中国経済「バブル崩壊」へ…まさかの「第四の巨大不動産会社」デフォルト危機で“口座凍結パニック”も!

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中国「大手不動産会社」に突然のデフォルト危機!

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 中国の不動産バブル圧縮政策によって、崖っぷちに追いやられていた恒大集団。  ここへきて、政府支援のもとで債務再編を進め、4月の契約売り上げが30.9億元となったそうだ。国内プロジェクトも95%が再稼働したという。

 

 

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5月4日の段階で、中央銀行、銀行保険監督管理委員会、証券市場監督管理委員会の「一行両会」は不動産融資を支援せよとのシグナルを業界に出しており、不動産業界の環境も好転するかに見えていた。  だが、5月12日、中国第四のデベロッパー融創が、7.42億ドルの海外債権利息が未払いとなり、再び中国不動産企業のデフォルト問題が注目を浴びている。  それだけではない。  中国最大手デベロッパーの広東省の碧桂園が5月7日、福州全市のプロジェクトに関する口座が凍結され、一時的に出金できない騒ぎもあった。  果たして、中国不動産業界は復活するのか、それとも終焉となるのか。  融創は昨年、恒大集団がデフォルトに見舞われたころは”最も安全な企業”の一つとみなされていた。だが今年になってデフォルト危機に直面。この事件は、投資家たちに、比較的安全だと思われている不動産企業ですら、いつデフォルトに陥るかわからないというリスクがあることに気づかせた。

中国当局からの「5月4日のメッセージ」

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 ロイターが内部関係者から取材したところによれば、融創はまさに対外債務の再編を進めているところで、支払い期限を延期したのだという。  融創の売り上げは中国不動産業界第三位。国有企業からの戦略投資についても目下相談中だという。  融創は香港証券取引所において、この数週間に償還期限をむかえる7500万ドルの利息を支払わないことを発表。すでに専門の法律・金融顧問団を招聘し、企業の資本構造と流動性についての評価を始めている、としている。  過去数十年、中国の不動産業界の発展は黄金期であり、デベロッパーたちはハイレバレッジでチャンスを争ってきたが、そのことで債務が激増。昨年から中国の市場監督管理当局は不動産業界の整理整頓を開始し、デベロッパーに対する融資を制限した。  このことでデベロッパーの資金流動が断裂し、デフォルトの波が一つ、また一つと押し寄せてきたのだった。恒大集団は3000億ドルの債務危機に見舞われ、このことは業界全体に波及した。  花様年ホールディングス(ファンタジア)、佳兆業集団、中梁ホールディングスなどのデベロッパー企業が次々とデフォルト警報を出し、実際に華夏幸福、泰禾集団、藍光発展、新力ホールディングス、陽光100などが経営・債務危機に直面した。  こういった状況をうけて、中国当局は不動産業界に対する融資緩和のメッセージを5月4日に出したばかりだった。  融創について、もう少し説明すると、発行済の企業債券は77億ドルで、これは中国デベロッパーとしては第四位の高額だ。  ブルームバーグによれば、融創は、すでに資金調達の困難に直面し、また新型コロナ感染状況の悪化によっても売り上げが打撃を受けているという。融創は「中国不動産業のマクロ環境に巨大な変化が発生した」と説明している

 

 

典型的な「高回転モデル」

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 もうひとつの騒動になっている碧桂園の口座凍結問題については、福州で推進されていた世茂集団と碧桂園、保利集団のデベロッパー三者の合同プロジェクトが原因だった。  三者の株式比率は34%、33%、33%。これは典型的な不動産高回転時代(完成前から販売を開始し、資金繰りを早回しするモデル)の産物で、昨年5月から分譲を開始したら、その後半年のうちに次々と不動産の品質問題が起きた。  5月6日、世茂集団傘下の福州世茂世睿不動産が出した解決法は、品質問題が起きたマンションについては、適時修理を行うと約束すると同時にマンション管理者に事業からの退却の余地を提供するということだった。  口座凍結は、マンション管理者の退却問などの解決法案が順調に進められることを保障することが目的だという。  しかし、5月6日、福州管理当局とプロジェクト関係者の間で意見対立が起きた。

市場はパニック!

 碧桂園側が管理当局に対し「政府側が建築安全問題を非常に重視するために、このような矛盾が発生した」と、当局側の基準の厳しさにも問題があると言い出したのだった。  実は4月末の政治局会議で商品用住宅の前売り資金の管理の最適化が要請されていた。福州市の措置はこの要請を受けてのことだった。  碧桂園が福州にもつ全市範囲のプロジェクト口座が凍結されてしまい、投資家たちには、当局によって、同様に不動産リスクが発生することが増えていくのではないかと懸念が広がったのだった。  事態はまた急変し、7日午後には凍結されていた碧桂園の前売り資金管理口座に対する凍結の解除命令がだされ、すでに通常に処理できるようになった。  だが市場では今度は碧桂園の成都などのプロジェクトの前売り資金口座に対する管理強化がされるという噂が流れた。  その後、いくつかのメディアが裏とりに走ったところ、福州当局のような通知を出した都市はほかにはなかった。だが、一部市場はパニックを起こし、碧桂園株が売りに出され、利益を得た投資家もあった。

中国指導部の「意見対立」

 こうした状況が示すことは、過去の不動産高回転時代、不動産黄金期時代が終わり、市場と管理監督政策に大きな変化が起きてくる、ということだ。  この外部監督管理環境のいかに適応するか、それを見誤ると、融創や碧桂園のような「安全企業」とみなされていた企業もデフォルトリスクに直面するということだ。  さらに問題なのは、今、中国の経済政策の方向性を正しく見極めることが極めて難しくなっていることである。後編記事『中国共産党の「中枢」で異変…“習近平派”と“李国強派”の「内紛バトル」で起きているヤバすぎる現実! 』では、いまそんな中国共産党の「中枢」で起きている異変についてレポートしていこう。

福島 香織(ジャーナリスト

 

 

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