WHO、世界的なマスク不足を警告 中国はスイスの関節炎薬投与へ

 
 
 
 
 
 
 
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3日、マスクなどの衛生用品が世界的に不足し、新型コロナウイルス患者の治療にあたる医師や看護師などを危険にさらしかねないとして懸念を表明した。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、呼吸器疾患による死者数が増加する中、WHOは企業や各国政府に対し生産を4割増やすよう要請している。

 テドロス事務局長は以下のように述べた。

  「需要の増加や買いだめ、誤用によって(マスクなど)衛生用品の国際的な供給に深刻な不足が発生し、各国の対応能力が低下していることを我々は懸念している。衛生用品の不足は、新型コロナウイルス患者の治療にあたる医師や看護師をはじめとする医療関係者を危険にさらす。」

  新たにウクライナとチリで感染が確認され、感染が発生したのは、これで世界約80カ国に達した。

 衛生用品の供給は十分だろうか。

 中国以外で多数の死者を出している国の1つであるイランでは、医師や看護師への供給が不足している。

 中国に次いで最も感染者数の多い韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領はウイルスとの「戦争」を宣言するとともに、病院のベッド数とマスクの供給を増やすように指示した。

 だがこれには多額のコストが伴うだろう。WHOによると新型コロナの感染が拡大して以降、手術用マスクの値段が6倍も高騰したほか、保護マスクは3倍に、また防護服も2倍に上昇したという。

 世界銀行は各国支援のために120億ドルを拠出すると発表。また米FRBは緊急利下げに踏み切った。

 各国が対策に追われる一方、ウイルスの発生源となった中国は治療法を模索している。

 中国の保健当局は4日、重篤な新型コロナ患者の治療にスイス製薬大手ロシュの関節炎薬を投与すると発表した。「アクテムラ」は、肺炎で重篤な呼吸器疾患を示している患者に対し処方される。ロシュは炎症を抑える効果があるかもしれないと話している。

 だがこの薬に効果があるという臨床結果はない。中国当局もいまのところ、新型コロナ感染症の治療薬としての販売認可はしていない。