ベルリンの壁、建設60年 自由の大切さ思い起こし式典

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ベルリンのベルナウアー通りに残る壁=2021年8月13日、野島淳撮影

 

 

 

 

 東西冷戦の象徴となり、約28年にわたってベルリン市内を東西に分断した「ベルリンの壁」の建設が始まって、13日で60年となった。各地で記念の式典が開かれ、壁を越えようとして亡くなった犠牲者や自由の大切さを改めて思い起こす機会となった。

 

 

  【写真】ベルリンで13日、ベルリン壁建設60年記念の式典で、献花に加わるドイツのシュタインマイヤー大統領=ロイター 

 

 

 ベルリンの壁が一部残されているベルナウアー通りの式典では、シュタインマイヤー大統領が「夢と希望を壊し、子どもを両親から、孫を祖父母から引き離し、人々の生活を痛々しく引き裂いた日だ」と述べた。さらに「壁の記憶を振り返るだけではだめだ」とし、「自由と民主主義を守るため、みんなが貢献していかねばならない」と語った。大統領ら式典の参加者は犠牲者に祈りを捧げ、記念施設に献花した。  壁は旧東ドイツ政府が1961年8月13日、自由に移動できた東西ベルリンの境界線に有刺鉄線を張って建設を開始。自由で豊かな西側に自国民が逃れるのを防ぐためだったが、国内では自国民を「西側から保護するため」と宣伝された。  89年11月9日、東西の自由な移動が認められたことで、壁は「崩壊」に至る。この間、壁を越えようとして、国境警備隊員に撃たれるなどして亡くなった人は、少なくとも140人に上るとされる。  欧州連合(EU)首脳会議のミシェル常任議長はツイッターに「ベルリンの壁は分断された世界の象徴だ。自由と民主主義が所与のものだと考えてはならないことを思い起こさせる」と投稿した。(ベルリン=野島淳)

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