日本橋の首都高地下化がいよいよ始動、待ち構える難工事
大上 祐史=ラジエイト代表
出典:日経クロステック 2021年 7月 15日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります
日本橋上空の首都高速道路を地下へ移設し、青空を取り戻す事業の初弾工事がいよいよ始まった。まずは、既存の2カ所の出入り口を撤去する。首都高速道路会社は2021年6月30日、報道機関を対象に現場見学会を開催。その模様と共に、今後の工程をお伝えする。
日本橋の上空に架かる首都高速道路(写真:大上 祐史)
[画像のクリックで拡大表示]
日本橋川に沿って上空を通る首都高の都心環状線は、前回の東京五輪直前の1963年に開通した。以来50年以上が経過。1日当たり約10万台の自動車が走行するため構造物の損傷が著しく進む。首都高の地下への移設と既存高架橋の撤去によって、道路を次世代へつなぐことが急務になっている。
一方で日本橋川周辺は国家戦略特区の都市再生プロジェクトに位置づけられ、2020年に都市計画事業として認可された。道路敷地の上下空間に建物の建設を可能にする「立体道路制度」を活用して、建物の地下にトンネルを整備し、まちづくりと一体で地下化事業に取り組む。
日本橋区間における首都高速道路地下化の概要(資料:首都高速道路会社)
[画像のクリックで拡大表示]
日本橋区間の地下化事業の範囲は、都心環状線の神田橋ジャンクション(JCT)─江戸橋JCT間の延長約1.8km。構造別の内訳は、トンネル約1.1km、高架橋約0.4km、擁壁・掘割約0.3kmとなっている。トンネル内の換気は既設の常盤橋換気所を改築して対応する予定だ。
事業の工程は、(1)既存の出入り口撤去など地下化に向けた準備(2)新たな地下ルートの建設(3)既設高架橋などの撤去――の3段階で計画している。地下ルートが出来上がる(2)の完了は35年、日本橋に青空が戻る(3)の完了は40年を予定している。
地下化に向けた準備として、まずは呉服橋と江戸橋の2カ所の出入り口を撤去する。地下ルートの整備に当たって日本橋川の中での工事が必要になるため、出入り口を撤去して河川内の橋脚を減らし、水位を下げる。床版や橋桁、橋脚などを約3年かけて撤去していく予定だ。撤去工事は清水建設・JFEエンジニアリングJVが担当する。
呉服橋出入口と江戸橋出入口は21年5月10日午前0時に廃止された。以下の図における灰色の箇所が撤去範囲だ。出入り口の撤去は、事業全体で撤去する橋梁の約1割に相当する。
撤去する呉服橋出入口と江戸橋出入口(資料:首都高速道路会社)
[画像のクリックで拡大表示]
出入り口撤去工事の概要(資料:首都高速道路会社)
[画像のクリックで拡大表示]
出入り口の撤去工事は、足場設置、床版撤去、橋桁撤去、橋脚撤去の4つのステップで行う。呉服橋出入口で3本、江戸橋出入口で4本の橋脚を撤去する。
以下の図は、両出入り口の撤去前後を比較したイメージだ。
出入り口撤去前後のイメージ(資料:首都高速道路会社
日本橋の首都高地下化がいよいよ始動、待ち構える難工事 - 東京大改造:日経クロステック Active (nikkeibp.co.jp)
===========================
首都高の銀座地下路線は事業費1100億円、日本橋区間と併せて整備
橋本 剛志=日経クロステック/日経コンストラクション
出典:日経クロステック 2021年 8月 4日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります
国土交通省などは、東京・日本橋の首都高速道路の地下化に併せて整備する銀座エリアの地下路線について、事業費を約1100億円と見積もった。東京高速道路(KK線)のほぼ真下に延長約800mのシールドトンネルを掘削する。日本橋区間の地下化が終わる2035年ごろまでに整備する。
新京橋連結路は東京高速道路(写真の高架道路)のほぼ真下に整備する(写真:日経クロステック)
[画像のクリックで拡大表示]
国交省や首都高速道路会社、東京都などで構成する「首都高速都心環状線の交通機能確保に関する検討会」(座長:吉岡幹夫・国土交通省技監)が21年7月30日に開いた会合で明らかにした。
日本橋区間の地下化が終わる2035年ごろまでに整備する(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
首都高八重洲線と京橋ジャンクション(JCT)との間に「新京橋連結路」を新たに建設する。連結路は八重洲線の南側に接続する開削部とシールドトンネル部、都心環状線の築地川区間との合流部からなる。シールド工事に330億円、開削工事に200億円、鉄道など既存の構造物周辺の地盤改良や埋設物の移設などに250億円を見込む。用地関連の費用は130億円と見積もった。
新京橋連結路は首都高八重洲線と京橋JCTの間に建設する(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
シールドトンネルや開削など3つの区間からなる(資料:国土交通省)
[画像のクリックで拡大表示]
総事業費1100億円のうち、約600億円を首都高、約300億円を東京都、残りの約200億円を近隣の街づくりプロジェクトとして民間事業者が負担する。首都高は負担費用のうち約100億円を、跨道橋(こどうきょう)の老朽化が進む築地川区間の大規模更新事業に組み込む
首都高の銀座地下路線は事業費1100億円、日本橋区間と併せて整備 - 東京大改造:日経クロステック Active (nikkeibp.co.jp)