私の人生=アメリカと結び付けるとしましたら、

 
MOMAと、極論づけられるでしょう。
 
MOMAで、思う存分、モダーンアートが、
 
見れる、
 
見たい、
 
 
 
何という喜びでしたか!!!
 

モダーンアートとの出会いほど、衝撃的なものは、ありませんでした。

 
 
 
 
遠い、遠い、昔の思いでです。
 

 

 

 

 

 

 

吉田実香のNY通信|大規模リニューアルしたMoMA、10の必見ポイント。

December 12, 2019 | Architecture, Art, Design, Travel | casabrutus.com | photo_Nicholas Calcott   text_Mika Yoshida   coordination_David G. Imber   

ディラー&スコフィディオ+レンフロによる増改築で、ギャラリースペースが30%も拡大した新生MoMA。限られた時間の中で最大限押さえたい! という人のため、「見どころ10点」絞り込みました。

 
 

 

じっくり半日かけて味わいたい、新生MoMA。エントランスやロビーの場所はじめ、空間がガラリと変わっただけではない。モネの《睡蓮》などMoMA所蔵の名作も、新たな見せ方のおかげで、これまでと異なる鑑賞体験が味わえる。

ディラー&スコフィディオ+レンフロは、谷口吉生によるこれまでの建築を生かしながら、新たな空間へとシームレスにつないでみせた。新しいギャラリーを通り過ぎたかと思えば、かつてのMoMAの中をいつのまにか歩いている……なじみのある空間だが、以前とは何かが違う? リピーターなら、斬新さと既視感が交錯する不思議な感覚を覚えるだろう。作り変えたことによって谷口建築やMoMA所蔵品への理解がより深まる、リスペクトあふれる改装だ。

ギャラリースペースだけでも440平米ほど増床した。ひたすら広く、展示も建築も見るモノ満載だが今回は「新しい部分を駆け足で回りたい」人のためのオススメポイントを10点挙げていこう。

 

1〈エントランス〉

 

キャノピーが加わり、印象がガラリと一変したMoMAの正面玄関。壁の一部をガラスに変え、前からあったガラスのドアとウォールは倍の高さに。内部の明るさもぐっと増した。

 

2〈バウハウスの階段〉

 

バウハウス校舎の為にウォルター・グロピウスが設計した階段にオマージュを捧げた、〈バウハウスの階段〉。建築家フィリップ・L・グッドウィン&エドワード・ダレル・ストーン設計の通称グッドウィン・ストーン・ビル(1939年竣工)で、長年にわたって親しまれてきたスポットだ。これまでは目立たない裏手で2階と3階を結んでいたが、DS+Rは1~2階間の階段を加え、この一角を吹き抜けとした。いまや華やかな主役級の存在に。

 

3〈53丁目を臨むガラス張りギャラリー〉

 

壁一面から外が見渡せるギャラリーが誕生した。このギャラリー212のほか、4階にあるMoMA初のパフォーマンス用スペースも街の気配や光の移ろいがダイナミックに感じられる場所だ。ちなみに窓の外、右手に見えるのはCBSビル。通称「ブラックロック」、エーロ・サーリネンが1964年に完成させた名建築である。

 

4〈フルクサスの展示室〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アーティスト名や時代にとらわれない、斬新な切り口が冴える新MoMA。これは1950~60年代の前衛芸術運動・フルクサスに関わったアーティスト達の作品を展示するギャラリーだ。ナム・ジュン・パイク、ジェフリー・ヘンドリクス、ジョージ・ブレクト、赤瀬川原平や高松次郎らによるハイレッド・センターが1960年代に制作した作品と共に、Pope.Lやリクリット・ティラヴァーニャといった、いわば「若い」作家による1990年代初頭の作品が並べられている事にも注目したい。

壁のほぼ一面を埋め尽くすのが、オノ・ヨーコの手書き文字。いずれもパフォーマンスの過程を日本語で記したものであり、同時に言葉のアート作品でもある。1961~62年の作。

 

5〈モネの部屋〉

 

《睡蓮》のための部屋が作られた。これまでも大きな壁を持つアトリウムで展示するなど、広がりのある場所での《睡蓮》鑑賞を提供してきたMoMA。隣接する部屋で関連する作品を観ては、ここに腰かけてじっくり眺めるなど重層的にモネを味わってみては。

 

6〈フランクフルト・キッチン〉

 

世界的に名高いMoMAの建築/デザイン部門。歴史的に価値あるデザインを多数所蔵しながらも、特別展でもない限り一般はなかなか観る機会に恵まれなかったのも事実である。今回のリニューアルに伴いお披露目されたお宝の一つが、本物の〈フランクフルト・キッチン〉。オーストリア出身の女性建築家マルガレーテ・シュッテ・リホツキーによる合理的なデザインで、その後ヨーロッパにおいてアパートの標準的なキッチンとなった名作だ。

 

7〈谷口建築とDS+Rを結ぶ門〉

 

どこまでが2004年完成の谷口吉生による建築で、どこからが今回新しくなったのか、おいそれとは気づかせない「スムーズな」新MoMA。だがよく見ると、あちこちに黒っぽい通路が? 谷口建築から新しい建物へ、または新しい建物から谷口建築へと足を踏み入れる際にくぐる、いわば「門」。谷口建築へのリスペクトあふれる仕掛けだ。

写真手前のギャラリーは、谷口設計のビルの中。1910年代・ロシアの前衛芸術家たちによる自費出版本が展示されている。奥のギャラリーは、DS+Rによる西側の建物だ。「門」越しに目に飛び込むのは、マルセル・デュシャンによる初のレディメイド。ロシアとフランス、国は違えど同じ時代に前衛へ挑んでいた芸術家たちが呼応しあう。

 

8〈1階ラウンジ〉

 

リニューアルでぐっと増えたのが、座ることのできる場所だ。あちこちにイスやソファが置いてある。足を休めたり、今観た作品について考えたり。1階にはラウンジも新設された。天井のパターンはグッドウィン&ストーンのデザインを思わせる。ほかの壁や床にも見られる黒い大理石や黒い人造石テラッツォも、グッドウィン&ストーンへのオマージュだ。

 

9〈道に面したパブリックギャラリー〉

 

53丁目を歩いていると、突然ガラス越しにアート作品が? 気になれば中に入って鑑賞できる、それも無料で! 1階の新顔ギャラリーは「開かれたMoMA」を象徴する。

 

10〈ミュージアムショップ〉

 

「美術館を訪れてまず最初に目に飛び込むのがショップ、というのは避けたかった」とDS+R。これまで一階にあったショップは地下へ。一階の休憩スペースやストリートの活気ともゆるやかにつながる、のびやかな空間が誕生した。

 

〈The Museum of Modern Art〉

11 West 53 St., New York TEL (1) 212 708 9400。10時~17時30分(金~21時)。無休。入場料25ドル。

 
 

吉田実香

よしだみか  ライター/翻訳家。ライター/インタビュアーのパートナー、デイヴィッド・G・インバーとのユニットでNYを拠点に取材執筆。『Tokyolife』(Rizzoli)共著、『SUPPOSE DESIGN OFFICE』(FRAME)英文執筆、『たいせつなきみ』(マイラ・カルマン 創元社)翻訳。