五輪のカメラに異変 「白黒戦争」から、新興勢力が存在感
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キヤノンのカメラで撮影した男子200メートルバタフライ銀メダルの本多灯=2021年7月28日、東京アクアティクスセンター、杉本康弘撮影
世界中から注目を集める夏季オリンピック(五輪)はカメラメーカーにとって重要なプロモーションの場だ。東京五輪も例外ではないが、そのカメラマン席で異変が起きている。
【写真】ニコンの撮影システムを使ってリモート撮影した男子100メートル決勝。右から2人目は優勝したヤコブス(イタリア)=2021年8月1日、国立競技場、池田良撮影
これまでの五輪は、キヤノンとニコンの老舗2大メーカーのカメラがほぼ独占状態で、両社の望遠レンズの色から「白黒戦争」とも言われていた。そこに割って入ってきたのが、新興勢力のソニーだ。 ソニーは国際オリンピック委員会(IOC)の依頼を受け、報道カメラマンの拠点となるメインプレスセンター(MPC)内にメンテナンスブースを今大会初めて開設した。 今大会、ブースがあるのは3社のみ。ソニーは3年前の平昌五輪はMPCの外にブースを設けて対応していただけに、今大会、初めて老舗2社と肩を並べる形となった。 スポーツカメラマンの間でソニーの存在感が高まったのは、ここ3、4年のことだ。今年3月に新型機を投入すると、その流れが加速した。 特長は1秒間に30コマの高速連写と、対象の目に自動でピントが合う「瞳フォーカス」。スポーツ紙のカメラマンは「ピントを意識する必要が薄くなり、構図に専念できる。動画撮影に近い感覚」という。世界的な通信社のAP通信は昨年、カメラ機材をすべてソニー製にすると発表している。 連写中も音が出ないことから、静粛が求められるゴルフのスイング中や、テニスのサービス、陸上のスタートもシャッターが切れる利点もある。選手ではなく、水しぶきにピントが合うことも多かった水泳競技でも、今大会はソニーを使用するカメラマンが増えている。
朝日新聞