発明はいつも苦し紛れ、 「ホンダが新駅建設」という光明

 
大西 綾
 
 
 
 

 

 

「請願駅」──。この名称に良い印象を持つ人、悪い印象を抱く人、どちらが多いだろう。

 新幹線、在来線に限らず、我が街を活気づかせる駅がほしい。でもJRはじめ鉄道各社の当初計画には入っていない。

 ならば地方自治体が、鉄道会社に代わって、駅建設に必要なお金を出して造ればよい。たとえ税金を投入しても街が活性化すれば、受益と負担の関係や費用対効果の帳尻は合う……。ここでの名指しは避けるが、日本全国にはこうした経緯で造られた駅が数多くある。

リニアも決別した「請願駅」ラッシュ

(写真:日刊工業新聞/共同通信イメージズ)

 日本経済が右肩上がりの時代にはそれでもよかったのかもしれない。だが駅前再開発すらうまくいかず閑古鳥が鳴き、その街で最もにぎわっているのは郊外型の大型商業施設……。そんな場所は、地方都市で数え上げればいくらでもある。バブル崩壊以降、デフレと不況、または低成長に悩んできた日本にあって、そもそも「駅さえできれば街が潤う」という発想自体が猛烈に古くなった。

 しかも、地元出身の政治家をはじめ「強い欲望」と「票」のにおいさえ渦巻くこの請願駅だ。JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線は、早い段階からこの歴史との決別を宣言し、「リニアは各県1駅のみ」の原則を打ち出している。「地元などからの要望を受け入れて何度も駅に止まっていたら、スピード勝負のリニアがリニアでなくなる」。そんな思いもある。

 10月31日、埼玉県内に新駅が誕生した。県北部の寄居町にできた、東武鉄道「みなみ寄居駅」だ。これもまた同じ「請願駅」ではあるものの、これまでと性格はだいぶ異なる。頼んだ側は、鉄道駅であっても自動車メーカーのホンダ。費用負担も全額、ホンダ。企業拠出型の新駅建設だ。

 

 

 

 

 

 

 

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ウィキペディア(Wikipedia)

 

みなみ寄居駅(みなみよりいえき)は、埼玉県大里郡寄居町大字富田にある、東武鉄道東上本線[1]。駅番号はTJ 35[1]。副駅名はホンダ寄居前(ホンダよりいまえ)[1]

東武鉄道では2017年に開業した東武ワールドスクウェア駅以来、東上本線では2002年に開業したつきのわ駅以来の新駅

 

 

自動車メーカーの本田技研工業(ホンダ)は2023年度をめどに狭山市にある狭山工場を閉鎖し[4]寄居町にある寄居工場に機能を集約・強化する方針を決めていたが、勤務する従業員らが増加することで、沿道の国道254号の渋滞悪化が見込まれ課題となっていた(国道254号はホンダ寄居工場や小川工場への通勤客で慢性的に混雑状態)[5][3]

道路の混雑緩和や従業員のアクセス向上を目的として、本田技研工業(ホンダ)が東武鉄道側に新駅の設置を要望し[6]、同社が建設費用を全額負担する請願駅として駅開設に至った(事業費用は非公表)[5][7]。利用客として工場勤務者を想定しており、パークアンドライドの促進も検討している

 

 

駅名の由来[編集]

東武鉄道は、「寄居町の南側に位置する駅として分かりやすく、また親しみを込めて “南”を平仮名で表記する」とした。また、同駅をホンダ寄居工場への最寄り駅として、国内外のホンダ関係者が多く利用することから、副駅名を「ホンダ寄居前」とした[1][3]

東上線系統で副駅名が付与されている駅の中で唯一、公式の路線図や停車駅案内においても副駅名の併記がなされている