ミシェル&セバスチャン・ブラスの新レストラン「ラ・アール・オ・グラン」がパリにオープン!
By 魚住桜子
© MURAMATSU
RESTAURANT
ミシェル&セバスチャン・ブラスの新レストラン「ラ・アール・オ・グラン」がパリにオープン!
By 魚住桜子
ブラス親子の新しいレストランが現代アートの美術館に登場! その様子をレポートする。
ブラス親子の挑戦
フランス中南部・オーブラックのシェフ、ミシェル・ブラスはフランスを代表する自然派の料理人だ。1999年にミシュラン3つ星を獲得し、維持していたが、「今後は純粋に料理だけに、自分の情熱を注ぎたいと」と、2017年に返上した。以降も息子のセバスチャンとともに、自然からインスピレーションを受けた独創的な料理で、世界中の食通たちを唸らせてきた。
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この6月、パリ1区のレアールにできた美術館「ブルス・ド・コメルス」の最上階に彼らのレストラン「アール・オ・グラン」(穀物市場)がオープンした。ここは19世紀の歴史建造物である旧商品取引所を安藤忠雄の設計によって改修した建物で、館内には実業家フランソワ・ピノーの1万点にも及ぶコンテンポラリー・アートが展示されている。
安藤忠雄による神殿のような円形の建築。高さ35メートルのガラスの丸天井からは燦々と自然光が差し込む。
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内装を手がけたのは今のフランスを代表するデザイン・ユニット、ロナン&エルワン・ブルレック兄弟。オフホワイトを基調に、黒とグレーの家具、ギピュールのカーテンなど、細部まで考え抜かれた透明感があって洗練された空間だ。店内はサン・トゥスタッシュ教会や再開発されたレ・アールがゆっくりと見下ろせる席と、美術館の中央ホールを一望できる席の二手に分かれる。
見事なゴシック建築の外観を誇るサン・トゥスタッシュ教会をゆっくりと見下ろせる側の席
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ここは昔、小麦貯蔵庫だった歴史に敬意を表して、新しいレストランでは種子や穀物にフォーカスを当てた。とはいえ、菜食主義のレストランでは毛頭ない。牛や仔羊、鴨は故郷・オーブラックの農家から仕入れている。
フランスを代表する自然派の料理人ミシェル・ブラスさん。「料理と建築は自然回帰する点において密接な繋がりがある」という。2022年、軽井沢に隈研吾の設計による支店をオープン予定。
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「ありふれたものに美しさを見つける。それこそが料理の真髄だと思っています。今回、コツコツと種子や穀物に取り組んで、自分の好きな料理に反映させる試みをしました。どの皿にも確固たる意味があって、エモーションを喚起させる必要がある。穀物はその他の食材の味覚を目覚めさせ、あらたな音色をもたらすのです」とミシェル・ブラス氏は語る。
オニオンタルト
米粉とオオバコで作ったグルテンフリーのタルト生地に新玉ねぎとグリンピースを乗せ、いくらとカラスミでアクセントをつける。自然の豊かな甘味が口いっぱいに広がる。
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世界各地から取り寄せた多種多様の種子や穀物──アマランサス、小豆、ソラ豆、エンドウ豆、フォニオ、キビ、大麦、ホラーサン小麦、亜麻、クミン──などは、焙煎、発芽、発酵、グリル、膨張させて、まるで調味料のように縦横に使いこなす。どの料理もファンタジーに富んでいて、予期せぬ思いがけなさをもたらしてくれるはずだ。
さくらんぼのデザート
熟したさくらんぼの下に、さくらんぼの種で香りづけしたクリームをしのばせ、オレンジ、アルファルファとフェンネルの新芽をあしらった。清涼きわまりない初夏の味わいだ。
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パリのど真ん中にいながら、まるでオーブラックへトリップしたかのような錯覚に陥るかも? 過去・現在・未来をつなぐ、フランスの新しいスタイルの料理を体験できるに違いない。
INFORMATION
ラ・アール・オ・グラン
La Halle aux grains
2 rue de Viarmes 75001 Paris FRANCE
Bourse de Commerce 内3階
Tel: +33 1 82 71 71 60
https://www.halleauxgrains.bras.fr
※ランチコース 3皿 54ユーロ、お任せコース5皿 78ユーロ、7皿98ユーロ。アラカルト 前菜19〜32ユーロ、メイン38〜52ユーロ、デザート16〜24ユーロ
文・魚住桜子 写真・村松史郎