私が、何度も言っていることと、類似した記事が、見つかりました。
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米抗議デモ、異論を封じ込める風潮への違和感【From LA】
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ニューヨーク・ユニオンスクエアに描かれた抗議の書き込み(AP/AFLO)
5月30日から始まった、ミネソタ州ミネアポリスで黒人男性ジョージ・フロイド氏の警察官による殺害事件への抗議デモは、米国では10日以上継続し、欧州をはじめとする世界中にも飛び火した。警察の解体を訴える声、さらに「沈黙は人種差別への協調だ」と抗議行動に参加しない人を批判する声まで上がっている。
しかし、本来米国は言論の自由を何よりも大切にし、銃規制を行わないのは「住民には自らの財産、生命を守る権利がある」ため、とされてきた。今回の抗議行動では、そうした米国の自由主義が建前だったのか、と思わされる事態も起きている。 最も顕著な例は、保守派のコメンテーター、キャンディス・オーウェンズ氏に対する全国的なバッシングだ。オーウェンズ氏は元々は反トランプだったが、その後トランプ支持者となり、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切だ、今回のデモのスローガンとなっている言葉でもある)運動に懐疑的な見方を示していた。しかし、オーウェンズ氏は黒人である。 ジョージ・フロイド氏の事件が起こる前に、米国ではもう一つの黒人が白人によって殺害される事件が起きていた。2月に起きたアーマード・アーベリー氏殺害事件だ。この一件は「ジョギング中の武器を持たない黒人男性が、武器を持った2人の白人に追いかけられて射殺された」というもので、今回の抗議デモの火種とも呼べる事件だった。2人の白人はその後逮捕されている。 しかし、オーウェンズ氏は「アーベリー氏を無実のジョガーだという、でたらめな解説はやめるべき。彼は建築中の建物に無断で押し入ったことが防犯カメラの映像から明らかになっている」とし、この一件は人種差別となんら関わりがない、とツイッターで主張した。つまり、他人の建造物に入り込んだ不審者を通りがかった人が問い詰め、それが発砲事件に発展した、という。米国ではありふれた事件でもある。 さらにオーウェンズ氏は5月9日付のツイッターで「毎年黒人は白人に殺される数の倍以上白人を殺している。我々(黒人)は全米の暴力犯罪の85%を占め、すべての殺人事件の50%が黒人によるものだ。事件に巻き込まれて殺害される黒人の90%以上は黒人によって殺害されている。にもかかわらず、我々は(黒人が白人に殺される度に)それを人種差別だと訴えているのだ」と主張した。 その舌鋒は当然フロイド氏の事件にも言及、ラジオインタビューで「フロイドは黒人の悪しきカルチャーの象徴のような人物。彼が殉教者のように扱われることはあり得ない」などと語り、その一部はトランプ大統領のツイートにも利用された。フロイド氏を悪しきカルチャー、と呼んだのは、彼が過去に強盗などで長期の服役を余儀なくされており、今回の事件のきっかけとなったのも偽札を使用した疑いがあったためだ。 ツイッターはこうしたオーウェンズ氏の一連の発言に対し「人種差別を助長する」と発言を削除したり、アカウントを凍結するなどの対応を見せた。また共和党内からでさえ「オーウェンズ氏の意見は受け入れがたいものだ」という声も聞かれる。つまり、国中がオーウェンズ発言をなかったこと、聞かなかったことにしよう、というモードになっている。
MJも1億ドル寄付
もう一つの例は、世界的なブランドであるルイ・ヴィトンの黒人デザイナー、ヴァージル・アブロー氏の発言撤回と謝罪だ。同氏は米国の暴動でヴィトンの店舗も襲撃、破壊を受けたことに対し「ひどい行為だ」と発言したが、これに反発する声が高まると発言を撤回、「私や友人たちの店が略奪されたことについて語った。しかしこれらの店舗への私の心配が、正義を守り怒りを表明する権利に対する関心を上回ってしまったことを謝罪する」とした。 しかしなぜアブロー氏は謝罪する必要があったのか。抗議行動と破壊略奪行動は別のものだ。差別された怒りを表明するために暴力的な行動を起こすことが正当化されるのは間違っている、と声を上げることがなぜ批判の対象になってしまうのか。 米国の黒人セレブもこうした世の空気を煽っている。ハリウッドを中心とするミュージシャン、俳優らが「暴動で逮捕された人々の保釈金を支払う」などと次々に発言し、多くの資金が集まっている。また元プロバスケットボール選手で神様とも呼ばれるマイケル・ジョーダン氏は自身とジョーダンブランドにより、今後10年間で1億ドルを人種差別に反対する団体などに寄付する、と語った。 その一方で、暴動で被害にあった人々への救済については語られていない。巨大企業によるチェーン店はともかく、個人商店、レストランなども数多く被害にあっている。また車を燃やされたり破壊され、翌日からの仕事に支障が出た人も少なくない。ところが暴徒に発砲した商店主が逮捕されるなど、米国で認められてきたはずの自衛権も存在しない有様だ。 米国にとって人種差別というのは非常にデリケートな問題だ。平和的な抗議行動は起こされて然りだし、黒人だけでなく人種差別の対象となるすべての有色人種がこの問題について意見を述べることは大切だ。
しかし現状は「忖度」があまりにも先行し、事の是非まで歪められている
印象もある。
略奪行為まで正当化されるのなら、米国の正義は根本から揺らいでいる、
と言っても過言ではない。
土方細秩子 (ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/articles/c983ebca9c2b27e2c918e72c6fc755add7cd1177?page=2