楽天が大ピンチ…? ここへきて「赤字転落」で懸念される「ヤバいシナリオ」
配信
アマゾンは最高益、の一方で…
四半期で52億ドルの利益。創設26年以来最高益を叩き出したのは、言わずと知れたECサイトの巨星・Amazonである。コロナ禍のステイホーム需要の恩恵を最大限受けた企業として決算に注目が集まっていたが、7月末に発表された数字は市場に強烈なインパクトを与えた。
【実名公開】楽天、赤字転落のウラで「株価が上がる」意外な銘柄…!
「増益は確実視されていたものの、コロナ対策でコストも膨らんでいたため、アマゾンはどれだけ収益をあげられるか、投資家から疑問が呈される流れもありました。ところがこの好決算により、コストをかけてもアマゾンは高い利益をあげられることを証明したのです」(アナリスト) アマゾンのようなECサイトを運営する企業は軒並み順調…であるが、ここにきて業績に「黄信号」が灯っている日本企業がある。それは楽天(4755)だ。楽天が8月11日に発表した決算では、純損失が274億円と、9年ぶりの赤字転落となってしまった。 楽天が赤字「転落」…シャレにならない事態を招いた原因はなにか。
「大きな問題は、メインとなるEC事業は好調だったのにもかかわらず、という点です。赤字転落の原因となったのは、今年4月から新規参入した携帯事業で、824億円の損失を出している状況です」(前出・アナリスト) 「大手三社を凌駕する携帯キャリアを作る」と豪語し、楽天モバイルを立ち上げた三木谷浩史会長兼社長だったが、その船出は前途多難だった。総務省から度重なる行政指導を受け、4月のサービス開始時期も、緊急事態宣言とモロに被ってしまった経緯がある。
このようななかで、楽天は電波のエリア拡大のための基地局設置や、「携帯料金1年無料プラン」キャンペーンなどの投資に膨大なコストがかかり、ECでの黒字を食い潰した形となっている。
ECも思ったより伸びていない
「基地局のカバーが完璧ではない楽天モバイルは、KDDIの基地局を借りて電波を飛ばし、ローミング料を支払わなければなりません。1年無料のキャンペーンでユーザーからはおカネが入ってこないのに、ユーザーが増えれば増えるほど支払いがかさむ状況です。 三木谷社長は決算会見で、新端末『Rakuten Mini』の生産が追いつかないほど好調だとアピールしましたが、今後無料キャンペーンが終了したあと、どれだけ利用者を伸ばしていけるかは未知数です」(前出・アナリスト) この決算発表にともない、楽天の株価は急激に下落。11日終値で1064円をつけていたが、翌日には979円まで値を下げた。
的中率ズバリ80%を超える『DeepScore株価予報AIエンジン』(DeepScore社開発・運営)の予測によると、楽天のマイナス局面は今週も続いていくという。 DeepScore社企画調査本部長の藤本誠之氏はこう解説する。 「巣篭り重要でネット通販への期待感が高まっていたところに楽天はサプライズでの悪決算を出してしまいました。主力のネット通販も想定までは伸びておらず、他のネット通販関連企業の好調さに比べれば、見劣りする状況です。 携帯事業の初期投資におカネがかかるのは仕方ないかもしれませんが、肝心のEC事業で作ったプラスを潰してしまい、投資家の失望感は大きい。株価の『転落』はしばらく引きずることになるでしょう」
楽天の「懸念材料」
「Rakuten Mini」を片手に会見する三木谷社長/photo by gettyimages
ECにおける楽天は、独自のポイント制度が根強い人気を誇り、アマゾンや個人出店の新規サービスとは一線を画す客層を集めている。このポイント制度に紐づいた、ファイナンス事業や証券業務も比較的好調に推移しているといえるだろう。 ただ、「これまでのスマホ代は高すぎる」と価格破壊を主張し、携帯キャリアに殴り込みをかけた楽天モバイルは、赤字がかさんで料金に転嫁されるような事態が起これば、「後乗り」のメリットは完全に薄れてしまう。 21年夏には人口カバー率96パーセントに到達するという急ピッチでサービスを拡大する楽天だが、その前に投資家から見切りをつけられる可能性もゼロではない。それが巡り巡って、EC事業の伸び悩みにも拍車をかけるようだとしたら、会社全体の存続にもかかわってくるだろう。 DeepScore社のAIエンジンが導き出した、今週の「注目銘柄」はほかにもある。
「上昇銘柄」として今週目が離せないのは、飯田グループホールディングス(2432)だ。 「飯田のいい家」のキャッチフレーズでおなじみ、シェア全国3割を誇る日本最大の住宅販売会社だ。ハウスメーカー6社が2013年に経営統合してできた飯田グループは、比較的リーズナブルな戸建ての注文住宅がメイン。同社も7日に第1四半期決算を発表したが、コロナの影響もあり、業績は芳しくなかった。
減益でも手堅い決算
しかし、飯田グループホールディングスには今後のプラス材料がある。 前出・藤本氏が解説する。 「営業利益は157億円で前年同期比22.2%減益。しかし、株価は悪材料出尽くしのあく抜けから、急反発しています。その背景には、テレワーク推進で、戸建て住宅への関心が高まっていることが挙げられます。戸建て住宅への注目度上昇は、しばらく続き、それにともなって飯田ホールディングスの堅調相場が続くでしょう」 今週はもう一社、DeepScore社のAIエンジンが導き出した注目企業を紹介しよう。
それは、荏原製作所(6361)だ。同社はもともと大手総合ポンプメーカーだが、その技術を応用し、半導体などの精密機械、大規模施設の冷暖房設備など、幅広い分野に製品をラインナップしている。 荏原製作所も8月7日に決算を発表後、株価が大きく上昇した。DeepScore社のAIエンジンによると、今週も株価上昇が期待できるとの分析が出ている。 前出・藤本氏が解説する。 「決算発表によると、営業利益は137億円で前年同期比5.3%増益、第1四半期の同22.8%減に対して、4-6月期は同71.8%増と急回復しました。また、一旦取り下げた通期予想も、営業利益は300億円前期比15.0%減益で発表。収益予想が『手堅い』と好感されています。極端に業績悪化する企業が多いため、こうした企業には人気が集まる傾向にあります」
ここからが楽天の正念場
最後に、冒頭で挙げた楽天の今後に話を戻そう。 決算ラッシュにあって、やはり注目されるのは、大企業がコロナをどう乗り越え、今後どのように業績を戻していくか、さらに続伸していくかということだ。場合によっては、楽天は巣篭もり需要に支えられ、アマゾンと同様に空前の好業績を示すこともできたはずだ。ただまさにそのタイミングで、携帯キャリア事業の参入という不安定な要素があり、結果的には赤字転落という決算に至った。 これに反発するように、既存3社の大手キャリアの株価は値上がりしている。ユーザーにも、株主にも、どうやって楽天というブランドの「信頼感」を確保できるかーー。三木谷社長の正念場は、本当はここからなのかもしれない。
そのようなわけで、今週の日本株市場では楽天、飯田グループホールディングス、荏原製作所の3社に注目していきたい。
---------- 「今週のAI株価予報」とは ----------
●DeepScore社が独自開発した株価予測AI『DeepScore社 AI』が、トレンド分析し、未来の株価を計算しています
●「目標株価」は、翌営業日に80%以上通過すると期待される範囲になります(225銘柄でバックテスト検証済)
●「押し目買いゾーン」、「吹き値売りゾーン」は、一般的には上髭下髭エリアです。一時的に値が動いた場合、その後目標株価へ収束する可能性が高いゾーンです。ゾーンを超えて推移した場合は、当エンジンの想定を超えるイベントが発生した可能性が高くなります
●この予測をもとに個別銘柄の売買を勧誘・推奨するものではありません。投資にあたっての最終決定はご自身の判断でお願いします
---------- 記事全文はこちら ----------
マネー現代編集部
https://news.yahoo.co.jp/articles/21e1a1595481fb88729bc1667eb387ec9e995269?page=3