
水素製造装置、日本勢が開発加速 東レ、独シーメンス系と連携 旭化成は大型化に注力
燃やしても二酸化炭素(CO2)が発生せず次世代エネルギーとして期待される水素。この水素を作る装置をめぐり開発競争が熱を帯びている。東レは、独シーメンスの関連企業と技術開発に取り組み、中核部材で参入する。旭化成や日立造船など装置メーカーも開発に力を入れる。世界で初めて「水素基本戦略」を打ち出し、関連技術の開発で先行する日本にとって、水素製造装置は優位性を築きたい分野だ。各社とも装置の大型化や効率化を図っている。
水素製造装置は、水を電気分解して水素を作る装置で、中核装置の水電解装置そのものを指す場合もある。特に注目されているのは、再生可能エネルギーで発電した電力でCO2を排出せずに作る「グリーン水素」の製造装置だ。日本では旭化成や日立造船、東芝、三菱化工機などが開発を手掛けるが、大型化ではシーメンスやノルウェーのネル、英国のITMパワーといった海外勢が先行している。
東レは今月6日、シーメンス・エナジーと戦略的パートナーシップ契約を結んだと発表した。水素製造装置を共同で開発。東レが水素の取り出しに欠かせない中核部材の「電解質膜」を開発し、シーメンスが装置に仕上げる。両社は水素の国際供給網構築でも協力する。日覚(にっかく)昭広社長は「(実用化すれば)装置の高効率化や安全性向上が期待できる」と話す。