EU、ベラルーシ制裁の拡大合意 難民ら移動関与の企業など対象

毎日新聞

ベラルーシとポーランド国境にある検問所に向かう移民=ベラルーシのグロドノ近郊で2021年11月15日、AP

 

 

 

 

 欧州連合(EU)は15日、ベラルーシが意図的に中東からの難民・移民をEU加盟国のポーランドなどに送り込んでいるとして、ベラルーシに対する制裁を拡大する方針を決めた。この日の外相会合で合意した。ロイター通信などによると、難民・移民の移動に関与しているとみられる航空会社や旅行業者など約30の個人・団体を新たに制裁対象に含める見通し。  EUのボレル外務・安全保障政策上級代表(外相)は声明で「移民らを政治的な道具として利用することに対抗する」と述べた。  ベラルーシ西部の国境にはポーランドやリトアニアに入国しようとする難民・移民が押し寄せている。現地では数千人が立ち往生し、厳しい寒さの中で死者も出ていると報じられている。ベラルーシのルカシェンコ政権は関与を否定するが、EUは同政権がこれまでの制裁への報復として難民・移民を集めているとみている。  ベラルーシ側はEUが制裁を拡大すれば、自国経由で欧州に送るロシア産天然ガスのパイプラインを停止すると警告しており、対立はさらに深まりそうだ。  ベラルーシではルカシェンコ氏の6選が発表された2020年8月の大統領選以降、選挙の不正を訴える市民や野党を当局が弾圧。EUは選挙結果を認めず、ルカシェンコ氏をはじめとする政府高官らに資産凍結などの制裁を実施した。今年6月にはカリウム肥料の輸入制限に乗り出すなど、同国の基幹産業に対する追加制裁にも着手。その後、中東からベラルーシを経由してポーランドなどに向かう難民・移民が急増した。【ブリュッセル岩佐淳士