大王級」巨大古墳の築造事務所跡か 大阪・津堂遺跡で遺構発見

百舌鳥・古市古墳群で最初の大王墓とされる津堂城山古墳=大阪府藤井寺市

 

百舌鳥・古市古墳群で最初の大王墓とされる津堂城山古墳=大阪府藤井寺市

古墳時代前期末から中期初頭(4世紀後半)にかけての掘っ立て柱建物7棟が出土した大阪府藤井寺市の津堂遺跡。建物の多くは総柱の高床式で、倉庫群とみられる。世界遺産「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府の堺市・羽曳野市・藤井寺市)で最初の大王墓とされる「津堂城山古墳」(前方後円墳、墳丘長210メートル)に近く、時期も一致することなどから、発掘調査した大阪府文化財保護課は「古墳造営時に資材などを保管した倉庫」とみる。同古墳群で、古墳造営に関わる施設が出土するのは初めて。同遺跡からはこれまで、祭祀(さいし)に使われたとみられる建物跡も確認されており、今回の発見は大王クラスの巨大古墳造営の経過や手順など、歴史の復元に貢献しそうだ。

計画的に建設

今回検出された建物跡は7棟。このうち、6棟は柱間が2間×3間、1棟は2間×2間で、柱と柱の間隔は約2・4メートル。床面積は約35平方メートル。柱を据える穴は一辺80センチ前後の方形で、柱は抜き取られていたものの直径25センチ程度の丸太とみられる。4棟は総柱建物で高床式の倉庫として使用されていたようだ。7棟は方向がそろい、計画的に建設されていたことが分かる。3時期に分かれて建てられていたが、存続したのは20~30年で短期間だったと推測される。

 

津堂遺跡で出土した掘っ立て柱建物跡。津堂城山古墳の築造資材倉庫とみられる=今年3月、大阪府藤井寺市

 

津堂遺跡で出土した掘っ立て柱建物跡。津堂城山古墳の築造資材倉庫とみられる=今年3月、大阪府藤井寺市