〈groovisions〉伊藤弘が選ぶ、デザインのいい自転車10選。

May 22, 2020 | Design, Culture | casabrutus.com | text_Chisa Nishinoiri

デザインスタジオ〈groovisions〉の代表・伊藤弘。予算20万円台以下の条件で、デザインのいい自転車を選んでもらいました。

・今っぽい自転車選びのど真ん中。

《Super Professional Single Speed》178,000円(完成車)/118,000円(フレームセット)。
街乗りからグラベル(砂利道)まで、幅広いシーンで活躍する。

 

 

 

オールシティ《Super Professional Single Speed》

「ミネソタ州、ミネアポリスで新たなサイクリングカルチャーを担っている新しいブランド。これは変速機無しのシングルスピードで、様々なアクセサリー装着も考えられた汎用性の高いモデル。写真の完成車は650Bという小さめのホイールに太めのタイヤを装着しています。ここ数年、自転車シーンはタイヤ事情が面白くて、以前より太いタイヤが人気になってますが、このモデルはまさに、今のトレンドを反映しています」。

・無駄を省いた潔いマウンテンバイク。

フレームにはイギリスReynolds社のクロモリパイプを使用。
《MTB Hard Tail Unit》125,000円。
シティライドはもちろん、トレイルにも使えるタフな作り。

 

コナ《MTB Hard Tail Unit》

「1988年に設立されたアメリカのMTBブランド〈コナ〉。マウンテンバイクでありながら、サスペンションなし、変速機無しのシングルスピードという潔さが特徴のモデルです。タイヤは最近のトレンドである太く大きい29インチブーストホイールセット。ディスクブレーキ採用なので、見た目もかなりスッキリしていてスタイリッシュです。スタンダードな自転車と最新自転車のトレンドを融合させたような1台ですね。東京で街乗りするくらいならシングルスピードでもギリギリ大丈夫だと思うけど、変速は後付けも可能。ベースがシンプルだからこそ、カスタマイズで色々遊べる、ベーシックな一台だと思います」。
 

・高度なハズしで遊べるシンプルバイク。

《tutto singlespeed 》125,000円。
カラーは全2種類。こちらは《ノットグレー》。

 

 

チネリ《tutto singlespeed 》

「〈チネリ〉は“あくまでもレースのための機材”という思想を掲げ、レーサーたちからの厚い信頼で自転車界を牽引するイタリアのブランド。性能が良いだけでなく、デザイン面でも高い評価を得ています。このモデルはレース用というよりは、街乗りにぴったりなスタイリッシュなデザイン。シングルスピードながらMTBによく見られる制動力の強いVブレーキを使用、さらにベルトドライブ方式にも対応していたりと、シンプルそうでいて結構マニアックな仕様にセンスを感じます。タイヤクリアランス(タイヤとフレーム間の隙間)も700×35cと余裕があるのであえて太めのタイヤを履くとか、ちょっとハズしたカスタマイズができるともう上級者ですね」。

 

・高性能、コストパフォーマンス、スタイリッシュ!の三拍子。

《Commuter Sport 8.0》176,000円。購入の際には配送料と梱包料が別途必要。
カラーは全3種類。こちらは《ステルス》。
全てのパーツが統一された、流れるようなデザイン。

 

キャニオン《Commuter Sport 8.0》

「ミニマリズムと呼べるほどのシンプルさ。フレームからフロントフォークとハンドルを繋ぐステムまでが一体となったデザインで、機能的な作り込みはドイツのメーカーらしいデザインポリシーがあります。このモデルは、軽量なアルミフレームとカーボンフォーク、変速ギア内蔵のハブ、ベルトドライブ、油圧式ディスクブレーキなど、とにかく装備が充実した、街乗りに特化した究極的な設計。しかも〈キャニオン〉は通販のみの販売というとても現代的な展開なので、スペックのわりに値段もリーズナブルでコストパフォーマンスはかなり良いです」。

 

・オールブラックのレフティ

シートポストのLEDライト。フロントフォークにもLEDライトが付いており、前と後ろの両方向からの視認性を高めている。
《Bad Boy》190,000円。
レフティ仕様のフロントフォーク。他には無いデザインを求める方はぜひ。

 

キャノンデール《Bad Boy》

「アメリカの老舗メーカー〈キャノンデール〉が作るアーバンスタイルバイク。2000年の発表以来、オール・ブラックのスタイルを貫いていて、今では当たり前となった真っ黒な自転車のトレンドを先取りしていました。4段階のグレードがあるなかで、ハイグレードの《Bad Boy1》はベルトドライブ対応、内装ギアなので外観もより特徴的。デザイン的な一番の特徴は、前輪を支えるフロントフォークが片側1本だけの“レフティ”仕様であること。軽量であり、フロントフォークとシートポストにそれぞれ内臓されたLEDライトで周りからの視認性を高めているなどの性能面はもちろん、レフティのバイクは〈キャノンデール〉だけなので、デザイン的なインパクトでも選んでいいと思います」。
 

・理想を叶えるオールラウンダー。

《Cross Check》68,000円(フレームセット)。完成車は、165,000円(DROP BAR CROSS-CHECK、写真の仕様)/135,000円(FLAT BAR CROSS-CHECK)。完成車は生産終了モデルのため在庫限り。
カゴを付けたりギアを付けたりと、カスタマイズの仕方は多彩。

 

サーリー《Cross Check》

「言わずと知れた人気ブランド〈サーリー〉の中でも、不動の人気を誇る定番モデル。完成車の販売もしていますが、最大の特徴はフレームさえあればなんでもできる!といっても過言ではないほど、汎用性が高く、いかようにも組み立て可能な点です。サイズ展開も幅広く、ギア付きもシングルスピードも、カゴもハンドルもタイヤ幅もと、とにかく選択肢が多彩。街乗りからバイクパッキング用まで、いろいろ組んでも20万以内は十分可能なので、自転車をカスタマイズしたい人にはベーシックな選択だと思います」。
 

・コンパクト、なのにエレガント。

ブロンプトンらしさが感じられるM型ハンドルバー。
《M3L》180,000円~。
カラーバリエーションは10種類以上。こちらは《テンペストブルー》。
こちらの折り畳み時は《M6R》のものだが、《M3L》も同様にコンパクトに収納が可能。

 

 

ブロンプトン《M3L》

「都心で街乗りするのに、コンパクトに折りたためて室内保管できる小径車はすごく便利。英国ブロンプトン社はアイコニックな折りたたみ自転車で知られるブランドです。歴史があり、すべて同じ寸法のフレームが使用されているうえ、パーツも色々揃っているので自分仕様にできるのが楽しい。特徴的なデザインのMタイプのハンドルバーは、ブランド設立当初から採用されているもの。スポーティ過ぎない中性的なデザインで、折りたたんでなお、どこかエレガントな印象があります」。
 

・バコッ! とたためるトライアングルフレーム。

《16'' Wheel Series STRiDA LT》85,000円。
カラーバリエーションは全4色。こちらは《ブラッシュ》。
《ターコイズ》。

 

ストライダ《16'' Wheel Series STRiDA LT》

「1987年にイギリスのマーク・サンダースによって考案された〈ストライダ〉のトライアングルフレーム。見た目のインパクトも大だけど、半分にバコッとたためて一輪車のような型になり、折り畳み自転車としてもなかなか独創的です。すごくスピードが出るわけじゃないけど、乗り心地は悪くない。発売当時、買ってしばらく愛用していましたが、当時よりも大分進化していて、最新モデルは変速付き含めて多彩なラインナップになっています」。
 

・現代のクロモリフレームの到達点。

《ANCHOR NEO-COT RNC7》270,000円(写真の完成車は374,000円)。32色のフレームカラーに3種類のコーティングを選べる「シンプルスタイル」の他、異なる2色で彩られた「フェードスタイル」も2パターンを用意。

ブリヂストン《ANCHOR NEO-COT RNC7》

「日本が誇る世界最大手のタイヤメーカー〈ブリヂストン〉は、長年に渡って質の高い自転車を作り続けています。クロモリフレームを採用したネオコットシリーズはデビューからすでに四半世紀を超えていて、クロモリ素材の特性を追求した結果、独特の流れるような美しい形状のフレームが生まれました。32色ものフレームカラーに3種類のコーティングを選べたり、10mm刻みで細かくサイズを選択できたり、ブランドロゴを無くすこともできたりと、カスタムの仕方は多彩で満足度はとても高いです。シンプルかつベーシックで、とても長くつきあえる一台」。
 

・eBIKEの最先端をゆく、ハイエンドバイク。(番外編)

《LEVO SL COMP》572,000円(税込)。こちらのカラーは《ロケットレッド/ブラック》。
カラーは全2種類。こちらは《スティターコイズ/ブラック》。
なんとこのスリムなボディに、バッテリーなどの全てが収納されている。

 

スペシャライズド《LEVO SL COMP》

「“予算20万円台以下”という条件は超えてしまいますが、最後に電動アシスト自転車を紹介。この春、アメリカの自転車ブランド〈スペシャライズド〉がリリースした、最先端の電動アシスト付きMTBです。この外観で電動アシスト付きと聞けば、驚きです。240ワットの超軽量モーターを搭載し、軽量かつ高強度のアルミフレーム。専用アプリと接続すれば、走り方に合わせてモーターをチューニングし、ライドを記録。バッテリーを自動的に管理して長距離ライドも可能だそう。自転車の概念を覆す新世代のハイエンドバイクですね」。

https://casabrutus.com/design/137569/10

伊藤弘

1993年に京都にて、デザイン・スタジオ〈groovisions〉を結成。音楽や出版からインテリアやファッションまで、幅広い領域のグラフィックデザインを手がける。上京する際に、それまで所有していた車を売って作ったお金で自転車を購入したことがきっかけで、自転車の魔窟へのめり込むように。今までに買った自転車はおそらく50台くらい!