国産初のジェット、人員半減へ 海外拠点閉鎖、三菱航空機

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共同通信

愛知県営名古屋空港周辺を飛行するスペースジェットの試験機=3月

 

 

 

 

 

 国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)を開発中の三菱航空機(愛知県豊山町)が、

 

業績の悪化に伴い進めている体制縮小の全容が12日、分かった。

 

約2千人の従業員を半分以下に削減し、

 

海外拠点は米西部ワシントン州の試験拠点1カ所を除いて全て閉鎖。

 

開発責任者も刷新する。

 

週明けにも新体制を公表する。  

 

最高開発責任者のアレクサンダー・ベラミー氏が退任し、

 

米試験拠点で勤務経験がある川口泰彦氏が7月1日付でチーフ・エンジニアに就き、開発を主導する。

 

ベラミー氏はカナダの競合ボンバルディアで勤務経験があり、2016年に入社。安全認証取得に向けた作業を推進していた。

 

 

 

https://news.yahoo.co.jp/articles/261f540547f431ee9eab6c5921e9a643fd2b0cd6

 

 

 

 

 

 

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https://news.yahoo.co.jp/articles/a4bd3b22e0e0565ad0c49637f306fbd0fcb3d20c

苦境の「三菱スペースジェット」コロナ禍で“冬眠”へ

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毎日新聞

三菱航空機のスペースジェット=名古屋空港で2020年3月18日、兵藤公治撮影

 

 

 

 

 三菱重工業は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、子会社で「スペースジェット」(旧MRJ)を開発する三菱航空機の人員を大幅に削減する。海外拠点2カ所も閉鎖し、開発体制を縮小する。スペースジェットは今後どうなるのか。

 

 

【毎日新聞経済プレミア・平野純一】  

 

◇人員を縮小し量産体制を停止  スペースジェットは「2021年度以降」のANAグループへの1号機納入に向けて、今年は型式証明の取得など「最後の仕上げの年」となるはずだったが、新型コロナが行く手を阻んでいる。  スペースジェットの今年度の開発予算は600億円程度で、昨年度から半分以下になった。「開発予算が大幅減になった以上、それに見合う形で人員も考えていかざるをえない」。三菱航空機関係者はそう語る。現在、1700人いる社員をどのような態勢にするのか、計画を策定中だ。また、今年中にも型式証明が取れることを見越して量産体制の構築も進めてきたが、これも一時停止する。  閉鎖する海外の2拠点は、米国ワシントン州のシアトル近郊レントンにある三菱航空機米国本社と、カナダ・モントリオールの事務所だ。本社機能は試験飛行を行っている米ワシントン州モーゼスレークの空港の事務所に移す。  つまるところ、スペースジェットの事業は一時「冬眠」に入ることになる。最低限の陣容だけを残して、「コロナ禍」が収まるのを待つしかなくなった。

 

 

 

  ◇極めて厳しい航空業界  ただ、航空業界が置かれた環境は極めて厳しい。国際航空運送協会(IATA)は、国際線の旅客需要がコロナ前の19年の水準まで戻るのは24年との見通しを示した。日本航空(JAL)、ANAともに、国際線約9割、国内線約7割の運休・減便が続いており、事業に相当なダメージを受けている。タイ国際航空やオーストラリアのヴァージン・オーストラリア航空がすでに経営破綻。大手航空会社でも緊急のつなぎ融資や、政府の支援を求めている。  当然ながら航空機メーカーも厳しい。ボーイングは20年1~3月期、最終損益が約6億2800万ドル(約670億円)の赤字だった。4~6月期はもっと厳しくなることが予想される。大型機の777はこれまでの月産4.5機から21年は3機に減産。中型機の787は月産14機を年内に10機に減らし、さらに22年には7機へと半減させる。人員も1割削減するという。  ボーイングですら大ピンチの中、まだ売れる機体もない三菱航空機が体制を縮小するのは当然かもしれない。  三菱重工は20年3月期にスペースジェットの会計上の資産価値をゼロに落した。21年3月には、買収したカナダの航空機メーカー・ボンバルディアの小型機「CRJ」事業も、資産価値の目減りを会計上に反映する減損を最大700億円計上する予定だ。「当面、スペースジェットで収益が見込めない以上、減損処理は妥当な処理と考える」と格付け会社S&Pグローバル・レーティングの吉村真木子主席アナリストは話す。スペースジェット事業が厳しい局面にあることを物語る。  

 

 

 

 

 

◇見通せない航空機需要  問題は、今後も年間数百億円の費用がかかる三菱航空機を、三菱重工がどこまで支えられるか、そして今後の航空機需要がどうなるかだ。  三菱重工は21年3月予想で、新型コロナによる収益の悪化を1400億円と見込むが、事業(営業)利益は2年連続の赤字にせずに何とかゼロにもっていく方針だ。同社にとって痛いのはボーイングの減産だ。三菱重工は777の後部胴体、787の主翼という主要部品を製造している。「ボーイングの減産に加え、安定した収益を出していた自動車用ターボチャージャーやフォークリフトなどもコロナの影響を受けるとみられ、収益悪化要因がかなりある」とS&Pの吉村氏は見る。  一方の航空機需要は、新型コロナ問題がいつ収束するかによるので、現時点の予測は難しい。  三菱航空機は昨年、今後20年間の世界の航空機市場で、100席未満の小型機の需要は約5000機と予測した。年間250機だが、この見直しも必要だ。また、コロナ問題が収束しても、人の移動が減ることが「ニューノーマル」になれば、航空機需要そのものが大幅に減るかもしれない。航空アナリストの鳥海高太朗さんは「確かに当面、航空会社が新規に航空機を買う余力は限られるだろう。ただ、国際線より国内線の方が早く戻るので、大型機より小型機の方が影響は小さい。スペースジェットに関して今できることは早く型式証明を取り、市場の回復を待つことだ」と話す。  三菱重工は自身の収益力と航空市場の動向を見ながら、さまざまな判断を下していくことになる