ZARAまたも店舗閉鎖の波、身にしみる寒風

オンライン事業の成長だけでは冬場の店舗閉鎖を相殺するには不十分

The Wall Street Journa

 

Carol Ryan

 

 

 

 

 

 

 「ZARA」の親会社はクリスマスを前にした重要な商戦期間に、またも店舗閉鎖を余儀なくされている。

 

オンライン事業は急速に伸びているが、期待ほどの埋め合わせとはならないかもしれない。

 スペインを拠点とする衣料品小売り世界最大手のインディテックスは15日、10月までの3カ月間の売上高(為替変動の影響を除く)が前年同期比10%減となったと発表した。

 

新型コロナウイルス感染の第2波に見舞われるまで、同社は危機前の売上高水準をほぼ回復していた。スペインやアイルランドなどの市場では10月中旬以降、必要不可欠でない小売業に対する一段と厳しい規制が導入された。

 

 

 

 

 英国、ドイツ、オランダの一部でも今週、新たな規制が導入される。

こうした中で問題になるのは、インディテックスのデジタル事業が――新型コロナの感染流行前より現在ははるかに大きくなっているが――店舗で失われた売上高を感染第1波で規制が敷かれた際より迅速に取り戻せるかどうかだ。

これまでのデータを見る限り、答えは限定的な「ノー」のようだ。

 

 

 4月と5月のロックダウン最悪期には、世界のインディテックス店舗の4分の3が閉鎖を強いられ、売上高は62%減少した。

 

11月には同社店舗の21%が閉鎖され、グループ全体の売上高が19%減少した。バーンスタインのアナリスト、アニーシャ・シャーマン氏がインディテックスの店舗ベースの推計売上高を分析したところでは、デジタル事業が最初の店舗閉鎖の時より迅速に埋め合わせていれば、業績はもっと堅調になるはずだった。

 

 

 そうならなかった理由はいくつか考えられる。

 

インディテックスのデジタル売上高は2020年に入り既に75%拡大している。

オンラインでの購入に切り替える用意のあった全ての買い物客が、既にそうしている可能性がある。

営業を続けた店舗では、ソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)ルールによって購入が抑えられた可能性もある。

同社のデジタル部門はまだ、営業中の店舗の販売減速や完全に閉店した分を相殺するほどの規模ではない。

 

その他の面では、インディテックスの業績はいつも通り申し分ない。

 

10月末時点の在庫水準は前年同期を11%下回っ在庫を厳格に管理しているということは、値引き販売しなければならない衣料品が少ないことを意味し、利益率が守られる。

 

現金持ち高は83億ユーロ(約1兆0500億円)と過去最高に達した

 

 

 インディテックスは今年、実に上首尾にオンライン事業を成長させた。

新型コロナ感染が収まれば、デジタル面では格段に強力になるだろう。

だが短期的には、それだけでは冬場の店舗閉鎖から事業を保護するのには不十分だろう。