「日本の京都はその昔、唐の都・長安を模してつくられた」
「奈良の唐招提寺は唐代の高僧・鑑真和尚ゆかりの寺である」
日本文化の熱烈なファンである。
画家の男性がいる。中国画を書く人だが、書の評価も高い。当時は絵が売れず、今では壁に掛けるような小さな作品が日本円で何百万円もする。欧米からも作品を買いたいという画商が引きも切らないという人である。
3年ほど前、彼は初めて日本に行った。京都の祇園界隈で知人と食事をした時、街のたたずまいに衝撃を受ける。
彼が長いこと漠然と頭の中に思い描いていた夢の都・長安が、突如として眼前に現われたのである。
夜、どうしても眠れず、未明に1人、宿を出て通りをさまよい歩いたという。
「あの光景は忘れられない。世界にこんなところがあるとは思わなかった。誰もいなくて、死ぬほど静かで、簡潔で端正な家並みがぼんやりと光に浮かんでいる。まるで夢を見ているみたいだった」
呆然と立ち尽くしているうちに、涙が出てきたという。

日本の昔の庶民のレベルの高さに驚く
その彼が日本で驚いたことがもう一つある。
街を歩いていたら偶然、骨董市のような催しがあった。覗いてみると、骨董や古本などに混じって無造作に積まれた古文書の束が売られている。手にしてみると「かな」はわからないが、漢字は読める。どうも昔の商家の帳面のようなものらしい。使い回しの紙の裏側に書きつけたようなものもある。
驚嘆したのは、その字の素晴らしさである。
彼は書家だから、字の良さはわかる。明らかに実務的な文書であるにもかかわらず、その筆の運びは素晴らしく、しっかり訓練した人が書いたものだと一目でわかった。商家の文書だから、書いたのは貴族や役人ではなく、一介の庶民に違いない。値段を聞いてまた驚いた。1枚わずか数百円で、こんな値段で山積みにされているのだから、このような文書は珍しくもないのだろう。大昔の市井の人がこんな字を書く。
「日本はつくづくすごい国だと知った」と彼は言う
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上海のインテリアのデザイン事務所経営
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「こんなところがすぐ隣の国にあったのか――とまず驚いた。
ドイツに9年間いたのでヨーロッパの街の美しさはよくわかる。
でも京都は全く違う。
なんとも言えない心地よさのようなものがある。
シンプルで上品で、
そのセンスは本当に素晴らしい。
でも翻って考えると、
過去の歴史において我々中国人が失ってしまったものはあまりにも多い」
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日本人と中国人、深いコミュニケーションの可能性
今後、中国の人々はますます自国の文化に対するプライドを高めていくだろう。ヨーロッパの人々にギリシアやローマがあるように、中国には唐の文化がある。そんな位置付けかもしれない。その唐代の文化が最も色濃く残るのが日本だというのは歴史の皮肉であるが、これは中国人と日本人が深いレベルでコミュニケーションできる独自の道筋でもある。これを活かさないのはもったいない。
訪日中国人客の経済効果もいいけれども、昨今日本にやってくる中国人の中には、こんな思いを持つ人も少なからずいることを知ってほしいと思うのである。
https://wisdom.nec.com/ja/business/2017062001/03.html
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強面の中国報道官が日本語ツイート コロナウイルスがもたらした「漢詩」の交流 「憂いのない春を一緒に」
3/10(火) 7:00配信
「日本のみなさん、一緒に頑張りましょう」。
日本に対して厳しい姿勢を取ることが多かった中国外交部(外務省)の華春瑩(フア・ツンイン)報道官が、ツイートした日本語の投稿が話題になりました。投稿に目立っていたのは、「救患若一、所憂同也」という漢詩です。新型コロナウイルスをめぐって、助け合いの空気が生まれている両国。同じ漢字文化の国同士として「漢詩」を通じた交流が続いています。
珍しく日本語でツイート
華春瑩報道官は、かつて厳しい顔がトレードマークでした。パンダの「香香」(シャンシャン)を日本の外務省の杉山(ShanShan)事務次官と勘違いした時、笑ってしまったことがニュースになるほど、いつも緊張感あふれる会見を取り仕切っています。
そんな華報道官は、中国の国内では使えないツイッターを2019年10月から開設。英語で発信してきました。そして、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、3月1日に、韓国語と日本語で次のようなツイートをしました。
「救いを待つ人がいれば、それを助けたいという思いは同じです。同じ試練に立ち向かう日本(韓国)の皆さん、中国からの気持ちをお受け取りください。共同加油!一緒に頑張りましょう!」
日本語のツイートには「救患若一、所憂同也」という漢文の一節が入りました。
日本からの支援物資に書かれた漢詩
華報道官のツイートにある「救患若一、所憂同也(ジュウ・フアン・ロー・イー、スオ・ユー・トン・イェー)」は、春秋時代の書物と伝えられる『鄧析子・無厚篇』の一節です。
同じ書物にある「同舟渡海、中流遇風」という前文と合わせると、「同じ船に乗り、海を渡り、途中で風浪に遭い、みんな同じことを心配しているため、助け合い協力して困難を乗り越える」という意味になります。
この漢文が選ばれた背景には、日本から中国へ届けられた支援物資に書かれていた漢詩を受けたものと思われます。
支援物資には「山川異域、風月同天」(私たちが暮らしている場所、山や川などが違いますが、同じ風を受け、同じ月を見て生きています)と書かれていました。
その他、「豈曰無衣?与子同裳」(衣服がないと言わないで、私の服はあなたの服だ)や、「青山一道同雲雨、明月何曾是両郷」(青山がつながり同じ風雨を受け、頭上の明月も一緒のため、違うところ身を置くことを感じていない)、「遼河雪融、富山花開。同気連枝、共望春来」(遼寧省の雪が溶け、富山の花が咲きほこる。気持ちが通じ合う兄弟が、一緒に春の到来を待とう)などの漢詩もありました。
中国の古典や、日中の交流の中で生まれた詩文が引用された心遣いは、中国の人々に多くの感動を与えました。
意外なところにも漢文 「隗(かい)より始めよ」
漢詩の効果は、思わぬところでも生まれています。
北海道の鈴木直道知事が、新型コロナウイルスの対応で小中学校の休校を要請した際、道の姿勢について「隗(かい)より始めよ」という言葉を使いました。
実は、「隗より始めよ」は『史記』の「請自隗始」(チン・ズ・ウエ・シゥ)に出てくる言葉としても知られています。鈴木知事の発言は、中国の人々にとって「漢文の造詣が深い日本人」の姿として映り、SNSなどで評判になりました。
華報道官は3月8日、「霧尽風暖、桜花将燦」(吹く風に温かさ知り花近し)という漢文を記した後、日本語で「吹く風に温かさ知り花近し 憂いのない春を一緒に迎えましょう!」とツイートしました。
このような両国の交流を受け、中国のSNSでは、「われわれも漢文や漢詩をもっと勉強しないと」という声が上がっています。漢文や漢詩を通したやりとりは、新型コロナウイルスがもたらした意外な「副作用」としてお互いの結びつきを強めているようです。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200309-00000002-withnews-cn&p=2