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ストッキングが最大効果 感染防止のマスク着用法 米研究チーム

 

 

濾過効率試験に用いたマスクのかけ方。通常の使用方法のほか、マスクの隙間を減らす工夫5通りをテストした(JAMA Internal Medicine誌提供)
濾過効率試験に用いたマスクのかけ方。通常の使用方法のほか、マスクの隙間を減らす工夫5通りをテストした(JAMA Internal Medicine誌提供)

新型コロナウイルスの感染防止策としてマスク着用は欠かせなくなったが、マスクのフィルター効果を最大限に引き出す方法について、米国の研究者らが工夫を凝らした着用法の実験を行い、その結果を米医師会発行の学術誌に発表した。重要なポイントは、顔面との隙間をできる限り減らすこと。耳にかけるひもを1度結ぶ方法などを抑えて、最大の効果があったのは、女性が着用する服飾品ナイロンストッキングをかぶせて固定する方法だった。

医療用に近い「ストッキング」の性能

 

 

 研究チームは、米ノースカロライナ大チャペルヒル校などの研究者ら。実験では、素材は不織布のサージカルマスクを使用。ウイルスなどの放出、侵入を防ぐためにつくられたマスクで、フィルターの目が細かいのが特徴だ。

 

 

 研究チームは、顔へのフィット性を高めるための工夫を施した上で成人男性に着用してもらい、それぞれのかけ方について微粒子の濾過(ろか)効率テストを実施。通常の使用方法と比較した。

 

 

 

 着用の仕方は、

 

 

(1)マスクの耳ひもを顔の横で1回結ぶことで、マスクの端をぴったり頬(ほお)に当てる

 

(2)イヤーガードと呼ばれる器具で耳ひもを後頭部で留める

 

(3)ヘアクリップを使って、耳ひもを後頭部で留める

 

(4)マスクの上から3本の輪ゴムをかけて固定する

 

(5)マスクの上から薄手のナイロンストッキングをかぶせる-の5通り。

 

 

 テストの結果、何も工夫を施さない通常の使用方法では微粒子のすり抜けを防ぐ割合は38・5%だった。一方、工夫を施した場合には、すべての方法で数値が向上した。

 最大の効果が得られたのは

マスクの上からナイロンストッキングをかぶせて固定する方法で、80・2%。

 

米国食品医薬品局(FDA)が承認する高性能の医療用マスク「N95」は98・4%だといい、

ストッキングをかぶせる方法がそれに最も近い結果となった

 

 

 

 

 

 

次に効果が高かったのは輪ゴムで固定した場合で78・2%。このほか、耳にかけるひもを1回結ぶ方法では、60・3%、ヘアクリップは64・8%、イヤーガードは61・7%となった。

長期間の着用には工夫を

 マスクの着用をめぐっては、バイデン米大統領や河野太郎・ワクチン担当相らが布マスクと不織布マスクを重ねる「二重マスク」を着用。街中で、二重マスクをかける人も少なくない。マスクのフィルター効果を高めるためのさまざまな工夫を凝らした結果でもある。

 今回の研究結果について、研究チームは「マスクの端を顔にぴったりと付けて密閉性を高めることで、効果が上がった」として、マスク素材の持つフィルター効果を十分得るためには、フィット性を意識することが大事だと強調する。

 ただ、ナイロンストッキングをマスクの上からかぶせる方法は、面倒な上に装着感が悪い。輪ゴムを使用すると、耳に強い負担がかかり、着用から数分のうちに不快感を生じたとして、長期間の着用を考慮しつつ工夫を講じることも大切だとしている