How 52 people were lured to work for a fake design agency – BBC News

 
More than 50 people were tricked into working for a glamorous UK design company that turned out to be fake. People from the UK and all over the world were hired to work at a company called Madbird during lockdown. They were convinced it was a successful business through an online universe of fake profiles, stolen work and lies. The employees were “Jobfished” and having spent as long as six months working for no pay, they were devastated. Please subscribe HERE http://bit.ly/1rbfUog #BBCNews
 
 
 
 
 
 
 
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イギリスの実在しないデザイン会社で数十人がタダ働き。ウソはどう固められ、なぜバレたのか

ギズモード・ジャパン

イギリスの実在しないデザイン会社で数十人がタダ働き。ウソはどう固められ、なぜバレたのか

壮大で迷惑なイーロン・マスクごっこ? 2020年以来リモートワークが一般化し、直属の上司や部下、同じチームの同僚であっても数カ月顔を合わせないことが普通になりました。採用面接もオンラインで行うようになったので、オフィスに行ったことがないまま会社に属して働いている人も中にはいます。そんな状況に便乗して、数十人もの人をだましてタダ働きさせてきた会社の存在が発覚しました。

何もかもがフェイク

BBCの独自調査によれば、ロンドンに拠点を置くデザイン会社Madbirdは国内外で10年の実績があると称し、2020年以降数十人のデザイナーや営業担当者を雇い入れ、Webサイトやアプリ構築の案件獲得に向けてこき使ってました。でも、数カ月経っても誰もお給料をもらえないまま、会社は消えてしまいました。 そのCEO、Ali Ayad氏はNike(ナイキ)でクリエイティブ部門のリーダーを務めたとされ、彼のInstagramには約9万人のフォロワーが集まり、LinkedInには一緒に仕事をした人物から熱い称賛の声が寄せられてました。でも実際、Madbirdは2020年に立ち上げたばかりで実績はゼロ、Webサイトに掲載された過去の資料はどこかからコピペしてきた適当なファイル、Ali Ayad氏はナイキにいたことも仕事を受けたこともないし、学歴も詐称してたんです。 そればかりか、LinkedInでAyad氏を絶賛する「共同創業者」とされる人物は実在しなくて、その顔写真もまったく関係ない第三者のものだったし、所属グラフィックデザイナーとされる人物の写真もGettyのストックフォトでした。こういう架空の人物が、リアルな人に混ざってZoom会議に参加してることや、リアルな人のメールに返信することもあったそうです。 Ayad氏の名前も「Ali Ayyad」「Alex Ayad」などいくつかのバージョンがあり、生い立ちも米国生まれ、レバノン生まれと状況によって変えていたようです。あ、一応英国の公的な会社データベースには登録されてましたが、そこではAyyad氏になってました。そして必要書類の提出期限が2021年10月だったのに、未提出と警告されてます

 

 

 

なぜ気づけなかったのか?

ここまで話を聞いていると結構ずさんな印象ですが、みんなどうして何カ月もだまされてたんでしょうか? コロナ禍、そしてネットで完結しやすい仕事なので完全リモートワークだったことで、ボロが出にくかったのはわかります。でも、仕事そのものは見込み客へのプレゼンやその資料作成などたくさんあり、みんな忙しく働いていたようです。Ayad氏は社員にハッパをかけるために、「イーロン・マスクは1日16時間働くらしいが、私は17時間やってやる!」と息巻いたこともあるんだとか。社員にも長時間労働を求めるとしたら、その分のお給料はどうなってたんでしょうか? 実はその給与の払い方がポイントでした。Madbirdでは新入社員の試用期間を6カ月とし、その間の給与はクライアントから獲得する契約金額の1%の完全歩合制にしてたのです。誰にも給与は支払われてませんでしたが、「まだ契約が取れてないから」という説明が成り立ってしまってたんですね。 また、Ali Ayad氏のInstagramの9万人というフォロワー数や、LinkedInでの人気ぶりも信用を後押ししてしまったのだと思われます。Instagramには、「スペインのファッションブランドの広告モデルになってBritish GQに載った写真」ってのもポストされてて、そこまでいくと逆に怪しいような気もするんですが、後から見ておかしいと思うことに、そのときは気づかないもんですよね…。ちなみに当然、実際は広告モデルにもなってないし、GQにも載ってなかったです。

コロナ後への準備から綻びが

となると、逆にどういうきっかけでバレたのかも不思議になりますが、それは社員のGemma Brett氏がリモートワーク終了後の通勤経路を確認すべく、会社の所在地を検索したことでした。その結果、Madbirdの住所は住宅街の中であることがわかったんですが、MadbirdのWebサイトにあるオフィス風景のビデオは、いかにも最先端のデザイン会社という雰囲気を醸していたんです。 怪しさを察知したBrett氏は、信頼できる同僚と一緒に画像検索を駆使してMadbirdのWebサイトにある過去実績資料を検証、それがすべてフェイクであることを確認しました。Brett氏らは何も言わずに退職することもできましたが、悩んだ末に偽名を使って全社員向けにメールを送り、Madbirdの社員や顧客リスト、過去の実績、会社所在地などがフェイクだと告発しました。 それに対するAyad氏の返信は、「この情報のどこかしらが真実だとしたら(略)あなたたちがショックを受けるのと同じように、私にとってもショックだ」でした。彼はWebサイトやLinkedInアカウントを消し、電話にも答えなくなりました

 

 

 

本人は直撃にもしれっと

一方BBCはBrett氏の告発を受けて、独自の検証を開始しました。彼らは顔認証ツールを使ってMadbirdの幹部の顔写真と、ネット上のまったく違う人たちの顔が一致することを確認、その人物にも直接コンタクトした結果、少なくとも幹部の6人が架空の存在だと結論付けました。またWebサイト上に過去の顧客として名を連ねていた42社にもコンタクトしましたが、そのうち回答があった企業はすべて「Madbirdなんて聞いたこともない」という答えでした。 BBCがAyad氏にコンタクトしたところ、数カ月に及ぶやりとりのあげく、彼はいったんインタビューの機会を承諾したものの、結局ドタキャンしました。BBCはさらに食い下がって路上でAyad氏を直撃(上の動画3:30あたり~)したんですが、彼の反応は「私はコロナ禍で、皆さんに機会を与えたんですよ?」「オフィス? 別にコンピューターとかいろいろなくたっていいんですよね、だってデジタルカンパニーだから」といった逆ギレに終始してました。

誰が何を失い、何を手に入れたのか?

この事件を整理すると、被害者はタダ働きさせられた社員、だましとられたのはその人たちの労働、ということになります。中にはインドなどイギリス国外で採用され、試用期間が終わったらイギリスのビザをスポンサーすると期待を持たされていた人もいて、そういう人は移住の夢も砕かれてしまいました。では引き換えに、誰が何を手に入れたんでしょうか? つまり、詐欺の動機は何なんでしょうか? Ayad氏自身が語らないのではっきりしないんですが、BBCではふたつの仮説を出しています。ひとつは、いろいろとフェイクは入ってるものの、デザイン会社を立ち上げるつもりはちゃんとあって、契約さえ取れればあとはなんとかなると思っていたとする説。もうひとつは、これだとしたらやりきれないんですが、Ayad氏はただイケてる経営者を演じたくてやっていたとする説。だとしたら、他人から見える自分の虚像を維持することが自己目的化していったって意味で、Netflixドラマになった詐欺師、アンナ・ソロキンの一件に似てる気もします。 ちなみに、「試用期間中は歩合制」という契約になっていたといっても、英国の法律上ではお給料を請求できるみたいです。Madbirdの元社員3人が雇用審判所に対し、Madbirdからの最低賃金相当の支払いを訴えたところ、「3人合計で1万9000ポンド(約300万円)」もらえる権利が認められたそうです。ただ、これにはAyad氏が反論中で、またMadbirdが破産した場合支払い義務がなくなってしまうので、最終的に労働の対価をもらえるのかどうかはわかりません。

みんな気をつけましょう

ともあれ、なるべく巻き込まれたくない事案です。Madbirdは採用広告をガンガン出して、ときにはわざわざ他の会社を辞めさせてまで人を雇い入れることがあったそうです。自衛するためには、「この会社、実体あるの?」と思うことがあったら、とりあえず事務所所在地を調べたり、幹部の写真とか過去実績画像とかで画像検索かけてみたりするといいのかもしれませんね…。 Source: BBC

福田ミホ

 

 

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