戻るのか?
ではなくて、
「ロシアは、北朝鮮同様に、完全に、密告社会になり下がっております!」
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ロシアは「密告社会」に戻るのか 録音された戦争批判で教師免職
スターリン(左)とロシアのプーチン大統領をあしらったカップ=ロシアで2022年4月6日、AP
旧ソ連時代のような、かつての「密告社会」に戻るのか――。ロシア国内の教育現場で、ウクライナ侵攻に反対した教師や、ウクライナ支持と受け止められるような発言をした教師たちが「露軍の信頼を失墜させた」などとして裁判所に罰金を言い渡されたり、免職となったりするケースが相次いだ。教師らの発言は、生徒や学校の同僚を通じ、親や校長、そして最終的には警察など当局に伝わっていた。
露極東のニュースサイト「サハリン・インフォ」などによると、サハリンの港町コルサコフで4月5日、女性の英語教師が「不道徳な罪を犯した」として免職になった。女性教師は裁判所に行政罰として3万ルーブル(約4万6000円)の罰金も言い渡された。 女性教師は、8年生と11年生(日本では中学2年と高校2年に相当)を対象にした英語の授業で、世界のさまざまな民族の子どもたちがロシア語とウクライナ語で平和について歌うビデオを見せた。 その中に「明るい未来を信じよう。そうしたら世界は少しは良くなる」という歌詞があった。女性教師は「感想を口にせず、黙ってビデオを見ましょう。心で聞いてください」と生徒に呼びかけた。 授業が終わった後、8年生の生徒数人が教室で「先生はウクライナを支持するのか」と詰め寄ってきた。その時の会話を生徒が録音し、親に聞かせたという。翌日、教師は校長に呼ばれ「保護者から苦情が来ている」と聞かされた。その後、免職の処分となった。 コルサコフ市の教育当局は女性教師について「授業をせずに、ウクライナで実施中の特別軍事作戦について、ロシア側を否定的にとらえる考え方を伝えた」と受け止めているという。サハリン州政府教育省も「教師のモラルと倫理に反した犯罪だ。ロシアの法律を順守しつつ、教育課程の範囲内で、確かな情報を生徒に与えることが教師のあるべき姿なのに、それに反した」とコメントした。 ロシアは2月24日、ウクライナ侵攻に踏み切った。反戦デモが全国の都市で相次ぎ、当局は参加者を次々と逮捕し、処罰した。また、ウクライナでの軍事作戦を「戦争」や「侵攻」と呼ぶことを禁じ、「軍の権威を失墜させる行為」に対して禁錮刑や罰金刑、行政罰を科す法改正をした。サハリンの女性教師が罰せられたのは、こうした社会状況が背景にある。 教職歴30年のベテランでもある女性教師は「(生徒とは)軍の話はしていない。平和の話しかしていない」と主張し、免職は不当だと訴えている。 一方、東シベリアのブリヤート共和国オノホイでは、子どもたちにスポーツを中心に教える学校で働く64歳のトレーナーが、校舎の入り口の扉に張られた「Z」の文字のマークを取り払ったことを問題視され、4月5日に裁判所に計6万ルーブル、8日に別の裁判で3万ルーブルの計9万ルーブル(約14万円)の罰金を命じられた。「Z」は露軍のウクライナ作戦への支持を訴えるシンボルとして、侵攻開始後に広まった印だ。地元紙「ブリヤートの人々」によると、裁判所は「公に露軍の信頼を失墜させた」と認定したという。 学校に「Z」の文字が張られたのは3月23日。軍の勲章に使われ「聖ゲオルギーのリボン」と呼ばれるオレンジと黒のストライプのリボンを使ってZ字形にし、セロハンテープで張ってあった。若者らが「Z」マークをあちこちに張る活動をした日だった。夕方、学校を訪れたトレーナーは、「ここは子どもたちが体を鍛えるところだ。政治とは関係ない」との考えからリボンをはがしたという。 翌日、翌々日にも「Z」マークが扉に張られており、トレーナーはそのたびにはがした。これについて学校の女性守衛と口論になり、トレーナーは「自分は戦争に反対だ」などと発言した。その会話を女性守衛が録音し、校長を通じて警察の知るところとなった。 トレーナーは警察で4時間の尋問を受け、「出身民族は何だ」「ウクライナの民族主義者ではないのか」などと聞かれたという。 校長は「今や法律が改正され、プーチン大統領自身も『ロシア軍や(ウクライナでの)軍事作戦に反対するいかなる過激主義をも許してはならない』と話している。だからこういう結末(トレーナーの処罰)になった」と語った。 プーチン大統領は3月16日、対露経済制裁への対処策を協議する政府会合を開いた。欧米がロシア国内に反逆分子を忍ばせてくることへの警戒感を示し、「ロシア国民は、本物の愛国者と、社会のくずや裏切り者とを常に見分けることができる。ブヨが飛んできて、たまたま口に入ったときのように、歩道にペッと吐き出せばいいだけだ」と述べた。「社会の自己浄化が必要だ」とも語り、ロシア社会の中から「裏切り者」をあぶり出し、排除していく姿勢を示した。プーチン氏の強硬な発言は、「国民の粛正も辞さない姿勢」とも受け止められ、社会に影響を与えているとみられる。
【杉尾直哉
ロシアは「密告社会」に戻るのか 録音された戦争批判で教師免職(毎日新聞) - Yahoo!ニュース