フィンランドでは季節によって「都市」と「田舎」を行き来する
9/7(土) 15:21配信
https://courrier.jp/expat/area/helsinki/80/7794/
Moi!(モイ!こんにちは)
今回は、ガイドブックには載っていない「フィンランドでぜひ訪れたいとっておき」の場所の一つ、Mathildedal(マティルデダル)という小さな村をご紹介したいと思います。ヘルシンキから車で西へ何もない田舎道をひたすら走ること2時間、車窓から見えるのは木、木、木、森です。
満開のひまわり、住民は自由に摘みに来ています。Photo: Yuko Räsänen
マティルデダルってどんなところ?
マティルデダル村は、ヘルシンキと旧首都であるトゥルクの間にある、サロ市に属し、もともとはスウェーデン語が主として話されていた地域で、製鉄所だった歴史ある建築物をそのまま残し、現在はアーティストの村として約100名ほどが住む小さな村です。(夏季は400名ほどが住んでいます)
村には、地元の手工芸品やアートギャラリー、アルパカ牧場と工場ブティック、地元の食材を使った美味しいレストランや可愛いカフェ、地ビール、ショコラティエ、夏の間は屋外シアターなどが点在し、盛り上がっています。
とても静かなかわいらしい村で、一年を通してフィンランド人の観光地、週末の旅先として人気というのが納得できます。目の前にはマティルダ湖が広がり、村の隣には壮大なテイヨ国立公園(Teijon Kansallispuisto)があります。
日本では、首都圏に人口が集中し地方の過疎化が進む一方で、都心から田舎暮らしを求める若い世代も多いようですが、フィンランドでは、サマーコテージを所有する人も多いため、夏の間は田舎暮らしを思う存分楽しむ若い世代が多いこと、そして、季節によって都市と田舎を行き来する生活が人気です。やっぱりフィンランド人には田舎や森の中が似合っていて、自然の中にいる彼らは生き生きしているように見えます。
ここでは自然の中で素朴だけど自分たちの生活ややり方に誇りを持ち、贅沢に生きるフィンランド人の生活を垣間見ることができます。良いところは、観光地化しすぎておらず、ありのままの村の姿を見ることができ、ちょっぴりユニークな工夫やおしゃれがプラスされたセンスの良さはフィンランドならではです。村のイメージ作りやブランディングも控えめながらとても上手にやっています。誰が来ても心地よく感じることができるのがこの村の魅力です。
ホテル マティルデダル Photo: Yuko Räsänen
元鉄工所を改装したホテル マティルデダルは合計8室しかないこじんまりとした家族経営のホテルで、まるで親戚の家に泊まっているかのようなアットホームな雰囲気です。キッチンのおじさんや受付のお姉さんが顔を合わすたびに笑顔で話しかけてくれます。朝食は、黒パン、チーズ、ジャム、サラミ、ジュース、卵など、すべて地元で採れた食材が出され大変美味しかったです。サウナは近くの森の中にありプライベートの湖で泳ぐこともできます。
見所はここ!Photo: Yuko Räsänen
水が豊かな国ですが、ホテルの目の前の小川には、水車が稼働しており、一日中この水の音が心地よく癒されました。
アルパカ工場 Photo: Yuko Räsänen
アルパカ牧場には現在約30頭のアルパカがいて、この工場は、フィンランドで唯一のアルパカの毛専用機械を揃えているそうで、工場の中も見学させてもらい、丁寧に説明してくれました。女性オーナーの犬3匹も工場やショップの中でのんびりと働いていました。
欲しいものがいっぱいの店内 Photo: Yuko Räsänen
工場の隣にはブティックがあり、ニット、スカーフ、帽子、冬用のスリッパなど品揃えが豊富。余分なものは一切使用せず、100%アルパカの毛で職人さんがハンドメイドされ、メイド・イン・フィンランドの高品質です。触るとふわふわ柔らかくとても暖かい、フィンランドの寒い冬もアルパカさんのおかげで乗り切れそうな商品ばかりです。
食べ頃を迎えた林檎の木 Photo: Yuko Räsänen
旬の林檎の木の下で、のんびりと手作りのベリーのケーキをいただきながらお茶をしました。
地元で人気のチョコレート屋さん Photo: Yuko Räsänen
テイヨ国立公園 とことん自然を楽しむ!
フィンランドには40の国立公園があります。マティルデダル村から車で5分の場所にあるテイヨ国立公園は、2015年に新しく国立公園として登録され、森・丘・岩石・湿原の木道・小川と様々な一面があり、トレッキング、カヌー、ボート、キャンプ、釣りなどのアクティビティが体験できます。私はこれまでフィンランドでは5つの国立公園を訪れましたが、ここが一番お気に入りです。何が魅力的かというと、女性でも歩きやすい木道、手入れされたトレッキングコースに、様々な自然の風景を楽しめることでしょうか。
水は透き通ってとても綺麗です。この日もひと泳ぎしました。Photo: Yuko Räsänen
天国に続く道みたいに歩いていると幸せな気持ちになるトレッキングコース!Photo: Yuko Räsänen
オススメはこの湿原の木道。今の時期はピンク色のKanerva(カネルヴァ)という綺麗な花が一面に咲いていて、長々と続く木道を歩きながら自然を全身で感じることができます。何と言っても空気が綺麗!深~い深呼吸をしたらすっかり元気になります。
森の中には、虫や蛇もいますが、基本的には安全です。フィンランド人の夫と森に入ると、普段とは違った一面、顔つきを見ることができ面白いです。「森の民」と呼ばれるフィンランドの人たち。全ての五感を使って風や匂い、音を察知し教えてくれます。蛇が出た時、私は恐怖でとっさに逃げましたが、夫は蛇を追っていました。(笑)そういう自然の中で夢中になれる姿を見ていると素敵だな、と思います。やっぱりフィンランド人は自然の中で過ごす時間が大好きなのでしょう。
ヘルシンキから少し田舎へ旅に出るのも良いかもしれません。また違ったフィンランドの一面を発見できると思います。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190907-00010004-courrier-eurp&p=2
ラサネン優子