解任されたとはいえ、

 

 

しかし、

 

”お馬さん & 鹿さん”  

 

 

ですね!

 

 

 

こんな世間知らずで、よくもまあ、中間管理職になれたものです。

 

 

 

 

 

================================

香港で「洋菓子のモロゾフ」不買運動! 民主派市民の容赦なき“正義と独善”

5/24(日) 7:00配信

クーリエ・ジャポン

 

 

大手洋菓子メーカー「モロゾフ」(神戸市東灘区)が、香港で激しいボイコット騒動にさらされている。現地法人の日本人社長が個人のSNSのアカウントで民主化運動のデモ隊を揶揄し、中国や香港政府を支持する発言を繰り返していたためだ。

当該社長への誹(そし)りは免れない。とはいえ、怒りにまかせて個人情報を炙り出し、解雇要求まで突きつける「民主派」香港市民や、それを支持する日本人の“正義感”にも、疑問は残るが……。

デモ武闘派を「テロリスト」呼ばわり

香港ニュースメディア「癲狗日報(マドッグ・マイレイディオ)」は、モロゾフの香港法人40代日本人社長、田中幸一郎氏(5月12日付で更迭)が、個人のSNSアカウントに2019年に吹き荒れた香港民主化運動のデモ隊を愚弄する投稿を重ねていたことを伝え、問題視した。 

モロゾフは、ロシア革命を逃れて日本に亡命した白系ロシア人、モロゾフ一家が1931年に開いたチョコレート菓子店が起源。「ユーハイム」と並ぶ神戸2大菓子ブランドの一角だ。店舗数は2020年1月31日現在1239店。海外は1984年の香港を皮切りに、94年台湾、2008年中国・上海、14年アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイ、17年シンガポール、18年タイ、マカオ、19年カンボジアに進出。現在計20店舗を運営している。

香港では、銅鑼湾(コーズウェイベイ)の崇光百貨(香港そごう)、旺角(モンコック)の朗豪坊(ランガムプレイス)、屯門(テュンムン)の屯門市広場(TMTプラザ)に店舗を開設。現地で日本ブランド菓子の輸入販売を行っていた代理店・ビジュアルホンコンを16年11月、子会社化し、田中氏はこのビジュアルホンコン(モロゾフ香港)の総経理(社長)を務めていた。

田中氏は英文名をアンドリュー・タナカと自称しており、ツイッターの個人アカウント「安德魯住喺香港@全球加油(香港在住アンドリュー、世界よ頑張れ)」(@AndrewLivesInHK)などで「浅黄(穏当な民主派支持者)」と自称し、自身の身分は明かさず日本語と中国語(広東語表記)で投稿していた。(現在、5月16日以前のツイートは削除されている。)

その内容は正直、悪口や批判というより、面白おかしくといった感じで、デモの長期化によって香港在住者の生活に支障が出ている現状を愚痴る程度のものだが、デモの最前線で暴力行為を働く「勇武派(武闘派)」を「テロリスト」「犯罪者」呼ばわりし「チャイナマネーが欲しい」などと投稿した。それらは、日本語を解する民主派の香港市民や民主派シンパの日本人たちが「香港人を侮蔑した」と激昂し、「安德魯住喺香港@全球加油」の個人を特定し、個人情報を拡散するととともに、田中氏の解雇を要求するキャンペーンまで展開したのだ。

 

 

 

 

 

「チャイナマネーの甘い汁をすすりたい」

「やべー売上超いい。黄色経済圏にみかじめ料払ってないのに絶好調。何があったの!? みんなそんなにデモ疲れしているの!?」(インスタグラム)
広東語スラングで民主化デモ支持派、民主派を「黃絲(ウォーン・シー、黄リボン)」、 デモ反対派、警察や香港政府、中国の支持派を「藍絲(ラーム・シー、青リボン)」と呼ぶ。黄色がデモ支持の色になったのは、2014年の民主化要求デモ(雨傘運動)で参加者らが黄色い傘を持っていたことに由来する。一方、政府支持者らが青をシンボルカラーとするのは、香港警察官の制服が青いから。中立派は緑色で表す。
「黄色経済圏」は、民主化デモに賛同する飲食店や商店、企業を積極的に利用すること。店舗が黃絲か藍絲かはスマートフォン向け専用アプリで識別可能だ(ただし、判定基準はかなり恣意的)。田中氏投稿を批判する香港市民は「黄色経済圏の店はネットユーザーの独自選定によるもので、管理団体もない。みかじめ料のようなものは存在せず捏造」と憤慨している。
「テロリストによる交通麻痺のせいで、歩いてきました。警察は催涙ガスやらしょうもないことせんと、1日も早く犯罪者達を逮捕してほしい。#香港デモ #hkprotest」(19年11月11日のツイート)
外国人ビジネスマンの立場ならば、空港の占拠、鉄道、駅、店舗、銀行の破壊、焼き打ち、交通の遮断、抗議活動に消極的な一般市民への集団暴行が頻発するのを目の当たりにし、ビジネスや生活に多大な影響を及ぼされたら、香港デモに共感できないのはある意味道理とも言える。
「香港で一番平和なスタバ。暑いのでフラペチーノ注文して懲罰 #美心加油 #香港加油」(19年11月30日のツイート)
香港地場外食チェーン・美心食品(マキシム・ケータラーズ)創業者の娘がデモを「少数の過激派による組織的、計画的な暴力行為」と批判したことから、同社は親中企業(藍絲)の代表と目されている。マキシム傘下にある「スターバックスコーヒー」や日本の「元気寿司」などの香港店舗はデモ隊の攻撃対象だ。そのスタバを利用した田中氏は「デモ支持者によって罰せられるぞ」と自虐しているのだ。
「黒芝麻(註:黒ゴマ)。テロリストたちも冬至くらい穏やかに過ごせばいいのに。警察のみなさん、テロリスト相手におつかれさまやね。」(19年12月22日のフェイスブック)
中華圏では冬至に湯圓 (トーンユン、タンユエン。餡の入った茹で団子)を食す習慣がある。田中氏は黒ゴマ餡の湯圓らしき画像をつけて投稿している。
「在香港の日本人KOLの方って、どうしてデモの良い面しかアピールしないんだろう。普通に暮らしていると警察と同じかそれ以上迷惑することが多いんだけど。スポンサーかな。やっぱ自分の飯が一番大事かね。」(インスタグラム)
KOLとは、中華圏のスラングで「キー・オピニオン・リーダー」の略。SNSで強い発信力や影響力を持つ人のこと(マーケティングに直結した「網紅=インフルエンサー」とは異なる)を指す。
「中共(註:中国共産党)認定ラらやまレい。藍絲の一員ヒレて、僕も早く其の高みに到達レたい。チャイナマネーの甘い汁をすすりたいし、氾冰冰ヒお友達になソたい。」(2020年4月20日のツイッター)
中国製品のパッケージに散見される怪しい日本語を模倣した投稿。氾冰冰とは、18年脱税疑惑で当局の調査を受けた中国を代表する美人女優・范冰冰(ファン・ビンビン、38)のこと。
「先程審査に通ったと通知を受け、結構な額の支援金を政府からいただける事になりました。キャリーラム行政長官への感謝を込めて、本日より1週間、藍絲になります。」(20年4月20日のツイッター)
「ちょ…別で申請してた分も審査おりた…我熱烈支持香港政府」
「藍絲週間は行政長官の肖像画(A4プリント)をオフィスに飾ります。」(20年4月23日のツイッター)
香港政府食物環境衛生署は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大で経営に深刻なダメージを受けている飲食・食品業者を対象に3月5日から補助金の申請受付を開始した。営業免許に応じて、5000~20万香港ドル(約7万~280万円)の補助金が1回のみ支給される。制度は日系企業も対象となる。

林鄭月娥(キャリー・ラム、63)は香港政府トップの香港特別行政区行政長官。デモには終始厳しい態度で臨み、繰り返し市民から辞任要求が出されており、北京政府と香港市民の板挟みにある

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「解雇」を求める署名運動まで発生

一連のツイートが5月10日ごろ、モロゾフ香港社長のものだと明らかになってから、モロゾフとモロゾフ香港のフェイスブックページ、ツイッターの公式アカウントに、日本語を解する香港市民や香港・日本在住の日本人から怒りのコメントが殺到。その多くはモロゾフ製品を今後買わない、香港を侮辱した田中氏の解任・解雇を要求するものだった。

民主化デモのオンライン拠点となっているネットの匿名掲示板「連登(LIHKG)討論区」では田中氏のスレッドが立ち、「彼の投稿は香港の民主と自由を冒涜するもので、悪意に満ちている」といった人格攻撃や、行きつけの酒場といった個人情報が書き連ねられた。

また、オンライン署名サイト「Change.org」では、「モロゾフ株式会社は香港市民を侮辱した田中幸一郎氏を解雇してください! 請求 #Morozoff 的社長 山口信二先生、對侮辱香港市民的員工 田中幸一郎作出解雇!」というキャンペーンが始まり、期間中に550人分の賛同を得た。
一方、モロゾフの動きは早かった。同社はフェイスブックとツイッターアカウントにて、営業本部 馬場健治国際部長の名で、5月11日に予告を行ったうえ、12日に以下の声明を発表した。
【ご報告】
皆様へ:
このたび、Morozoff HKの責任者 田中幸一郎のSNSでの発言におきまして、市民の皆様への侮辱的な表現がありました。皆様に不愉快な思いをさせてしまいましたことを、改めてお詫びいたします。
本日5月12午前中、Morozoff HKの緊急役員会が開催され、Morozoff HKの責任者の発言として、節度や表現に欠けた不適切な内容が確認され、当社はこの事態を重く受け止め、下記決議したことをご報告いたします。

・即時総経理解任
・即時帰国

なお、田中幸一郎氏本人の謝罪に関しては、更迭後、自身のサイトにて謝罪、該当する投稿の削除をいたします。

2020年5月12日(火) モロゾフ株式会社 馬場健治

 

 

 

 

 

 

個人情報暴露は「正義」か?

田中幸一郎氏の一連の投稿が、香港でのモロゾフのイメージを大きく毀損したことは疑いないだろう。広東語で投稿できる田中氏は、かなりの中華圏通とみられるが、それでも日本語を解する市民の多い香港を甘くみていた感がある。結果、最大顧客となる彼らの怒りを買い、個人を特定された。

日系企業は海外赴任する社員に対して“我が社の代表としてではなく日本人の、日本国の代表として赴任し、そう見られる。着任日から言動には気をつけよ。特に任地の内政に関する政治的発言は控えよ”と注意を与えるものだし、筆者も、北京市駐在中、中国の公安警察や人民解放軍、ドキュメンタリー映画など「敏感」なテーマのコラムを書いては上司にボツにされたことが何度もあった。

香港の小売業・飲食業の場合、従業員が黃絲寄りの行動をして市民から「黄色経済圏」企業認定されれば、逆に中国政府に睨まれて中国本土事業に影響が出る危険性がある(逆にデモ支持を表明しなければ藍絲として糾弾され破壊やボイコットの対象にされる)ので、リスク管理は難しいところである。

だが、現時点でもモロゾフのSNSには「解任では甘い。解雇しろ」のコメントが寄せられている。たとえ個人のSNSアカウントでも民主化デモを批判すると、勤務先や氏名まで晒され、勤務先に解雇要求をされるのが香港の現実なのだ。

民主派香港人や彼らのシンパの日本人は、そうしたクレームや個人情報暴露が「正義の行為」だと信じて疑わない。そこに香港の民主と自由を叫ぶ者たちへの強烈な違和感を覚える。

中国や中国人、香港政府を「絶対悪」と決め付け、デモへの批判に対する、中国風の個人監視、言論封殺、恐怖支配は「良心的行為」としている。あるいはそれに気付いていない。自分たちの意に沿わない投稿を重ねた田中氏を糾弾する人たちは、正義・正論を振りかざして己の行為を正当化するタイプと言えるだろう。

Jun Tanaka

 

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200524-00000001-courrier-cn&p=4