Q.関空対岸に出来たPFI公園にあるこれは何?
三上 美絵
ライター
(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
関西国際空港を沖に臨む大阪府泉南市に2020年7月、「泉南りんくう公園」が開業しました。大阪湾に面した南北2km、敷地面積10万7800m2の広大な同公園は、「SENNAN LONG PARK」という愛称も付きます。
未整備だった府の公園用地を市が無償で借り受け、市が大和リースを代表企業とする企業グループに公園の整備や維持管理、運営を委託しました。総工費は約23億円。企業グループは公園内の有料施設などからの収入によって整備や管理の費用を賄います。つまり、市の公費を投入しない独立採算型のPFI(民間資金を活用した社会資本整備)事業です。
公園にはサッカーグラウンドやスケートボード場、アスレチックなどのスポーツ施設、レストランなどの飲食施設、グランピングや合宿場などの宿泊施設を併設。大阪府南部や和歌山県などから年間200万人の来場を想定しています。
上の写真にある円形の施設は、グランピングエリアの一画に造られました。一体、どのような用途に使うのでしょうか。
正解はこちら
2. キャンプファイア場
泉南りんくう公園は4つのエリアで構成されています。スポーツを楽しめる「アクティビティエリア」、レストランやカフェが並ぶ「コミュニティエリア」、週末に地元の食材が並ぶ青空市が開かれる「マルシェエリア」、都市型キャンプを堪能できる「グランピングエリア」です。
泉南りんくう公園の一番南側に位置するアクティビティエリア。ヤシの木と芝生で米国西海岸をイメージした(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
写真奥の工事現場の足場のように見えるのは、100以上のアトラクションを立体的に組み込んだ都市型アスレチック「ハートスロブ」。空中綱渡りなどが楽しめる(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
グランピングエリアは公園の最も北側にあります。同エリアでは、デジサーフ(神奈川県藤沢市)がホテル「URBAN CAMP HOTEL Marble Beach」を運営。トレーラーハウスを利用したキャビン20棟が並び、居室に宿泊しながらキャンプ体験ができます。
キャビンは全棟がオーシャンビュー。海側にはバーベキュー用のコンロやジャグジーなどを備えたデッキがあり、目前には「日本の夕陽百選」と「恋人の聖地」に選ばれた泉南マーブルビーチが広がります。
トレーラーハウスを利用したキャビンが並ぶグランピングエリア(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
目前にマーブルビーチが広がるキャビン(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
グランピングエリアの一画には、ホテルの宿泊者が利用できるキャンプファイア場もあります。座り心地の良いソファに腰掛け、たき火を眺めながらゆったりとした時間を過ごせます
BOTとBOOを組み合わせる
関空の対岸には大阪府泉佐野市、田尻町、泉南市にまたがる広大な「りんくうタウン」があります。大阪府はりんくうタウンの街開きに合わせて1996年、海沿いに細長い「府営りんくう公園」を整備しました。しかし、泉南市にある10万7800m2の土地は未整備の状態が続いていました。
そこで、泉南市は未整備の土地を府から市営公園用地として無償で借り受け、民間の事業者に無償で貸し付けて公園の整備や維持管理、運営を委託することにしました。市は2017年12月、公募型プロポーザルを開始。18年5月に大和リースを代表企業とする企業グループを選定しました。
事業期間は48年度まで。大和リースなどが整備した施設のうち、市が必須施設として求めた園路や植栽、休憩施設、駐車場、トイレなどは、事業終了後に市へ所有権を移転するBOT(Build-Operate-Transfer)方式を採用。その他の飲食や運動施設などは、事業終了後に解体・撤去するBOO(Build-Own-Operate)方式を採用しています。
公園の南端にあるアクティビティエリアには、スケートボード場や3人制バスケットボール用コート、サッカーグラウンド、合宿所として使える宿泊施設「SORA RINKU(ソラ リンクウ)」などがあります。
ナイター設備のある人工芝のサッカーグラウンド。近隣には野球場や体育館などもあり、様々なスポーツの合宿に使える(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
アクティビティエリアの北隣にあるコミュニティエリアには、バーベキュー施設や飲食施設、ドッグランや遊具のある公園、オートキャンプ場などがあります。飲食施設はどれも平屋で、海側に大きな窓を設けています。テラス席もあるなど、開放的なデザインが特徴です。
コミュニティエリアにはレストランやカフェなどが並ぶ(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
コミュニティエリアの中央には、緑の中を散策できる遊歩道や子どもたちが楽しめる遊具などを設置している(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
コミュニティエリアの北側にあるマルシェエリアでは週末や祝日、公園のそばある岡田浦漁港の新鮮な海産物などを販売する青空市が開かれています。
岡田浦漁港とのタイアップにより、地元ならではの食材が楽しめるマルシェエリア(写真:生田 将人)
[画像のクリックで拡大表示]
泉南りんくう公園越しに臨む関西国際空港と空港連絡橋。離着陸する飛行機がよく見える(写真:生田 将人
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00647/092900043/?P=3