今日、この時代に、

 

PCの性能に妥協してはいけません、

 

 

 

 

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来年4月から》都の高校生のパソコン1台8万円は保護者負担? 小中学生より値段2倍のナゾ

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文春オンライン

©iStock.com

 

 

 東京都が都立高校の高校生に1人1台のPC(タブレット等含む)導入を立案したが、それが、保護者の負担により高額PCの購入を迫るものであることが明らかになった。

 

 

  【画像】「保護者が私費で購入する」と明示された都の仕様書  

 

 

前段としては、国費により全国の小中学校生に1人1台のPCを支給し、合わせて全学校にネットワーク環境を整備する文科省の「GIGAスクール構想」がある。  この構想は19年12月に閣議決定されて補正予算で2318億円を計上し、5年計画で着手された。翌20年にコロナ禍が発生して休校・分散登校、オンライン授業などが始まると計画は前倒しされ、20年度1次補正予算でさらに2292億円を計上して支給が早められた。今年7月時点で、全国の公立小学校の96%、公立中学校の97%が、全学年または一部の学年でPCの利用が開始されている(文科省)。  文科省はPC支給に当たり、1台5万円程度を想定して1台4万5000円を上限とした国費の投入を決め、標準仕様書を提示し、マイクロソフト(Windows)、アップル(iPad OS)、グーグル(Chrome OS)の3種類のPCを示した。各自治体はこれを基にして仕様書を作成し、調達業者を選定して支給している。  全国の小中学校でこうしてPC支給が早まった中で、次の課題として浮上したのが高校生へのPC支給だった。  ITベンダー(供給事業者)はこう話す。 「小中学校と異なり、高校は義務教育ではない上に私立高も多いため、国費の投入は難しいと見られました。そのため、各自治体がそれぞれ独自に財源を用意して、国は自治体への交付金で一部を支援する話が進んでいます。しかし自治体から“財源が足りない”という声が増えてきて、文科省は、国費の投入を目指して今年度の補正予算で予算を要求するとも言われています」  高校生へのPC支給にも国費投入が検討されている中で出てきたのが、都立高校生へのPC導入だった

 

 

 

 

 

購入は保護者負担で1台8万円

 東京都は、教育のICT化(情報通信技術化)を進める「TOKYOスマート・スクール・プロジェクト」を独自に進めて来た。この中で、都立高校の高校生に1人1台のPCを導入する具体的方法が決まり、8月30日にベンダー向けの仕様書が公表された。

 仕様書では、来年4月に都立高校に入学する生徒に1人1台のPCを導入するとして、3種類のPCが示された。9月末までの入札で選ばれたベンダーは、仕様を満たすPCを準備して、販売サイトを開設して保護者に販売する。  この仕様書の中でPCは「保護者が私費で購入する」と明示され、しかも東京都が示した3種類のPCは、上限が「8万円」「9万円」「11万円」と、文科省が小中学校生に支給する際に想定した1台5万円の倍の価格となったのだ。

“買えない”という親も出てくるのではないか

「東京都はコロナ対策で多額の都費を投じており、財源が不足しているため保護者負担になるという話は出ていましたが、1台8万円の価格には驚きました。大量に購入するのだし、相応の性能が付いたPCでも数万円で買える時代です。これでは“買えない”という親が出てくるのではないでしょうか」(前出・ベンダー)  実際、コンサルティング企業のMM総研が中学3年生~高校2年生の保護者1万1000人を対象に行った今年3月のアンケート調査では、保護者の82%が高校での1人1台のPCを利用した授業に賛成したものの、保護者負担による導入には高いハードルがあることが分かっている。  保護者負担によりPCを購入する場合、許容できる1年間の負担額は0円(負担できない)が29%、1万円未満が35%で、0円~1万円未満で64%を占めたのである。  一方で、年間3万円以上を負担できるとした回答はわずか6・4%だった。  回答は1年間の負担額であるため、3年間分として考えても、東京都が提示した8万~11万円のPCを購入できる保護者はわずか6・4%ということになる。  アンケートで聞かれれば「払いたくない」と答える保護者は多い可能性があるにせよ、東京都が示した価格とは大きく乖離している

 

 

 

保護者の所得格差が子供の教育格差に直結

 また、都立高校の生徒は約4万3000人いるが(今年5月時点、定時制等を含む)、経済的な困難を抱える家庭出身の生徒も少なくないだろう。  日本の子供の貧困率はOECD諸国の中で最悪の13・5%。7人に1人が貧困にあり、ひとり親世帯に限れば48%に達している(18年)。  とりわけ、義務教育である小中学校生に対する支援に比べ、高校生への支援は不足しているとの指摘もあり、保護者の所得格差が子供の教育格差に直結する問題が深刻化している。  文科省は2020年度から、経済的な理由で大学・短大・高等専門学校へ進学できない生徒に対する支援策「高等教育の修学支援新制度」を開始し、初年度は27万1000人に支援を行った(子供の貧困対策に関する有識者会議より)。  前出のベンダーはこうも話す。 「文科省のGIGAスクール構想の標準仕様書では、マイクロソフト、アップル、グーグルを提示しましたが、東京都の仕様書ではグーグルが外れました。グーグルのクロームブックは比較的安く、小中学生へのPC導入では4割のシェアを獲得したと言われています。東京都がそのグーグルを外した理由が分かりません」  東京都教育庁にPC価格が高額になった理由等を聞くと、こう回答した。 「高校生にふさわしい性能を検討した結果、マルチタスクを利用できるなど(小中学生向けに比べて)性能を上げたためにこの価格になりましたが、あくまでも上限価格です。またグーグルを外したつもりはなく、仕様を満たせば(ベンダーが)グーグルを提案することも可能です。  金額が高いというご指摘については、低所得者世帯などへの支援策を検討しているところです」

坂田 拓也