手に伝わる精度と質感!ミニマムなCRKT「9912」は存在感抜群のマルチツールだ

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CRKT「9912 ポケットドライバースタッシュツール」

 

 

 

マルチツール。それは、手に収まるほどのコンパクトなボディにさまざまな道具を詰め込んだ“ハンドツール”。とかく専用ツールに比べ「間に合わせ」と思われがちですが、そこにはマルチツールだからこそ味わえる奥深い世界が存在します。 

 

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そんなマルチツールの男前な魅力を紹介する連載第12回目は、CRKT(コロンビアリバーナイフ)の「9912 ポケットドライバースタッシュツール」(2970円)です。スタッシュ(Stash)とは、こっそり隠し持つこと。つまり、ドライバービットを携帯するための小型のツールボックス兼ドライバーです。

見た目は単四電池1本サイズのLEDライトそっくり

 

 

 

CRKTは、1994年にアメリカオレゴン州に設立されたナイフメーカーで、アメリカ各州をはじめ、刃物で有名な岐阜県の関にもデザイナーを擁します。実用的で高品質なファクトリーナイフとして北米では人気のブランドであり、近年はマルチツールの開発にも力を入れています。 「9912 ポケットドライバースタッシュツール」は全長90mm、重さ約40gで、アルミ合金の軽量コンパクトなスタイル。見た目はLEDライトそっくりで、マグライトのソリテールとほぼ同じサイズ感です。これがツールと言われても見た目からは想像がつきません。 スクリュー式の蓋を外すと中に4個のドライバービットが入っています。いずれも本体との接合部はヘックスタイプで、ビットはトルクスヘッドT6、T8、マイナスヘッド0.6x4.5、プラスヘッドPH1の4種類。 ドライバービットはクリップの付いているテール部分を引き抜いた穴に差し込んで使います。ビットを挿入する穴の内側には脱落防止用のOリングが入っていて、差し込んだビットを確実に保持。非常に適合性が良いので使用中にビットが脱落するような心配はありません。 全長90mmと短くストレートなボディなので固く締まったネジを外すには不向き。構造上強いトルクをかけることはできません。緩んだネジや仮止めなどに適しています。 デフォルトで付いているT6やT8は海外製のツールではポピュラーなビット。特にマルチツールのクリップや各種ツールをハンドルに固定するネジなど、あまり頻繁に外さないネジに使われる傾向があり、それらの取り外しやメンテナンスには重宝しそうです。 比較的硬めに締め付けられたネジでも、上から体重をかけてゆっくりトルクを掛ければ外れることもあります。 また、付属するドライバービットはどれも精度良好。マルチツールに付属するドライバービットの精度に関して不満を抱くユーザーは少なくありませんが、このツールのビットであれば納得してもらえるのでは。 もし付属のビットがあまり使わないものであれば、頻繁に使うであろうドライバービットと入れ替えて使ってもいいかもしれません。 非常にシンプルなツールですが、細かい部分に至るまで精緻に作られています。ボディの細かな削り、ニッケル風の表面仕上、真鍮のテールキャップに丈夫なステンレスクリップなど実に丁寧で質の高い仕上がりです。 鍵束に付けるだけでなく、リュックやバッグのオーガナイザーに引っ掛けておいてもいいですね。 ナイフやレンチを装備していないのでスリムなのは当然ですが、ドライバーをメインで使用する人にとってはこれで十分かもしれません。

ドライバービットを収めるだけのツールだが存在感がある

マルチツールが好きな人は単純に”便利”という理由だけでそれを所有することはないと思います。性能を越えた存在そのものに惹かれるという部分もあるのでは。 精緻なツールを日頃持ち歩けることこそが、ユーザーの満足に繋がるのではないかと考えます。今回紹介したCRKT「9912」はまさにそんなツールのひとつです。シンプルで良いものを選びたい、そんな人にオススメのアイテムです。

<取材・文/GOL