2021年ノンフィクション本大賞のノミネート作品が、現役の書店員の投票によって選ばれました。大賞の栄誉を手にするのはどの作品でしょうか。ぜひ本を読んで予想してみてください。

  • 「あの夏の正解」早見和真/新潮社
  • 「海をあげる」上間陽子/筑摩書房
  • 「キツネ目 グリコ森永事件全真相」岩瀬達哉/講談社
  • 「ゼロエフ」古川日出男/講談社
  • 「デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場」河野啓/集英社
  • 「分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議」河合香織/岩波書店

作品名は50音順

『あの夏の正解』早見和真/新潮社

あの夏の正解早見和真/新潮社

出版社からのコメント
新型コロナの感染拡大で夏の甲子園中止──最初にその報道を目にした時、頭に浮かんだイメージは「かわいそうな高校球児」。しかし、元球児でもある著者の早見さんが向き合った彼らの姿は、そんな先入観を軽々と打ち破るものでした。全国の1000校を超える学校司書さんからも注文が相次ぎ、異例の図書館重版も決定。これは「ただの野球の本」でも「悲劇の本」でもありません。「あの夏」を経験したすべての人に読んでいただきたい作品です

『海をあげる』上間陽子/筑摩書房

海をあげる上間陽子/筑摩書房

出版社からのコメント
沖縄での生活を、淡々と書いた作品です。過去に傷ついた日々を友人に支えてもらったこと、歌舞伎町で働く沖縄出身のホストの生活史を聞いたこと、海に日々たくさんの土砂が入れられていくこと。具体的なできごとの描写を通じて、人間の営みの本質が描かれているように思います。この「海」を、どうか受け取ってください。「新しい言葉の担い手」として第14回「わたくし、つまりNobody賞」受賞、第7回沖縄書店大賞沖縄部門大賞受賞作

『キツネ目 グリコ森永事件全真相』岩瀬達哉/講談社

キツネ目 グリコ森永事件全真相岩瀬達哉/講談社

出版社からのコメント
「少なくとも6人いた」グリコ森永事件の犯人グループの人数、役割分担、構成にまで迫ったスクープ作。『年金大崩壊』にて講談社ノンフィクション賞、『伏魔殿 社会保険庁を解体せよ』で文藝春秋読者賞を受賞、確かなる力量、実績を持つ著者が、第一線で捜査にあたった刑事、捜査指揮した警察幹部、犯人グループと直接言葉を交わした被害者、脅迫状の的になった企業幹部など、徹底した取材で事件の真相をえぐり出す。闇に消えた「キツネ目と仲間たち」の全貌とは!

『ゼロエフ』古川日出男/講談社

ゼロエフ古川日出男/講談社

出版社からのコメント
そうか、「復興五輪」も消えるのか。歩こう、と思った。話を聞きたい、と思った。――福島のシイタケ生産業者の家に生まれ育った著者が、18歳であとにした故郷に初めて全身で向き合った。生者たちに、そして死者たちに取材をするために、中通りと浜通りを縦断した。いつしか360キロを歩き抜いた。報道からこぼれ落ちる現実を目にした。ひたすらに考えた。あの日から10年、小説家が肉体と思考で挑む初のノンフィクション

『デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場』河野啓/集英社

デス・ゾーン 栗城史多のエベレスト劇場河野啓/集英社

出版社からのコメント
2018年5月21日、登山家の栗城史多さんがエベレストで滑落死した。35歳だった。登山姿を自撮りし、ネットで公開。称賛される一方、それ以上の批判も浴びた。彼はなぜ凍傷で両手の指9本を失った後もエベレストに挑み続けたのか? 最後の挑戦に、登れるはずのない最難関ルートを選んだ理由は? 滑落死は本当に事故だったのか? そして彼は何者だったのか? 謎多き人気クライマーの心の内を、綿密な取材で解き明かします。第18回開高健ノンフィクション賞受賞作。

『分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議』河合香織/岩波書店

分水嶺 ドキュメント コロナ対策専門家会議河合香織/岩波書店

出版社からのコメント
何が正解なのか? ――未知のウイルスに対し、クラスター対策や3密回避など日本では独自の対策を講じたが、その指針を示した専門家会議ではどんな議論がなされたのか。そして、尾身茂ら専門家が会見で人々に直接呼びかけたのはなぜか。政権や官僚との確執、次第に高まる批判や脅迫、緊急事態宣言に至る経過など、激動の日々を関係者の証言で描く迫真のノンフィクション。私たちはこの経験から未来へ進まなければならない