世界一美しい紙 200年前に途絶えた製造技術を復元
12/2(月) 10:21配信
世界で最も美しい紙の一つとされながら約200年前に途絶えた「サマルカンド紙」。中央アジアのウズベキスタンの地で8世紀に始まった製造技術を、愛知県立芸術大の柴崎幸次教授らが近い状態まで復元した。来年3月に同国で、復元した紙とともに研究成果を報告する。
【写真】復元のサマルカンド紙をすく浦野友理非常勤講師(手前)と柴崎幸次教授=愛知県長久手市の県立芸術大学
サマルカンド紙は聖典コーランや本の書写用としてイスラム世界に広まった。つやと張りがあり、墨やインクがにじみにくいのが特徴で、欧州にも伝わり洋紙の元となった。中国から製紙技術が伝わったとされ、750年代後半にイスラム世界初の製紙工場がサマルカンドにできた。しかし、ウズベキスタンの地は19世紀にロシアに征服され、その後、製造技術が途絶えたという。
県立芸大とウズベキスタン国立美術工芸大が4年前に学術交流を始め、翌年から柴崎教授が紙の復元や紙文化の広がりの解明を担ってきた。柴崎教授は、愛知県豊田市の「小原和紙」などの復興にも携わる。
9月、ウズベキスタンで購入した古い麻をオランダ製機械で10時間以上かけてすりつぶし、水に溶かして中国製の道具で1回くみ上げるだけの「溜(た)めすき」という技法を用いたところ、10~15世紀ごろに製造された紙に近づけることができたという。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20191202-00000012-asahi-soci
朝日新聞社