米大統領、ウクライナ支援明言 NATO加盟は慎重

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時事通信

1日、ホワイトハウスで会談するバイデン米大統領(右)とウクライナのゼレンスキー大統領(EPA時事)

 

 

 

 【ワシントン時事】

 

バイデン米大統領は1日、ホワイトハウスで、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談し、ロシアの侵略に直面するウクライナ支援を明言した。  アフガニスタン駐留米軍の撤収断行の余波で、友好国有事の際の米国の対応への信頼性が揺らぐ中、会談冒頭で「ウクライナの主権と領土保全への責務を堅持し続ける」と重ねて表明。米国への懸念払拭(ふっしょく)に努めた。  米国はアフガン撤収を進める中で、ガニ政権崩壊を座視。こうした姿勢に、明確な防衛義務のないウクライナや台湾などで有事が起きた際、米国が実際に支援するのかと問題提起する声が上がっていた。  会談後発表された共同声明は「ウクライナの成功は、民主主義と専制主義の世界的な戦いの中心だ」と位置づけた。米国が中国やロシアと対抗する上で、ウクライナの民主主義推進や安全を重視する考えを盛り込んだ形だ。  バイデン氏は、ゼレンスキー氏に対戦車ミサイルなど6000万ドル(約66億円)の軍事支援を約束。バイデン氏とホワイトハウスで会談したのは、ドイツのメルケル首相に次ぎ、欧州指導者では2人目。米政府高官は「他の欧州諸国よりも政権がウクライナに注目しているということだ」と述べ、厚遇を強調した。  一方、ゼレンスキー氏は「ウクライナの北大西洋条約機構(NATO)加盟の可能性に関するバイデン大統領の展望について議論したい」と踏み込んだ。ロイター通信によると、同氏は会談後、記者団に「(バイデン氏は)加盟承認について、個人的見解として支持した」と主張した。  ただ、米国はウクライナのNATO加盟には慎重な立場を崩していない。サキ大統領報道官は1日の記者会見で、法の支配の促進や経済成長などを挙げ、「ウクライナが取らねばならない段階がある」と指摘。加盟は時期尚早との見解を示した