ラッシュ、11月26日機にSNSを一斉停止へ/元フェイスブック社社員の内部告発を受けて

オルタナ

SNSは操作的なアルゴリズムによって、いじめやフェイクニュースなどを際限なくスクロールできるので、若年層の自殺・うつ・不安の割合を大幅に増加させるというデータが続々と出ている

 

 

 

自然派化粧品ブランドの英・LUSH(ラッシュ)は11月22日、世界48カ国で運営するSNSアカウントを停止すると発表した。11月26日から利用を停止して、再開するまでの期日は設けていない。この決断の背景には、元フェイスブック社社員による内部告発で明らかになったSNSの負の側面がある。(オルタナS編集長=池田 真隆)

 

  「ラッシュで働くことは、社会を良くする運動に参加しているということ」と話すラッシュ創設者のコンスタンティン氏

 

 

ラッシュ創立者のマーク・コンスタンティン氏 Lush Digital

 

 

「今こそ行動を起こすべきだ」――。ラッシュの共同創設者マーク・コンスタンティン氏はこう強調し、世界48カ国で展開する自社のSNSアカウントを一斉停止することを決めた。 同社は原材料を調達する際に、環境配慮や人権への対応、動物実験の有無などを調べ、社会や環境に害のない倫理的な商品づくりにこだわってきた。 こうした考えで経営してきたので、マーク・コンスタンティン氏にとって、SNSの負の影響を見過ごすことはできなかった。

 

「SNS利用時に私たちが危険にさらされているという証拠が数多く明らかになっている。私は自分のお客様をこのような環境にさらしたくない」と語る。 

フェイスブックは10月28日にMeta(メタ)社に社名変更しリブランディングを図るが、その一カ月ほど前の10月上旬に同社でフェイクニュースなどの対応を担当していた元社員フランシス・ホーゲン氏が実名で大量の資料を内部告発した。

米WSJ誌などが報じて話題になっていた。

 

 内部告発した資料によって、

 ・ユーザーの「怒り」をあえて増幅させるアルゴリズム 

 

 ・不適切と特定できる割合は、ヘイトスピーチの5%以下、暴力的な内容は1%程度

 

 ・インスタグラムは子どもの自己肯定感を下げて自殺願望を増長させる ――などが明らかになった。

 

 

 ラッシュは11月22日に同社の「ソーシャルメディアポリシー」を改訂した。改訂したポリシーでは、 

 

・「私たちは、外部プラットフォームがその真の商業的機能や収入源を隠すことなく、明確かつ透明性のあるサービスを提供すると信じられるようになることを望んでいます」

 

 ・「私たちは、ユーザーをハラスメント、弊害、操作から守るために最善を尽くすプラットフォームやサービスのみを利用したいと願っています」

 

 ・「私たちは、非公表で訪問者データを使うプラットフォームは利用しません」

 

 ・「私たちは、エンゲージメントやクリック、シェアを促進する目的で、ネガティブなコンテンツ、フェイクニュース、もしくは極端な価値観でユーザーを狙うアルゴリズムを使用しないプラットフォームを好みます」

 

 ・「他の中毒性のある娯楽と同様に、私たちはプラットフォームに対し、過剰な利用によるリスクを最小限に抑え、健全な利用パターンを促すようなサービス設計を望みます」

 

 ――などと記されており、SNSプラットフォーマーに改善を訴えている。 

 

ラッシュが利用を停止することを決めたSNSアカウントは、

 

フェイスブック、

 

インスタグラム、

 

ティックトック、

 

スナップチャット、

 

ワッツアップの5つだ。

 

日本では公式アカウントを持つフェイスブックとインスタグラム、ティックトックの3つのアカウントの利用をやめる。 

 

具体的な停止期間は設けていない。

同社では、「これらのSNSプラットフォームが、より安全な環境をユーザーに提供できるようになるまで継続する」としている