まさに、その通り、各国の首相や大統領、
知事、市長などは、
プーチン、声を荒げて地方の代表たちに喝!「コロナ対策、時間を無駄にしたらそれは犯罪的な職務怠慢だ!」
4/18(土) 19:15配信
感染者が3万人を超え、死者数は273人
にとなったロシア(4月17日時点)。
首都モスクワだけでなく、地方での感染が広まりつつあった4月13日、プーチン大統領は、厳しさを増す新型コロナウイルスとの闘いに向け会議を開いた。「コメルサント」の記者アンドレイ・コレスニコフは、この会議を「前例のない厳しさだった」と指摘。
普段はあまり表情を変えることのないプーチン大統領は、感情をあらわに「犯罪的な職務怠慢」という表現を使って現状への不満を強い口調で告げた。
「毎日報告しろ!」
会議には、首相のミハイル・ミシュースチン、会計検査院議長のタチヤナ・ゴリコワ、モスクワ市長セルゲイ・ソビャーニン、その他、ロシア国内の新型コロナウイルス対策のキーパーソンたる政府の高官たちが出席。プーチン大統領の表情からは、この20年間絶えたことのない抑制の利いた楽観の色が消え、事態の深刻さを窺わせた。
「状況は実際、日々変わっている。それも残念なことに好転してはいない。罹患者の数は増え続けているし、重症化するケースもますます増えている。多くの点で、ここ数週間が決定的な時期になると、私はすでに何度も言ったきた」
プーチン大統領は、正確なデータとそれに基づいた客観的な予測が不可欠で、さらに、それを毎日きちんと自分に報告するよう強調した。
「中期的なものとか長期的なものとかだけじゃなく、この3日間、7日間、10日間の予測だ。現実の状況に基づいた予測を正しく導きだし、絶えず更新しろと言っているんだ。そして、それを私に毎日報告しろ」
「市民に医療を供与せよ!」
プーチンの苛立ちは、先手の国境閉鎖で、当初は食い止めに成功していたロシアの新型コロナウイルス対策がすでに破綻し、国内での急速な蔓延拡大のフェーズに移った今、すでに地方では医療崩壊が生じていることが一因となっている。早急に手を打つべき最大の課題は、医療体制を護ることだ。
「この状況がどう展開していくのか、もっとも厄介で異例の事態も含め、あらゆるシナリオを考慮しておくことが不可欠なんだ。それによって、我々がどう動くのかという戦略を、柔軟かつ迅速に軌道修正していけるように。まずは、市民に医療を供与することだ」
ロシアでも、病床だけでなく、医療従事者の不足による医療崩壊は現実的なものとなっている。
「モスクワでも他の地域でも、救急隊員、診療所、病院のスタッフたちは、この数週間、極めて強い緊張と重い負担を強いられた中で働いてくれているんだ。医療班の増員がどんな具合に進んでいるのか報告しろと言っているだろう。全医療機関、さらに、医科大や医療専門学校の人員も総力で動員する必要があると話したじゃないか!」
「ロシア軍を動員せよ!」
ロシア軍は支援のためにイタリアに人員を派遣しているが、国防省は国内の新型コロナウイルス対策にも動員可能だと示唆する。
「いいか、国防省の軍人たちは仕事をしている。伝染病と戦っている外国(イタリアやセルビア)の同僚たちを助け、海外で効果的な仕事をしてくれている。彼らはすでに、相当に困難な環境下で仕事をする経験をかなり積んでいる。いうまでもなく、この経験を活かすことを考えないといけない。
できることはすべて、ロシア国防省ができることも含めてすべて念頭に置かねばならない。もしそれが必要なら、国内においても効果を発揮できるはずだし、発揮しなければならない。国防省は仕事をしている。もう一度言う、それもかなり効果を出している。しかもこれは国防省のほんの一部だ。
国外で稼働しているうちのわずかだ。基本的な予備軍はまだ稼働していない、だからこれも考慮に入れないといけない」
「考えなしに時間を浪費してはダメだ!」
さらに、ゴリコワらによる報告にも満足はいかなかったようだ。
「われわれには非常に多くの問題がある。とりたてて褒めるようなことはない。とりわけ気を抜かないことだ。なぜなら、きみたちが自分でいま言ったように、きみたちの“専門家”が言っているように、全体として感染のピークはまだ終わっていないからだ。
もちろん、各市当局が導入している措置は正当なものだと思っている。大事なことは、あらゆる技術的な問題、行政上の問題に徹底的に取り組んで効果的に機能させることだ。人々にさらなる問題を生じさせないようにすることだ」
さらなる問題のひとつは、死者の急増を招く病床不足だ。
「特に言いたいこと、特に注意を向けてほしいことがあるのだが。特別な設備のある病床の追加は準備が計画通りに進んでおり、すでに30%が開設されたと今聞いた。それと同時に、きみたちも言ったように、モスクワ以外の地域は、首都から3-4週間の遅れをとっている。
これは、地方にはまだ時間的余裕があるということだ。だが、その余裕もすぐさま消えてしまいかねない。考えなしに時間を浪費してはだめだ。その時間は、もっとも効果的に使わなければならない」
「それは犯罪的な職務怠慢だ!」
この後、プーチン大統領は驚くべきことを口にした。
「つい最近、国内の全地域の代表らと会議を行った。私はいま一度、このことに注意を促しておきたい――もしも、仕事が間に合わないようなことが何かしら出てきたとしたら、それは犯罪的な職務怠慢だとみなす。行政上のものだけじゃなく、出てきた結果すべてを見る」
4月14日に「イズベスチヤ」紙でも報じられたように、モスクワから230kmほど西に位置しているヴャジマという町では、障害者・高齢者の入居する介護施設でクラスターが発生、最後の一人となっていた看護師も感染し、勤務できる看護師がゼロとなった。
プーチン大統領は、イラついた口ぶりで「これは単に怠慢の結果だ」と繰りかえす。
「怠慢としか言いようがない──各所の専門家にも、各地域の指導者にも、各施設の医師や責任者たちにも、すべての問題に向き合ってくれるよう、主任保健医や専門家らのどんな要求にも最大限の深刻さで向きあってくれるようにと頼んでいる」
「生産体制に事前の準備がなかったことは明らかだ。だが、われわれには、生産を増強するためのしかるべきプランがある。だから、医療担当班には、こうした増産計画の遂行に極めて周到に応じてくれと頼んでいるんだ。この件についても、やはり私に定期的に報告するようきみたちにお願いする!」
「成功を祈る!」
最後にプーチンは、いくぶん朗らかに、「成功を祈る!」と激励したが、成功以外の道が残されていない中での大統領のこの言葉は、大きなプレッシャーとなったに違いない。
大統領の叱咤激励の効果が見えてくるのは、まだ先のこととなるかもしれないが、それでも彼らは本気で動き始めているようだ。4月18日の「タス」によれば、17日にミシュースチン首相は、全国各地の指導部に、病床を現在より45000床増やし、ロシア全土で60000床とするという中央の指示を伝えている。
また、モスクワ市長ソビャーニンは、モスクワの医療生産体制は、この2週間で生産施設総出で医療支援のための備蓄を作り、市民の命を守る物資の供給を保障すると断言した。
一部の大都市をのぞけば、地方での医療体制の脆弱さは、このままでは、恐るべきウイルスの感染スピードへの勝算を見込めない。残された「時間の余裕」もそれほど長くはなかろう。
人員、病床、設備、物資の備蓄を生めるのは今しかない──プーチン大統領の焦燥は、決してロシアだけのものではあるまい。
Satoko Takayanagi
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200418-00000004-courrier-int&p=3