Wikiより、

 

地球温暖化に対する懐疑論

地球温暖化に関する科学的知見を最も包括的に評価した報告書がIPCC第4次評価報告書(以下AR4と略す)である[2][3][4]。この評価結果などにより、地球温暖化の原因は人為的なものが大部分であるとの国際的かつ科学的な合意が得られ、世界の動きはこれを主軸としつつある。AR4にはいくつかの誤記がみつかったが、主要な結論は変わっていない[5]

懐疑論についての組織化されたキャンペーンは、保守的な経済政策に関連しており、 二酸化炭素の規制に反対する産業に支えられている[6]

 

 

米国の気候変動に懐疑的な論文の90%以上は、右翼のシンクタンクに由来している[7]。1970年代後半から石油会社は地球温暖化に関する標準的な見解に沿って広く研究を発表してきたにもかかわらず、気候変動拒否キャンペーンを組織し、数十年にわたって懐疑論についての公共の情報を広めた。これを、タバコ産業による喫煙の危険性の組織的な否認と比較される戦略であるとする者もいる[8][9][10]

また2007年7月に米国石油地質協会 (AAPG)英語版)がその意見[11]を変えて以来、近年の温暖化に対する人為的影響を否定する国際的な学術組織は無いとされる[12]

 

 

 

 

温暖化は二酸化炭素を主とした温室効果ガスの濃度増加に因るとの学術的知見

 

に対して、

 

 

太陽活動の影響、

 

宇宙線の影響、

 

地球内部の活動、

 

磁気圏の活動

 

などが原因と主張する

 

懐疑論。

 

 

 

 

 

 

人為説全般

水蒸気

太陽活動

宇宙線・紫外線・太陽風

小氷期からの回復過程

 

地球寒冷化説

 

二酸化炭素の温室効果についての議論

  • (主張)既に地球放射エネルギーのうち95%は吸収されて飽和状態に近く、二酸化炭素が今後増加しても、大気の窓領域と重なる波長は限られており、それほど気候に変化は起きない[要出典]
    • (反論)二酸化炭素が温暖化を促進する効果には、十分な物理学的な証拠がある[65]
  • (主張)二酸化炭素が原因ならば気候モデルの予測結果では非極地方に於いて対流圏中層の温暖化率は地表より高くなるはずであるが、衛星のデータでは逆に地表の温暖化率が高い[66][要検証 – ノート]
    • (反論)その結論はデータの処理方法の誤りによるものであり、誤りを修正するとやはり対流圏中層の温暖化率が高い[67][68][69]

人為的放熱

炭素循環に関する議論

ミッシング・シンク

 

海洋による吸収・排出

濃度変化は温度変化の結果とする説

温室効果ガスの増加により気温上昇が生じているのではなく、気温上昇の結果二酸化炭素が増えているとの主張がある。

 

 

 

 

二酸化炭素濃度の過去40万年の変化と産業革命以降の急激な上昇

これらの主張については、下記のように反論されている。

 

 

 

地球温暖化の原因や影響の予測には不確実性が伴い、科学的理解が不足する項目や専門家間での意見の不一致が残る項目がある参照)。人為説は主に気候モデルの結果から導かれているが、以下のようにモデルの不完全さを批判する意見も見られる

予測精度に関するもの

モデルと現実の整合性や妥当性を問う批判

 

 

 

温暖化の影響に関する議論

 
 

 

 

 

地質学的に安定な23の潮位観測点で計測された海水準。年約2mmずつ上昇

氷河融解と海面上昇

南極やグリーンランドなどに大量にある氷河氷床は降雪と融解が均衡していれば一定量を保つが、この均衡が崩れると海水準変動に繋がる。地球の平均気温が上昇すると融解(減少)が速まり、海面上昇の要因となる一方で、降水量(降雪量も含む)が増加し海面低下の要因となるとされる。

コンセンサス主義に対する批判[編集]

AR4では、数千人の専門家の見解を勘案して、その時点で最も確からしいと思われる結論を記している。このため参加した専門家間でも見解の相違やばらつきがあり、報告書でも断りがある。このような合意(コンセンサス)形成方法に反発する意見がみられる[112]。また、異論のある人物を集めて合意が形成されていないと主張する例が見られる。

  • (主張)温暖化人為説は政治的な目的で作られ科学的な合意は得られていない(米国上院議員のJames M. Inhofe[113][114]
    • (反論)彼は何度も同様の主張をしているが、そのリストには明らかにその分野の専門家ではない人間が多数見つかっている。また内容的にも、彼の主張は既に反論された懐疑論の蒸し返しである[115][116][117][118][119]

気候研究ユニット・メール流出事件(クライメートゲート)[編集]

クラッキングにより暴露された気候研究者らのメールをもとに、懐疑論者らが地球温暖化が陰謀であると攻撃した事件。英国議会等の複数の調査で、具体的な不正や誤りの証拠は見当たらないとされた。(気候研究ユニット・メール流出事件参照)

対策に関する懐疑論[編集]

地球温暖化に関する論争#影響・対策に対する疑問参照。

メディアに関する懐疑論[編集]

地球温暖化に関する論争#メディアに対する批判参照。

政治的圧力・陰謀説[編集]

 

なお、支持派・懐疑派双方に見られる陰謀論は本質的な議論を遠ざけてしまうと懸念する意見もある[128]

原発産業に関する陰謀説[編集]

二酸化炭素による地球温暖化説が広まった背景には、原発産業による意向が政府などを通して強く働いていたのではないか、いわゆる陰謀があるのではないか、との見方がある。原発産業による陰謀、とする説が生じてしまう背景には、次のような要因があげられる。

  • チャールズ・デービッド・キーリングによる二酸化炭素の観測は軍事予算や原子力予算の転用による支援によって行われており、さらに原発業界は各国政府に働きかけることによって、CO2温暖化説の科学者に研究費を出させた[80]
  • AR4の第2作業部会の統括執筆責任者をつとめたスティーブン・H・シュナイダーは過去に地球寒冷化説を唱えており、地球温暖化説に変説する以前に原発の推進を唱えていた[129]
  • IPCC第1次評価報告書には、原子力エネルギーの利用を図った場合のシナリオが温暖化の抑制効果が高いとされ[130]、IPCC第2次評価報告書には地球温暖化の対策オプションとして「原子力エネルギーへの転換」という項目がある[131]。それらの結果を踏まえ、電力中央研究所は、「日本の温暖化対策の大きな柱は原子力発電の拡大であり、2010年で原子力約6600~7000万キロワットの目標」を掲げることとなった[132]
  • 火力発電所に比べ二酸化炭素の排出量が少ないとの宣伝を行ってきた原発の建設推進派による陰謀である」との主張がある[133]

石油業界に関する陰謀説[編集]

 

懐疑論への反論および学者や団体による見解

地球温暖化は温室効果ガスの増加と人間活動の拡大によるものであるとして懐疑論は反論されている[134]

 

 

 

 

日本語での反論も為されており[13][135](何ページ?)、国立環境研究所の「Q&Aココが知りたい温暖化」がある。

 

東京大学総長で三菱総研理事長の小宮山宏は、「全てについて反論は用意されている」「温暖化懐疑論が問題になっているのは日本だけ」と述べている

 

 

 

海洋研究開発機構近藤洋輝は、NatureやScienceなどの著名学術誌に採用されていない異論が、メディアに安易に取り上げられることに懸念を表明している

 

 

トンデモ本を批判的に楽しむと学会の会長でSF作家の山本弘は著書において、

 

武田邦彦槌田敦らによる懐疑論に関して、

 

誤った解釈や信頼性の低い論拠などの問題点を指摘した上で

 

「素人の印象を信じるな。専門家の言うことに耳を傾けろ。」と述べている。

 

 

 

数学者イアン・スチュワートは『数学の魔法の宝箱』で「地球温暖化詐欺」における気温と二酸化炭素のグラフに関する誤解を取り上げ、幼稚な推論が原因であるとして数学的に解説している。

各国における状況

アメリカ

懐疑派のサイトとして "The Week That Was" (TWTW)[138]、支持派のサイトとして"RealClimate" [139]などが挙げられる[140]。両者とも各国の論文を集めているが、前者の論文は減っているとされる[140]。世論は2008年5月の調査では平均約7割が地球温暖化が実際に起こっていると回答したが、支持政党によって大きな違いが見られた[141]オバマ前政権は環境・エネルギー分野への投資を戦略の柱の一つに据え、環境保護に積極的な人材の登用を決めていたが[142]、 消極的なトランプ政権では石炭などの化石燃料を推進しており、環境保護とはかけ離れている対策を執っている[143]

ヨーロッパ

懐疑論は10年以上前から見られ[140]、今でも『地球温暖化詐欺[144]のような映画が作成されたりしている(その他の懐疑論については上記を参照)。 このような懐疑論に対し2008年5月、欧州議会は「科学に不確実性はつきものであるが、気候変動の原因や影響に関する科学的な研究結果を、科学に基づかずに不確実もしくは疑わしいものに見せかけようとする試みを非難する」と表明している[145]。世論は対策を支持しており、長期目標として気温上昇量を2℃で安定化することを掲げている[146]。2008年12月には2020年までに温室効果ガスを1990年比で20%削減することを可決するなど、対策を進めている[147]

日本

2007年頃から懐疑論が目立ち始め、関連書籍はセンセーショナルな内容で売れ行きをのばした[140][144]。そのような議論では海外の当該分野学術誌に発表していない「専門家」を名乗る人物などにより、温暖化の否定、CO2原因説や人為説の否定[140]、リサイクルなど対策の有効性の否定が主張されている(この項目で上述した内容、および武田邦彦を参照)。一方、そうした懐疑論に関してはその信憑性に関して様々な問題点が指摘され[124]、また反論もなされている(#反論および学術的評価参照)。このような「遅れてやってきた」[140]懐疑論が目立つ状況について、そのような主張はまともな議論とはみなされず、国際的にも通用しない、との危機感が表明され[148]、行政・公的機関・専門家らによる懐疑論への反論サイトが相次いで設置されている(#外部リンク参照)。また専門家チームによる「懐疑派バスターズ」などの取り組みも行われている[149]

 

 

 

姿勢を転換した研究者、研究機関[編集]

  • カリフォルニア大学バークレー校の物理学者Richard Mullerは、気候学者の気温解析手法に批判的で、懐疑論者に理解を示していたが、懐疑派団体からの資金提供を受けて気温再解析した結果、CRUと合致する結果を得て[150]、気温上昇が確かだとしてそれを正式に撤回した。
  • 石油業界関係の学会が最後まで人為説に批判的だったが、近年は温暖化への人為的影響を否定する国際的かつ公的な学術組織は無い