分断の街ニューヨークの分断された視点

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ニューズウィーク日本版

 

<さまざまな課題に対するアメリカ市民の見解は、保守かリベラルかの2つのイデオロギーによって両極化してしまった>

【外交】アメリカ国連代表部の正面に飾られたドナルド・トランプ大統領の肖像写真。通りを挟んで反対側にある国連本部前に掲げられた加盟国の国旗がガラスに映る(本文文末に続く)

 

 

 

高級ブティックや百貨店が立ち並ぶニューヨーク5番街。

 

豪奢なショーウインドーやブランド品は世界中から訪れる人々を魅了してきた。

 

ところが大統領選挙を11月3日に控えた最近は、

営業不振のために休業や撤退を余儀なくされた店舗が目立つ。

店は傷だらけの合板で覆われ、

露天商が偽のブランド品を売っている。 

 

 

 

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この光景を、両大統領候補の支持者たちは全く異なる視点で見ている。

 

共和党側は「リベラルな州知事らによる過剰な新型コロナウイルス対策が原因」と捉え、

 

民主党側は「保守派トランプ政権の経済政策の失敗」と呼び、

 

お互いを罵り合う。 

 

 

外交、治安、公衆衛生などのさまざまな課題に対する市民たちの見解は、

 

保守かリベラルかの2つのイデオロギーによって両極化している。

 

見解が大きく乖離した者同士の議論は成立せず、選挙戦の中で対立だけが深まっている。

 

 

 結果はどうあれ、選挙後に双方が歩み寄りを目指すことなどあり得ない状況だ。

 

修復が困難なところまで進んだ分断社会を、癒やす方法はあるのだろうか。 

 

(冒頭写真キャプションの続き) 

 

 

<共和党支持者の視点>

 

自国第1主義。

国際協調路線に背を向け、

気候変動対策や

イラン核合意などの

国際的枠組みからは離脱。

アメリカの利益にならない国連は軽視して当然 

 

 

<民主党支持者の視点>

多国間主義。

トランプは同盟国やパートナーを正当に扱わず、時に見捨ててきた。

アメリカ主導の国際協調を復活させ、権威主義的国家の台頭を止めるべきだ 

 

 

Photographs by Q. Sakamaki for Newsweek Japan 

 

撮影:Q・サカマキ 

 

1986年よりニューヨーク在住。

米コロンビア大学大学院卒業。

80年代は主に米国の社会問題を、

90年代以降は世界各地の紛争地を取材し、

作品を 欧米の有力誌やアートギャラリー、美術館で発表する。

 

著作に『戦争── WAR DNA』(小学館)、

『Tompkins Square Park 』(powerHouse Books)など 

 

<本誌2020年11月3日号掲載>

Photographs by Q.SAKAMAKI

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/a6994307558a5f88e26543c8f722c8a239e774a1