おかしな質問に涙、怒り… テニス選手と記者会見

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AFP=時事

全豪オープンテニス、女子シングルス準決勝。試合後の会見に臨むセレーナ・ウィリアムス(2021年2月18日撮影)。【翻訳編集】 AFPBB News

 

 

 

【AFP=時事】

 

テニスの四大大会(グランドスラム)で4勝を挙げている大坂なおみNaomi Osaka)が全仏オープン(French Open 2021)を棄権したことで、テニス選手が試合後に義務づけられている記者会見のあり方にスポットライトが当たっている。特筆すべきことは起こらない場合も多い会見だが、時には選手が涙を流したり、怒ったり、逆に記者と妙に意気投合したりするケースもある。 

 

 

【写真】「もう終わり」涙のセレーナが会見打ち切り 全豪準決勝で大坂に敗戦

 

 

 

 記者会見を拒否して1万5000ドル(約160万円)の罰金を科され、さらに今後のグランドスラムで出場停止になる可能性もあると言われた大坂は、試合後の会見では「落ち込んでいる人間を踏みにじる」ような質問があると話した。

 さらに大坂は、ほぼ3年にわたって「うつの症状」に苦しんでいることも明かしている。では、会見に不安を感じているのは大坂だけなのだろうか。

 

 選手にとっては試合に敗れた後、特に受け入れがたい敗戦を喫した後の会見が最もつらいかもしれない。

 

 単発であれば、会見を拒否したのは大坂が初めてではない。

 

男子の世界ランキング1位ノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)も、2020年の全米オープン(US Open Tennis Championships 2020)で失格になった後には会見を欠席した。

 

「イエス」か「ノー」しか言わなかったヴィーナス・ウィリアムス(Venus Williams、米国)や

 

バーナード・トミック(Bernard Tomic、オーストラリア)のように、会見に現れはしたものの、

極力質問には答えないようにした選手もいる。

 

 ひどくくだらない、あるいは不適切とみなした質問に怒る選手もいる。

ニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は2020年1月、「アレックス・デミノー(Alex de Minaur、オーストラリア)はラファエル・ナダル(Rafael Nadal、スペイン)を倒せるか」という質問に対して、「今までで一番くだらない質問だ」と答えた

 

 

■ナダルも「ふざけた」質問に怒り

 グランドスラム20勝を挙げているナダルも、記者に苦言を呈したことがある。2019年、結婚がプレーに影響しているかと問われたナダルは「本気で聞いているのか? 真面目な質問なのか、それともジョークか」と言い返し、「ふざけた」質問だと怒った。

 

 不適切な質問をされる選手も当然いて、

シモナ・ハレプ(Simona Halep、ルーマニア)は胸の大きさを小さくする手術を受けたのが

「役立ったのはコートの中か、それとも外か」

と聞かれたことがある。

 

意味不明な質問もあり、

スタン・ワウリンカ(Stan Wawrinka、スイス)は以前、「ツイッター(Twitter)がある時代なら、マーティン・ルーサー・キング(Martin Luther King)はどんな感じだっただろうか」と聞かれた。

 

 

 大坂が言ったように、つらい敗戦の後の受け答えに苦しむ選手もいる。

ガエル・モンフィス(Gael Monfils、フランス)は2月の全豪オープン(Australian Open Tennis Tournament 2021)で失意の1回戦敗退に終わった後、会見で涙を見せながら

「ここへ来るたび、断罪されているように感じる。

記者は『君はまた負けた。なぜか』と聞いてくる。

すでに倒れている僕を、君らは銃で撃つんだ」と訴えた。

 

 オーストラリア・南クイーンズランド大学(University of Southern Queensland)のピーター・テリー(Peter Terry)教授(心理学)は、豪サイト「theconversation.com」への寄稿で、

試合後に行われている記者会見には「のぞき見趣味の感覚」があると指摘。

「一部の人はおそらく、自分が崇拝していたアスリートが泣き崩れるのを見たいのだろう」とした。

 

 一方、セレーナウィリアムス(Serena Williams、米国)は「私も(記者会見に)向かうのがとてもつらい時があった」と認めた上で、「だけど、それが自分をもっと強くした」とも話している

 

 

 

 コートでは気分屋で知られるダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)も、試合後の会見が助けになる場合があると考えており、「機嫌が悪い時でも、君らと話した後には気分が良くなっていることがある」と語っている。

 

 とはいえ、女子の世界1位アシュリー・バーティ(Ashleigh Barty、オーストラリア)らほとんどの選手は、

取材を単なる「仕事の一部」と考えている。

それでも大坂の今回の告白をきっかけに、この慣習は今後も仕事の一部であるべきなのかという疑問が生まれている。

【翻訳編集】 AFPBB News