ユニクロに大逆風…! ここへきて「最大の危機」に直面しているワケ

2/5(水) 8:01配信

現代ビジネス

 

ユニクロに「最大の危機」

 いまや日本のみならず世界でも大人気となっているユニクロ

 ユニクロを展開するファーストリテイリング社はすでにH&MやGAPなどの世界トップブランドを時価総額で抜き去り、ZARAなどを展開する世界一のアパレル企業インディテックスが視界に入ってくるまでになった。

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 しかし、そんな同社にとっていま「最大の危機」となりかねない大逆風が吹き荒れていることをご存じだろうか。

 いまユニクロにとって大打撃となっているのが、中国・武漢から急拡大して世界を震撼させている新型コロナウイルス騒動である。

 「ユニクロは武漢で展開している17店舗が休業に追い込まれたのみならず、1月末には中国全土で約160店も休業することになった。ユニクロは中国全土で750店(昨年12月末時点)を展開していることを考えると、約2割強の店が開業できないことになる。コロナウイルス騒動がいつ収束するか見通せない中にあって、収益への打撃が計り知れなくなっている」(アナリスト)

 実際、いまやユニクロにとって中国は「稼ぎ頭の中心」。ファーストリテイリングの2019年8月期決算を見ると、最大の売上収益を叩き出しているのが海外ユニクロ事業で、その過半を稼いでいるのが中国を含むグレーターチャイナ地域の5000億円超なのである。

 「いまやユニクロは『中国大陸でナンバーワンのアパレルブランド』とみずから豪語するほどで、利益ベースで年間30%成長するほど稼ぎまくっている。それがここへきて新型コロナウイルス騒動が直撃しており、単純計算で売り上げが2割減だとしても1000億円ほどの減収インパクトになり得る。同社がいくら巨大企業になったからといって、決して看過できるような金額ではない」(前出・アナリスト)

 しかも、コロナウイルス騒動の影響はそれだけにとどまらないのだからただ事ではない。

 

コロナショック、人民元安、インバウンド減…

 新型コロナウイルス騒動を受けて、金融市場で「人民元売り」が起きていることもユニクロへの悪影響になる。

 「すでに為替市場では中国リスクを嫌気して、人民元売りや有事の円買いが起きている。1月末には人民元がさっそく年初来安値まで売られた形だが、これは中国で稼いでいるファーストリテイリングの決算にとってはマイナス要因になる」(ファンドマネジャー)

 じつはこうしたコロナウイルス・ショックは、ユニクロの日本国内販売にも影響を与えかねない。

 「国内ユニクロ事業はファーストリテイリングにとって、海外ユニクロ事業と並ぶ『二本柱』のひとつだが、インバウンド需要に支えられている面が少なくありません。現実にユニクロの銀座店などに行くと、アジアを中心にした外国人観光客でごった返しているのが実情です。

 しかし、新型コロナウイルス騒動を受けて、中国では海外への団体旅行が当面中止とされたばかり。ちょうど中国人の観光客が大量に訪日する春節のタイミングが重なったこともあり、インバウンド消費が激減したことは間違いない」(前出・ファンドマネジャー)

 もちろん、いまだコロナウイルスの感染は拡大するばかり、これからさらなる渡航禁止措置などに発展する可能性もある。

 そうなれば、ユニクロにとってはダブルパンチで痛手となるというわけだ。

 

 

ユニクロ韓国は「反日ショック」で赤字転落…!

 そもそもユニクロをめぐっては、昨年来より激化している日韓対立が業績を直撃している真っ最中である。

 「昨年7月からの不買運動の影響をモロに受けています。ファーストリテイリングが発表した直近決算では、韓国事業が大幅な減収に見舞われた結果、営業利益が計画を下回り赤字に転落したと明かされています。いまだ反日ショックの影響は続いており、通期でも2ケタの大きな水準での赤字になる見通しとされています」(前出・アナリスト)

 直近決算でファーストリテイリングの海外ユニクロ事業は減収減益に追い込まれたのだが、その主因はまさにその韓国事業。さらに、香港で続くデモの影響も出ている。

 「香港事業は既存店売上高が減収に追い込まれ、営業赤字に転落した。直近決算で減収減益になった海外ユニクロ事業だが、ユニクロ幹部が『韓国・香港要因がなければ増収増益だった』と言うほどの影響を受けているかたちです」(前出・アナリスト)

ユニクロ株と日経平均株価

 こうした事態を受けて、ファーストリテイリングの株価は冴えない。

 昨年7月には7万円を突破していた株価が、ここへきて急落下。2月3日には5万6000円台をつけるなど、「6万円割れ」まで落ち込んでいる。

 「大手証券がファーストリテイリングの目標株価を引き下げる動きもあり、どこまで落ちるのが見通せなくなってきた」(前出・ファーストリテイリング)

 ファーストリテイリングは中国をはじめとするアジアへの進出を積極的に推し進めて、大成功してきた。

 それが同社をアパレル業界における有数のグローバル企業に押し上げた最大の要因であることは間違いないが、ここへきてグローバルリスクにモロにさらされているかたちである。

 「ファーストリテイリングを率いる柳井正会長兼社長は同社株を約2200万株保有している。年始から5000円ほど同社株が下落していることを考えると、単純計算でこの間に柳井氏の保有株の価値は1000億円ほど下がっていることになる。

 同社の株価は日経平均株価への寄与度が高いだけに、ファーストリテイリング株が下がれば日経平均そのものの大きく下落するリスクがある」

 ユニクロショックから日本株ショックへ。

 そんな最悪のシナリオも視野に入ってきた――。

 

 

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200205-00070201-gendaibiz-bus_all&p=2

砂川 洋介(ジャーナリスト)