住団連が住宅の浸水対策マニュアルを公開、復旧工事費の目安も提示

荒川 尚美

 

日経クロステック/日経アーキテクチュア

 

 

 

住宅生産団体連合会(住団連)は2021年7月26日、「住宅における浸水対策の設計の手引き」を公開した。

主な対象は、地上1~3階建ての新築戸建て住宅。

設計者が建築主に対して浸水リスクなどを説明し、要望を踏まえて設計目標を設定したり、対策を講じたりするための情報やノウハウをまとめた。

 

 

 具体的には、浸水深に応じた被害状況と復旧方法の事例、

復旧工事費の目安、

建設地の浸水リスクの確認方法、

設計目標の設定方法、

浸水対策の検討の流れ

などを盛り込んだ。

 

浸水リスクを整理するためのチェックリストに加え、

想定される被害や

復旧費用を確認したり、

浸水リスクに応じて対策を検討したりするための設計シートも用意した。

 

 

 復旧工事費の目安は、

住団連の会員企業から集めた浸水事例120戸を集計して示した。

集計結果からは、浸水が床下か床上かで復旧工事費に大差が生じることが分かる。

 

 

 例えば、

木質系の中央値を見ると、

 

浸水深が地盤上0.5m以下の床下浸水(Lv1)の場合は20万円。

 

これに対して、

地盤上1.5m以下の床上浸水(Lv2)は740万円、

 

地盤上1.5m超から1階天井まで(Lv3)は1580万円、

 

2階床以上(Lv4)は1700万円と、一気に跳ね上がる。

 

 

 

120戸の復旧工事費の範囲と中央値を集計して箱ひげ図で示した。図中の斜め矢印の値は天井まで浸水した住宅を示す。延べ面積は80~250m2(資料:住宅生産団体連合会)

120戸の復旧工事費の範囲と中央値を集計して箱ひげ図で示した。図中の斜め矢印の値は天井まで浸水した住宅を示す。延べ面積は80~250m2(資料:住宅生産団体連合会