メルマガ「週刊正論」令和2年8月15日号
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【百田尚樹氏が靖国神社ネットライブで伝えたメッセージ】
戦後75年を迎えた15日、東京・靖国神社で
「戦没者追悼国民集会」(日本会議・英霊にこ
たえる会の共催)が行われました。作家の百
田尚樹氏が集会にビデオメッセージを送った
ので要旨を紹介します。
◇
先の戦争では約310万人の日本人が亡くなっ
ています。そして230万人の方が戦場で命を
失っています。靖国神社にはその英霊たちが
祀られています。
個人的な話になりますが、私の父、母方の叔
父3人は大東亜戦争に従軍しております。幸
せなことに父も3人の叔父も無事生きながら
えて祖国に戻ってまいりました。そして私が
生まれました。もし父があの戦争で命を失っ
ていたならば、今の私はありません。230万
人が祖国に戻ってくることはできませんでし
た。もし生きて帰ることができれば、戦後の
幸せな日本で幸せな生活を送っていたかと思
うと、非常に残念でなりません。忘れてはな
らないのは、現代に生きる私たちはそうした
英霊たちの犠牲のうえに生きていることです。
彼らは私たちのために亡くなったのです。
例えば、硫黄島の戦いでは、約2万人の守備
隊が玉砕しました。彼らは水も食糧も弾薬も
ないなかで、アメリカ軍を相手に戦いました。
アメリカ軍は戦いの前にこの島は5日で占領
できると踏んでおりました。しかしながら、
日本軍の守備隊は1カ月以上も持ちこたえ、
アメリカ軍を苦しめたのです。硫黄島の戦い
は絶対に勝てない戦いでした。にもかかわら
ず、なぜ彼らは1カ月も耐え抜いたのか。そ
れは自分たちが1日生き延びれば、東京の空
襲は1日延びる。それだけ日本人の命が助か
る。そう思って彼らはあの地獄の島で戦い抜
きました。靖国神社にはそうした英霊たちが
246万6千柱祀られています。
私は靖国神社に足を踏み入れる度に、深い悲
しみと同時に、英霊たちに守られているとい
う幸せを感じます。それなのに朝日新聞をは
じめとする左翼メディアによる靖国神社は軍
国主義の象徴、という間違ったイメージに惑
わされている日本人が少なくないことが非常
に残念です。靖国神社を戦争神社と言って憚
らない文化人や学者もいます。彼らは果たし
て日本人でしょうか。少なくとも日本人の心
を持っているとは、私には思えません。
しかし、何よりも情けないのは、中国、韓国
が靖国神社を外交カードとして使い、そして
それを恐れる政治家が靖国神社参拝をしない
ことです。安倍総理もこの7年間、靖国神社
参拝をしておりません。これは非常に悲しい
ことです。
明るい話もあります。最近、靖国神社を参拝
する若者が増えているということです。彼ら
は英霊たちの孫、ひ孫にあたると思います。
英霊たちはそんな若者に、明日の日本を頼む
ぞ、と声を掛けていると思います。
英霊たちが命をかけて守ってきた日本が、い
ま大きな危機を迎えています。北朝鮮による
核ミサイルの威嚇、度重なる中国による領海
侵犯。情けないのは、日本はそれらの国に対
して、毅然とした態度をとることができませ
ん。長らく続いた平和ボケ、そして反日メデ
ィアの跋扈、原因はさまざまありますが、一
番大きな理由は日本国憲法にあると思います。
戦後の占領期に占領軍によってわずか1週間
でつくられた日本国憲法がいま、私たちを苦
しめています。日本国憲法によれば、日本は
自分たちの国を自分たちの手で守ることがで
きない、そう書かれているのです。こんなバ
カな憲法はありません。そもそも日本国憲法
は国際条約違反なのです。ハーグ陸戦条約に
よれば、戦勝国は敗戦国の法律を変えてはな
らないとあります。しかし、アメリカ軍は法
律どころか、国の基本ともいえる憲法を変え
てしまったのです。これは許されざる行為で
す。しかし、74年前の日本はその理不尽を
受け入れざるをえない状況でした。敗戦によ
り国は占領され、主権を失っていたからです。
サンフランシスコ講和条約により、日本は主
権を回復し、独立を果たしました。にもかか
わらず、日本政府も国民も日本国憲法を破棄、
あるいは改正しようとはしませんでした。い
まそのツケが現代の私たちに大きくのしかか
っています。北朝鮮により多くの同胞が拉致
されても取り返すことができず、中国が度々
領海侵犯をしても断固とした態度をとれない
のはすべて日本国憲法のせいです。
こんな私たちを見て、靖国神社に眠る英霊た
ちはどう思っているでしょうか。私には彼ら
の声が聞こえるような気がします。かつて俺
たちは命をかけて日本を守ってきた。いま君
たちは、憲法を変えて日本を守ってくれと。
そういう声が聞こえます。私たちの手で、私
たちの国の憲法を取り返しましょう。
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