(右)=東京都千代田区で2022年7月12日午後5時35分、宮武祐希撮影
安倍晋三元首相が奈良市で参院選の街頭遊説中に銃撃されて死亡した事件について、警察庁の中村格長官が12日、臨時の記者会見を開き、「警察としての責任を果たせなかった。極めて重く受け止めている。慚愧(ざんき)に堪えません」と述べた。その上で「警護の配置などに問題があった。長官としての責任は誠に重い。今の段階で果たすべき責任は警護・警備の問題を早急に洗い出し、重大事案が二度と起こらないよう見直しを行うことだと考えている」と話した。個別の事件の発生を受け、警察庁長官が会見するのは極めて異例。
中村氏は今回の奈良県警の警備について「警護・警備体制や後方の配置などについてはしっかり検証すべきだ。現場での銃器への対応は十分だったか。予兆の乏しい人に対する対応は十分だったか。緊急時における対応が十分だったか。問題なしとは言えないと思っている」と強調した。 一方、警察庁の関与について「元内閣総理大臣の警護の実施に当たっては(地元県警が)警備計画を警察庁に報告する必要はない。ただ、これは言い訳にならないと思っている。これで本当によかったのか。(警察庁は)警護において現場における決まりを作る立場でもあり、その立場から必要な見直しはしていくべきだと思っている」と述べた。 警察庁は同日、警備体制の問題点を調べる検証チームを発足させた。中村氏は「問題点を洗い出し、それをもとに警護・警備の強化に向けた見直しのあり方をしっかり検討したい。作業過程においては臨時の国家公安委員会に随時報告し、指導いただく。結果は支障のない限り報告する。迅速に進めないといけないが、議論しながら結論をまとめていくので一定の時間はかかる。8月中にはまとめたい」とした。 自身の進退については「今の段階で、私の果たす責任は検証と見直しに全身全霊を向けること。二度とこのような重大な事故が起きないようにやっていきたい」と述べるにとどめた。 この事件をめぐっては松野博一官房長官が11日の記者会見で、警察庁から「地元の警察における現場での対応のみならず、全国警察を指導する立場にある警察庁の関与のあり方も含め、今回の警備には問題があったと認識している」との報告があったと明らかにしていた。
【斎藤文太郎、木原真希
「警察の責任果たせず慚愧に堪えない」 警察庁長官、異例の会見(毎日新聞) - Yahoo!ニュース