ソフトバンク入る東京ポートシティ竹芝のスマートビル、センサー1000台で混雑緩和
川又 英紀
日経クロステック/日経アーキテクチュア
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00110/00181/?n_cid=nbpnxt_mled_km
東急不動産は2020年6月30日、新街区「東京ポートシティ竹芝」(東京・港)の中核施設となるオフィスタワーが5月29日に竣工し、9月14日に開業予定であると発表した。新街区は東京都が行う「都市再生ステップアップ・プロジェクト」の1つで、15年には国家戦略特別区域計画の特定事業として認定を受け、同社と鹿島が共同開発してきた。
オフィスタワーとレジデンスタワーから成り、総延べ面積が約20万m2に及ぶ巨大再開発だ。オフィスタワーには、ソフトバンクグループなどが入居する。
「東京ポートシティ竹芝オフィスタワー」の外観(写真:東急不動産、鹿島)
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地上2~6階の屋外に設けた階段状の空間「スキップテラス」。水と緑を多用したデザインだ(写真:東急不動産、鹿島)
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赤色で塗った部分が新街区「東京ポートシティ竹芝」。オフィスタワーとレジデンスタワーから成る(資料:東急不動産、鹿島)
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6月30日に竣工したレジデンスタワーを、オフィスタワーのスキップテラス越しに見る(写真:東急不動産、鹿島)
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オフィスタワーは地下2階・地上40階建てで、敷地面積は約1万2000m2、延べ面積は約18万m2。設計は鹿島・久米設計工事監理業務共同企業体、施工は鹿島が担当した。構造は鉄骨造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造。高さは約208mあり、竹芝の新しいランドマークになる。
館内には21の店舗や展示室、ホール、スタジオなどを備える。最先端の「スマートビル」を標榜し、店舗には、Telexistence(東京・港)と東急不動産が共同開発したロボットがバックヤードで働く次世代型コンビニ「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」が初出店することが決まった。エレベーターと連携して動く、警備や清掃のロボットも導入する。
ソフトバンクロボティクスの清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」や、SEQSENSE(シークセンス)の警備ロボット「SQ-2」を導入する。ロボットは三菱電機のエレベーター連携機能を使って、館内の上下階を自ら移動する(資料:東急不動産、鹿島
タワーを丸ごとリアルタイムでセンシング
東急不動産と鹿島は、入居するソフトバンクと共同で 、オフィスタワー内に合計で約1000台のセンサーやカメラ、Wi-Fi接続機器、ビーコンなどを設置した。建物を丸ごとセンシングし、様々なリアルタイムデータを収集する。データはクラウド上の「TAKESHIBA Platform(タケシバ プラットフオーム)」に集約する。
館内のリアルタイムデータは、クラウド上の「TAKESHIBA Platform」に集約する(資料:東急不動産、鹿島)
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店舗やトイレ、テラス、エレベーターなどの混雑状況を利用者に提供し、効率的なビル管理を行う。屋外にあるスキップテラスのベンチの空き具合やごみ箱の利用状況まで分かる。AI(人工知能)カメラを使った来館者分析で、店舗の販促も支援する。
センサーの設置台数が最も多くなったのはトイレだ。開閉センサーで、館内全てのトイレの満空状況を知らせる(資料:東急不動産、鹿島)
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3DセンサーやAIカメラで、エレベーターの混雑状況や座席の空き具合が分かるようにした(資料:東急不動産、鹿島)
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レストランの混み具合をデジタルサイネージなどに表示(資料:東急不動産、鹿島)
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フロア構成は多様だ。地上1階に最大500人を収容できるシアター形式の「PORT HALL(ポート ホール)」、地上1~3階に飲食店を集めた「竹芝グルメリウム」、2~5階に東京都立産業貿易センター浜松町館が入る。
オフィスタワーのフロア構成(資料:東急不動産、鹿島)
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オフィスは地上9~39階に配置した。1フロアの面積は約3000m2。ソフトバンクグループと事業会社のソフトバンク、WeWork Japanの3社で、オフィスフロアは全て埋まっている。20年後半から順次入居し始める予定だ。
8階は「CREATION PORT(クリエイション ポート)」と名付けた空間に、シェアオフィス「Business Airport Takeshiba(ビジネスエアポート竹芝)」やスタジオ、研究開発施設などを置く
レジデンスタワーはスマートマンションに
一方、レジデンスタワーは地上18階建てで、高さは約60m。賃貸住宅とサービスアパートメント、シェアハウスで、合計262戸の住居を用意した。低層部には保育所なども入る。
6月30日に竣工し、7月1日から住戸の入居が始まった。長谷工コーポレーションが設計、ホシノアーキテクツ(東京・港)がデザイン監修、長谷工・鹿島共同企業体が施工を担当した。
レジデンスタワーの外観(写真:東急不動産、鹿島)
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レジデンスタワーのフロア構成(資料:東急不動産、鹿島)
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レジデンスタワーでは、顔認証やスマートロックの技術を導入。エントランス、エレベーター、玄関の管理や、住戸内設備の稼働状況、エネルギー消費の見える化などに取り組んだ。
顔認証と、エントランスやエレベーターの開閉などをひもづけたシステムを導入した(資料:東急不動産、鹿島)
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玄関は、ビットキーが提供する電子鍵「bitlockシリーズ(スマートロック)」を採用。スマートフォンでの鍵の施錠と解錠ができる(資料:東急不動産、鹿島)
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「入居者専用統合アプリ」で、住戸内設備の稼働状況やエネルギー消費量などを見える化する(資料:東急不動産、鹿島)
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