米国務長官、再生エネで「中国に遅れ」 気候変動で世界を主導へ
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気候変動問題について演説するブリンケン米国務長官=メリーランド州アナポリスで2021年4月19日、AP
ブリンケン米国務長官は19日、気候変動問題について演説し「対応で世界を主導するのに失敗すれば、米国は取り残される」と訴えた。風力や太陽光などの再生可能エネルギーの分野で「中国に後れをとっている」とし、「再生可能エネルギー革命をリードできない米国が中国との長期の戦略的競争に勝利できるとは考えにくい」と強調した。 バイデン大統領が22~23日にオンライン形式で主催する気候変動に関する首脳会議(気候サミット)を前に、東部メリーランド州アナポリスで演説した。 ブリンケン氏は、中国が太陽光パネルや風力発電設備などの生産や輸出で最大の国と指摘。「中国に追いつけなければ米国の利益や価値観を反映して世界の気候変動の未来を形作るチャンスを逸し、米国民の無数の雇用も失う」と強調した。エネルギーの大部分を石炭に依存したり、石炭火力発電所に新規投資したりする国には「有害な行為」として、改善を働きかける意向も示した。 バイデン政権は気候変動対策を外交・安全保障の中心課題に位置づけている。ブリンケン氏は「気候変動は米国が直面している最大の挑戦」との認識を表明。世界の約15%を占める米国の温室効果ガスの排出量をゼロにしても、「世界の残り85%の削減に失敗すれば、米国は闘いに負ける。安全保障にも大きな影響を与える」と述べ、多国間連携の必要性を強調した。 一方で、気候変動を「脅威の切り口からのみ考えるのは間違っている」とも指摘した。世界のインフラ整備に向けて「米国に大きな利害がある」と説明。雇用やビジネス機会の創出とともに、透明性や持続可能性を確保し、発展途上国を債務危機に陥らせないインフラ整備の重要性を訴えた。【ワシントン鈴木一生