設計ミスの“後始末”で日本工営に3億円請求、川崎市の河川施設

安藤 剛

 

日経クロステック/日経コンストラクション

 

 

日本工営による河川施設の設計ミスで、発注者の川崎市が破損した部材の撤去費用など約3億円の支払いを同社に求めることが、日経クロステックの取材で分かった。2022年3月末の施工完了に伴い、正式に請求する。同社は請求に応じる方針だ。

 

五反田川放水路分流施設の工事現場。清水建設・馬淵建設JVが2017年3月に着工した。当初の契約金額は約43億円だった(写真:日経クロステック)

五反田川放水路分流施設の工事現場。清水建設・馬淵建設JVが2017年3月に着工した。当初の契約金額は約43億円だった(写真:日経クロステック)

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 設計ミスがあったのは、清水建設・馬淵建設JVが施工する川崎市多摩区内の五反田川放水路分流施設だ。施設の大半を占める沈砂池を覆う厚さ約1mの頂版のコンクリートを打設。養生後に支保工を外すと開口部付近にひび割れが発生した。

 19年5月に清水建設JVからひび割れの報告を受けた市は、同JVの他、詳細設計を担当した日本工営と3者で1年ほど協議。原因は日本工営の構造計算の誤りと特定した。

 

■ひび割れた箇所は再施工せずに撤去

■ひび割れた箇所は再施工せずに撤去

五反田川放水路分流施設の大半を占める沈砂池の平面図。頂版の面積は当初の設計では約2000m2だった。川崎市の資料を基に日経クロステックが作成

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 市は、頂版のひび割れを含む159m2の部分を撤去後、造り直さず開口部に変更して整備を続けると決定。工事の完了時期を21年9月から22年3月末に延ばし、工事費を約47億円から約50億円に増額することを、21年8月に市議会に提案した。

 「頂版の造り直しにはさらに大幅な工期延長が必要で、放水路施設全体の完成が、23年度末に予定する本供用開始に間に合わなくなる恐れがある」(川崎市北部都市基盤整備事務所の横尾修担当課長)との判断からだ

 

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