プレサンスが住友不、三井不を抑え初トップ、20年度マンション販売戸数ランキング

田村 泰顕

 

市場経済研究所所長

 

 

 

 

2020年度のマンションの販売戸数は、プレサンスコーポレーション(大阪市)が初めて首位に立った。これに住友不動産、三井不動産レジデンシャル、野村不動産が続いた。市場経済研究所が21年7月26日に発行した「2022年版 全国住宅・マンション供給調査 企業別ランキング」で明らかになった。

 22年版で21回目となる同調査では、マンションの建設・開発を手掛ける全国の主要企業に調査票を送り、21年5月から同年6月上旬にかけて、各社の決算報告に沿った販売戸数実績と計画戸数を年度単位で聞いた。回答企業数は94社だった。

 マンションは、94社の20年度の販売戸数合計が6万3070戸で、19年度(6万7225戸)に比べて6.2%減少した。新型コロナウイルスの感染拡大で不動産各社が営業活動を一時停止したことや、用地や建築費の値上がりに伴うマンション単価の上昇などが響いた。

 ただし、東京都の再開発地域や都心への通勤に便利な東京近郊の駅に近いエリアでは、マンションの売れ行きが相変わらず好調だった。

 販売実績ランキングの上位10社の合計も、19年度(3万1363戸)に比べて9.0%減少。2万8555戸と低調だった。回答した企業全体に占める上位10社の販売シェアは、45.3%に達する。

会社名 2020年度実績 2021年度計画
プレサンスコーポレーション 4,929 1,715
住友不動産 4,149 3,800
三井不動産レジデンシャル 3,775 3,100
野村不動産 3,297 3,950
大和ハウス工業 2,484 3,400
三菱地所レジデンス 2,350 1,700
タカラレーベン 1,963 1,750
穴吹興産 1,880 1,901
近鉄不動産 1,872 2,976
大京 1,856

マンションの販売戸数が多い不動産会社上位10社。単位は戸。計上基準は原則、引き渡しベース。大京の数字は関連会社の穴吹工務店の分を含む。プレサンスコーポレーションは21年度から決算期を9月に変更する予定であり、21年度の集計期間は4~9月の6カ月間になる(資料:市場経済研究所)

 上位の顔ぶれを見ると、1位はプレサンスコーポレーション(19年度2位)の4929戸だった。新型コロナの影響などで販売戸数を大幅に減らす会社が多いなか、プレサンスコーポレーションは19年度に比べて落ち込みが2.7%と相対的に小さく、19年度に1位だった住友不動産を抜いて、初めて首位に立った。

 プレサンスコーポレーションによれば、新型コロナの影響はあるものの、地元大阪の高槻市や茨木市など、大阪・北摂地域の駅に近いエリアで、特にファミリー向けマンションの引き合いが強いという。

 2位は住友不動産の4149戸だ。19年度に比べて23.4%減と大きく減らし、プレサンスコーポレーションに首位の座を明け渡した。3位は三井不動産レジデンシャル(同4位)で、上位10社の中では最も高い18.2%の伸びを達成して好調だった。

 三井不動産レジデンシャルは、都心部や都内の再開発地域など高額物件の売れ行きが堅調だ。売上高は23%増加し、金額トップである。4位の野村不動産(同3位)の販売戸数が22.8%減少したのとは対照的で、三井不動産レジデンシャルに抜かれて後退している。

 上位4社は、年間3000戸以上を販売している。ただし、19年度には2社あった5000戸超を売る会社が20年度は1社もない。

 5位は大和ハウス工業(同8位)で、販売戸数を12%伸ばして順位を3つも上げた。6位の三菱地所レジデンス(同5位)は逆に、19.6%減少。7位のタカラレーベン(同9位)は6.1%増、8位の穴吹興産(同10位)も8.7%増で、共に順位を上げた。

 9位の近鉄不動産(同6位)は23.3%減、10位の大京(同7位)は17.8%減と振るわなかった