築40年超のマンションは10年後に130万戸増、「要除却認定」拡充で建て替え促進

星野 拓美

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

国土交通省はマンションの要除却認定(除却の必要性に関する認定)の対象を拡充し、建て替えの促進を図る。改正マンション建て替え円滑化法が2021年12月20日に一部施行され、外壁に剥落の恐れがあるマンションなども認定対象になった。国交省は同年12月15日、改正法の円滑な施行を目的にマニュアルとガイドラインを公開した。

 

 

 これまで要除却認定の対象は耐震性が不足するマンションのみだったが、

20年6月の改正で

 

(1)火災に対する安全性が不足している、

 

(2)外壁などの剥落で周辺に危害を及ぼす恐れがある、

 

(3)給排水管の腐食などで著しく衛生上有害となる恐れがある、

 

(4)バリアフリー基準に適合していない──の4項目が加わった。

 

 

 要除却認定を受けたマンションでは、

上記の項目に応じて容積率緩和の特例

 

マンション敷地売却制度を活用できる。

 

22年4月1日からは、

 

団地型マンションを対象とした敷地分割制度も利用できるようになる。

 

 

要除却認定の対象と活用できる制度(資料:国土交通省)

要除却認定の対象と活用できる制度(資料:国土交通省)

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 14年に創設されたマンション敷地売却制度では、区分所有者の5分の4以上の合意などがあればデベロッパーなどに敷地を売却できる。

 

改正で新たに設けられた団地型マンションの敷地分割制度では、

敷地共有者の5分の4以上の合意があれば、

敷地を分割して一部の棟を建て替えたり、

敷地を売却したりできる。

 

 

 

敷地分割制度を活用した事業のイメージ(資料:国土交通省)

敷地分割制度を活用した事業のイメージ(資料:国土交通省)

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 改正の背景には、マンションの建て替えを取り巻く状況の厳しさがある。国交省によると、建て替えにおける区分所有者の負担額は増加傾向にある。区分所有者の高齢化や空き家率の上昇などもあり、建て替えに向けた合意形成が難しくなっている

 

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