日本人シンガー「リナ・サワヤマ」、差別を乗り越えて世界に認められるまで

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コスモポリタン

Rina Sawayama

日本生まれのリナ・サワヤマさんは、イギリス・ロンドンを拠点に活動するアーティスト。名門、ケンブリッジ大学を卒業した後、「The 1975」など人気アーティストが所属するUKレーベル「Dirty Hit」と契約し、自ら作詞作曲を手掛ける音楽を発信しています。 メッセージ性の強い独特の世界観が話題となり、レディー・ガガ自ら作成した国際女性デーを記念するApple Musicのプレイリスト「Women of Choice」に追加された他、Spotifyが新進気鋭アーティストを紹介する「Early Nise 2020」に選ばれるなど、世界的にもその実力を見せつけています。 今回は、2020年4月に待望のデビューアルバム『SAWAYAMA』をリリースした彼女に、アーティストとして活動するまでの道のりや海外生活で経験した苦労、音楽を通して伝えたいことについて語ってもらいました。 PROFILE/リナ・サワヤマさん 1990年日本生まれ、英国育ちのポップシンガー。「The 1975」や「Wolf Alice」といったトップミュージシャンを擁するUKレーベル「Dirty Hit」に所属。13歳から音楽活動を開始し、ケンブリッジ大学卒業後、本格的にアーティスト活動をスタート。音楽制作にとどまらず、各媒体やブランドでモデルとしても引っ張りだこの存在。2020年4月に初のフルアルバム『SAWAYAMA』を発売した。

――有名アーティストが所属するレコード会社と契約するまでは、どんな道のりでしたか?

幼い頃から音楽の影響を強く受けていました。両親はよく、歌うことを勧めてくれたのですが、シンガーになるとは自分でも思っていなくて。この業界で成功するのはとても難しいですし、「Dirty Hit」にたどり着くまでの道のりは、本当に大変でした。 当時は、自分で調達した資金で赤字のショーをやって、複数の仕事を抱えながら、マネージャーと二人だけですべてを管理していました。まるで10個の仕事を1つにまとめて、こなしているような感じでしたね。 「Dirty Hit」に着いてジェイミー(「Dirty Hit」のファウンダー)のオフィスの椅子に座っていたとき、ついにサインをするときが来たんだと実感したのと同時に、ここが自分の家なんだと感じました。他のレーベルと契約する可能性もあったかもしれないですが、ジェイミーとクリス(「Dirty Hit」のA&R)に音楽を聴いてもらったときほど、“自信”を感じることはなかったんです。 彼らは、私が発言したことや音楽の中で表現したこと、数ある楽曲の中で最高だと思った作品、すべてにおいて理解してくれたんです。素晴らしい機会を与えてくれた「Dirty Hit」には本当に感謝しています。

 

 

 

 

 

――レディー・ガガのプレイリストに選出されるなど、国境や価値観の壁を乗り越え、成功できた理由は何だと思いますか?

私はガガの大ファンなので、彼女に選んでもらえたのは、本当に素晴らしい経験でした。 今、私にできるのは、本物と感じられる音楽を作り続けること。それに私のアルバムは、私の育った環境を率直に表現したもので、日本人だけに当てはまるものではないと感じています。普遍的なテーマを掲げているので、間違いなく文化を超えて聴いてもらえる作品であると自負しています。

――大学在学中は、人種差別やいじめを経験されたとお聞きしました。

極端な人種差別を経験したことはないので、私はラッキーでしたが、世界では多くの人々が差別や暴力を受けていますよね。本当にひどい話ですし、そんな話を聞くたびに心が締め付けられます。 保守的なケンブリッジ大学だと、私の場合は例えば、苗字が「澤山」であることを理由に、ロンドンで育ったにもかかわらず、留学生向けのニュースレターに掲載されたことがありました。あとは、無期限のビザを取得しているのに、毎年わざわざ期限が切れていないかチェックされたことも。 いじめは私の人生の中でも最大の苦しみでしたが、それを克服するために、ユーモアを持った素晴らしい仲間を見つけることで乗り越えました。彼らは周りになじむ為に、自分の興味のあることや性格を変える必要はないことを教えてくれたのです。

――最新アルバム では、資本主義への批判といった、政治的目線も含まれていますよね。有名人という立場で政治的意見を発信することについて、どのように考えられますか?

Instagram / @rinasonline

楽曲制作に必要なことならば、時に自分が信じるもののために立ち上がらなくてはならないと思っています。最高の音楽というのは、ラジオやプレイリストのために存在しているだけでなく、自宅のキッチンのBGMとしても聴かれるようなものだから。 音楽はその時代の政治的、社会的なものを反映しているからこそ、後世に生き続けると思っています。あるいは、その時代の人々のムードを捉えた、耳に残るポップなのかもしれません。全ての曲が政治的なものである必要はありませんし、私のアルバム『SAWAYAMA』も、そういった曲にはあてはまりませんが、人と人とを繋ぐためのものであることを重要視しています。

――このアルバムには東京にインスパイアされた楽曲がありますが、ロンドン育ちのリナさんにとって、東京とはどんな場所ですか?

東京は、世界で一番好きな街! ロックダウン中には、母に会いに行けないことが本当に辛かったです。滞在中は、友人の水原希子たちと新宿2丁目でカラオケに行くのが大好きなんですよ。 あと、「魚金」というレストランが大好きで、ここの海藻と豆腐のシチューは世界で一番好きな料理。日本のコンビニもすごく恋しくて…セブン-イレブンとローソンがあれば、幸せに暮らせます(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

――パンセクシャルを公言されていますが、自身のセクシャリティに気づいたきっかけやエピソードはありますか?

私はかなり長い間、自分のセクシュアリティを意識してきたので、特に気づいたきっかけというのはないんです。「チェリー」という曲の中で、ある瞬間について歌っているので、 ぜひその歌詞を読んでみてください!

――最後に、リナさんのように海外で活躍したいと思っている読者へ、メッセージをお願いします。

すごいプレッシャーですね(笑)。私は歌手の立場からしか話せませんが、努力は長い目で見れば報われるもの。自分自身、目標を諦めずに複数の仕事をしながらも、お金を稼ぐために根気よく取り組んだ結果が今に繋がっていて、本当にうれしく感じています。 また、音楽界におけるアジア文化は、世界的に見ても素晴らしい場所にあります。BTSは世界最大のバンドですし、Yaejiやミツキ・ミヤワキのような素晴らしいミュージシャンが今の音楽シーンを席巻しています。ポップカルチャーにおけるアジアの人々にとって、今はとてもエキサイティングな時期ですよ!

 

 

 

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/52453446a4d4c9482e0fcc47567c7ca7f9b4b258?page=3