2階建ての、個人の家屋でない、
リニアのシールド機が東京・品川で発進、地上への影響を調査
橋本 剛志
日経クロステック/日経コンストラクション
リニア中央新幹線の大深度地下トンネルの掘削が東京都品川区で始まった。
JR東海が2021年10月14日、シールド機の発進作業に着手した。
地上への影響や工程を検証するため、
区間を約300mに限定して掘進する。
東京外かく環状道路(外環道)の建設工事で起こった
東京都調布市の陥没事故
などを受けた取り組みだ。
検証結果を住民に開示して、大深度工事への不安解消を図る。
北品川非常口で発進を待つシールド機(写真:JR東海)
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リニアの大深度地下トンネルのシールド掘進は、これが初めて。
深さ約83mのたて坑「北品川非常口」から、
名古屋方面に約半年かけて掘り進める。
施工者は熊谷組・大豊建設・徳倉建設JV。
掘進区間上には
道路や河川、民間の研究施設などが位置し、
住宅はない。
調査掘進区間の位置図
シールド機は北品川非常口のたて坑の仮壁を切削して地中に出て、名古屋方面に約300m掘り進める(資料:JR東海)
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JR東海は、本格的な掘進ではなく、工事が地上に及ぼす影響や作業手順を検証する「調査掘進」と位置付ける。
シールド機本体の他、
セグメントの搬送装置や
ベルトコンベヤーなど
一連の設備をトンネル内に収めるための最低限の範囲を掘る。
調査掘進の後、近隣住民に説明会を開き、本格的な掘進開始への理解を求める。本格掘進は、早くても22年度以降になる見通しだ。
本格的な掘進の前に地上への影響や作業手順の検証結果を住民に説明する(資料:JR東海