「後世に残したい豊かな森」地元NPO守り育てる「さえずりの森」 鹿児島・姶良市

5/3(日) 9:03配信

毎日新聞

 

 

 広葉樹に囲まれ、絶え間なく小鳥の鳴き声が響く。鹿児島県姶良(あいら)市加治木町の「さえずりの森」。鹿児島湾(錦江=きんこう=湾)や桜島を見下ろす山の一角で、地元のNPO法人「四季の会」が守り育てている緑のスポットだ。「後世に豊かな森を残したい」というメンバーの思いが豊かな森を支えている。

 

 

 

 

 

 

 

 



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 「10のうち9は楽しみ。あとの1がボランティア」。四季の会は鹿児島県の森林ボランティア養成講座「平成の山学校」の卒業生の一部が集まり、2006年に旗揚げした。現在はさえずりの森の中のキャンプ場の管理をはじめ、主に姶良市と隣の霧島市で約70ヘクタールにおよぶ森林の間伐などに取り組んでいる。

 戦後、全国的に針葉樹のスギやヒノキを中心とした人工林が各地に広がる一方、広葉樹を中心とした自然林は減ったといわれる。そんな中でカシやシイ、クヌギといった広葉樹が手つかずの状態で生い茂っているのが「さえずりの森」の特徴の一つだ。

 「広葉樹の自然林に囲まれ、自然を満喫できる場所は珍しい」と四季の会で事業部長を務める安田巧さん(69)は胸を張る。長い年月を経た広葉樹林では落ち葉が森に栄養を蓄え、動物や虫の保護にも役立っているという。ヤマガラなど広葉樹を好む小鳥たちのさえずりが聞けるのも魅力だ。夏にはクヌギの蜜を求めてカブトムシやクワガタが多く集まる。

 自然だけではない。近くには明治維新後、西郷隆盛率いる薩軍と明治政府軍(官軍)が激戦を繰り広げた西南戦争で、薩軍が鹿児島から熊本に向けて出立した古道の龍門司坂(たつもんじざか)がある。石畳はこけむし、山道は散策路としても人気があり、小鳥の鳴き声に耳をすましながら歴史に思いをはせることができる。

 さえずりの森では間伐材を利用した炭作りや木工教室をはじめ、モミジなど広葉樹の植林イベントを開催している。「実際に手で触れることで、森について理解を深めてほしい」。安田さんの願いだ。【白川徹】

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200503-00000011-mai-soci

 

 

 

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