昔にも、数回、日本で、食べました、
「閉店ラッシュが止まらない」1年で34店減ったモスバーガーの苦境
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ハンバーガーチェーン「モスバーガー」の閉店ラッシュが止まらない。
この1年だけで34店減り、6年前と比べると134店が消えている。
業績も計画にとどかず、上向かない。
なぜ苦境から抜け出せないのか。
店舗経営コンサルタントの佐藤昌司氏は「モスの商品やキャンペーンには話題性が足りない。
マクドナルドと比べるとその差は歴然としている」と分析する――。
【写真】2019年9月にモスが新発売した「海老天七味マヨ」と「ジャンボメンチ
■6年前と比べて134店が減った モスフードサービスが展開するハンバーガーチェーン「モスバーガー」の閉店ラッシュが止まらない。
3月末時点のモスバーガー事業(国内)の店舗数は1285店で、1年前からは34店減った。
当初の計画では12店減にとどまる見込みだったが、さらに増えて、最終的な閉店数は48店となった。
モスバーガーは店舗数の減少傾向が続いている。
6年前と比べると店舗数は134店減っている。
これは開店を差し引いているので、閉店した数だけでみれば251店になる。
店舗数の減少が響き、2020年3月期連結決算は計画未達に終わった。
売上高は従来予想より1.4%少ない689億円(前期比4.1%増)、
営業利益は同33.7%少ない10億6000万円(同2倍)、
最終損益は同63.5%少ない3億6500万円の黒字(前期は9億700万円の赤字)だった。
■6期連続で既存店客数は前年割れ モスバーガーは客離れで長らく不振が続いている。
既存店の客数は14年3月期~19年3月期まで6期連続で前年割れが続き、既存店売上高も長らくさえない状況が続いている。この客数減の時期と先述した大量閉店の時期は重なっており、不採算店の閉鎖を進めてきたといえる。 20年3月期は客数が1.9%増と前年を上回り、既存店売上高も4.9%増と伸びてはいるが、これは18年8月に発生した食中毒による落ち込みの反動と考えられる。既存店売上高は当初目標(8%増)を大きく下回っている。この当初目標は食中毒発生直前の18年3月期と同じ水準(18年3月期比100%)としていたので、これを下回ったということは食中毒前の水準には達していないと言っていいだろう。 一方で、新型コロナウイルスの影響を考察する必要もある。モスは2月に3店を休業し、13店で営業時間を短縮。3月は15店が休業し、249店が営業時間を短縮した。また、3月は外出自粛の影響も大きい。結果として既存店売上高は2月が15.9%増と大きく伸びていたが、3月は0.9%増と微増にとどまった。 ■テイクアウト需要で3月4月は売上高プラス ただ、外出自粛期間が生じたことは、むしろモスのようなファストフードにとってはテイクアウト需要が高まるなど、必ずしもマイナスの影響だけではない。 日本フードサービス協会の調査によれば、3月の外食売上高(全店ベース)が17.3%減、4月が39.6%減と大きく減った一方で、ハンバーガーチェーンを含む洋風ファストフードは3月が0.9%減の微減にとどまり、4月は2.8%増と伸びている モスも3月の既存店売上高が前述の通り0.9%増、そして4月は3.7%増とプラスだった。ライバルのマクドナルドは、3月が0.1%減と微減だったものの4月が6.5%増と大きく伸びている。いずれもテイクアウト需要が下支えしたため、大幅減収にはならなかったのだ。こうした状況から、新型コロナがモスの20年3月期の既存店売上高に与えた影響はプラス面とマイナス面が同等で差し引きゼロといったところではないだろうか。 以上を総合的に考えると、現在のモスの状況は良いとはいえない。既存店売上高が当初目標を大きく下回ったのが致命的事実で、食中毒や新型コロナがなかったとしても業績は上向いていないということができる。
話題性のある打ち出しができていない なぜモスの業績は上向かないのか。それは、話題性のある打ち出しができていないことが大きい。競合であるマクドナルドと比較するとわかりやすい。 マクドナルドは14年の期限切れ鶏肉問題や異物混入問題で客離れを招き業績が悪化したが、19年12月期に直営店とフランチャイズ(FC)店の合計売上高が創業以来最高の5490億円を叩き出し、見事に復活を遂げている。 そこで大きな役割をはたしたのが、話題性のある打ち出しだ。商品の人気投票「マクドナルド総選挙」や、「マック」と「マクド」どちらの愛称に愛着があるかを決めるキャンペーンなど、斬新な施策を打ち出した。その結果、既存店売上高は15年12月~20年2月まで、51カ月連続で前年を上回っている。 一方、モスはここ数年話題性のある打ち出しができていない。マクドナルド並みに話題になったものは見当たらないのではないか。もちろん何もしていないわけではない。たとえば、2019年9月から現在にかけて「モスジャパンプライド」と銘打ち、モスならではの商品を提供する取り組みを行っている。だが、パンチに欠ける感が否めず、話題になったとは言い難い。こうした話題性の欠如が既存店業績の低迷につながったといえるだろう。 ■マクドナルドの“ご飯バーガー”は話題性抜群だった キャンペーンでの明暗の分かれ方は、モスとマクドナルドの“ご飯バーガー”にも表れている。ご飯バーガーとはバンズ(パン)の代わりにご飯を使ったバーガーのことだ。モスは1987年に「ライスバーガー」を開発し、販売してきた。 一方、マクドナルドは今年2月、自社史上初となるご飯バーガーを発売。「ごはんてりやき」「ごはんベーコンレタス」「ごはんチキンフィレオ」の3種で、予想を上回る好調な売れ行きとなった。 好調の理由には、話題性があったことが大きい。ご飯バーガーは先述した通り、モスが先行して販売してきた商品だ。その存在を知っている人は「マクドナルドがついにご飯バーガーに手を出したのか」と驚いたに違いない。逆に、これで初めてご飯バーガーなるものを知った人にとっては、斬新な商品として映っただろう。この話題性が、予想を上回る売れ行きにつながったと考えられる
https://news.yahoo.co.jp/articles/62a19c19b12f4e2916ba84a4c36ac4e10f4d0bb4?page=3