米英加がベラルーシ制裁 米、五輪委も対象
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米国、英国、カナダの3カ国は9日、旧ソ連構成国ベラルーシで大規模デモにつながった大統領選から1年となった同日に合わせて同国のルカシェンコ政権に制裁を科すと発表した。米国の措置は対ベラルーシ制裁として最大規模で、バイデン大統領は声明で「ルカシェンコ政権による選挙不正や人権弾圧の責任を取らせる」と改めて強調した。 米国はルカシェンコ政権を資金面で支えるビジネスマンや治安機関関係者ら23人と21企業・機関に制裁を科すと発表した。基幹産業である肥料関連やエネルギー、たばこ産業、建設業界を牛耳る民間・国営企業やその経営幹部らを制裁対象に指定。同政権と一体化して利益を得るとともにルカシェンコ氏周辺の資金源になっていると非難した。 制裁対象にはルカシェンコ大統領の長男が会長を務めるベラルーシ五輪委員会も含まれる。米政府は、同委員会が「ルカシェンコ氏周辺によるマネーロンダリング(資金洗浄)に利用されている疑いがある」と指摘した。同委員会は今年2月までルカシェンコ氏自身が会長を務めていた。 また、今年5月にアイルランドの旅客機がベラルーシの首都ミンスクに強制着陸させられ、乗客だった反体制派記者が拘束された事件に関与したなどとして、アブラメンコ運輸・通信相ら高官を制裁対象に追加した。制裁対象となった個人・団体は米国内の資産を凍結される。米国人が制裁対象と許可なく取引することなども禁じられる。 英国は石油製品の取引制限やベラルーシ機の英領空通過の禁止などの措置を実施。ラーブ外相は「ルカシェンコ政権は民主主義を押しつぶし、人権を侵害し続けている」と強く非難した。カナダも金融分野での取引制限などを科した。
(ワシントン 大内清