世の中にあふれるさまざまな統計やデータ。これを基にしていろいろなランキングが作られるワケだが、中にはなぜそうなるのかの理由が、すぐにはわからないような“世にも不思議なランキング”がある。
TBSテレビ『世にも不思議なランキング なんで? なんで? なんで?』(次回は6月8日よる7時<一部地域はよる8時>放送)は、そんなランキングデータの謎を解き明かす番組だ。「なんで△△が○位にランクインしているのか?」。その裏側を探ると、驚きの事実が次々に明らかになってくる。取材班が直面した不思議なランキングの一端をご紹介しよう。
【写真あり】ほとんど自転車を見かけない沖縄の街
生活の足、自転車。1人1台を保有する家も少なくないだろう。しかし、日本最南端のリゾート地では、まるで事情が違う。沖縄県にまつわる興味深いランキングをご覧いただきたい。
■都道府県別・自転車店の店舗数ランキング
1位:東京都・・1015
:
45位:鹿児島県・・76
46位:長崎県・・・46
47位:沖縄県・・・32
(出典:総務省 統計局 2012年経済センサス)
青い空、世界トップレベルの海。美しい景色を堪能しながら自転車で走れば、さぞかし気持ちよさそうだ。ところが、実際にはサイクリングライフを楽しんでいる人の数は、全国で最下位なのだ。これにはどんな理由があるのだろうか? 取材班は沖縄へ飛んだ。
TBSテレビ『世にも不思議なランキング なんで? なんで? なんで?』(次回は6月8日よる7時<一部地域はよる8時>放送)は、そんなランキングデータの謎を解き明かす番組だ。「なんで△△が○位にランクインしているのか?」。その裏側を探ると、驚きの事実が次々に明らかになってくる。取材班が直面した不思議なランキングの一端をご紹介しよう。
【写真あり】ほとんど自転車を見かけない沖縄の街
生活の足、自転車。1人1台を保有する家も少なくないだろう。しかし、日本最南端のリゾート地では、まるで事情が違う。沖縄県にまつわる興味深いランキングをご覧いただきたい。
■都道府県別・自転車店の店舗数ランキング
1位:東京都・・1015
:
45位:鹿児島県・・76
46位:長崎県・・・46
47位:沖縄県・・・32
(出典:総務省 統計局 2012年経済センサス)
青い空、世界トップレベルの海。美しい景色を堪能しながら自転車で走れば、さぞかし気持ちよさそうだ。ところが、実際にはサイクリングライフを楽しんでいる人の数は、全国で最下位なのだ。これにはどんな理由があるのだろうか? 取材班は沖縄へ飛んだ。
「自転車屋が少ない」ということは、そもそも走っている自転車の数すら少ないのだろうか。取材班はまず、那覇空港から那覇市の中心街へ向かうまでに、何台の自転車とすれ違うかを数えてみた。
すると、なんと1台だけ。予想を超える少なさだった。沖縄一の繁華街、国際通りにも自転車は走ってない。さらに鉄道(沖縄都市モノレール、愛称:ゆいレール)の駅を見てさらに驚いた。自転車はおろか駐輪場自体がない。
沖縄県内の自転車店は約30店、人口は約140万人。ちなみに全国で最も自転車店の多い東京は約1000店、人口は約1300万人、規模だけでなく人口1人当たりに換算しても大きな開きがあり、沖縄の自転車店はやはり数少ない。
■ 「年2~3台売れればいいほう」
そんな沖縄の自転車店のひとつに事情を聞いてみると、「沖縄の人は自転車に乗らないため、かなりの数の自転車店が廃業してしまった」と教えてくれた。このお店では、「年に2~3台売れればいいほう」。それも沖縄では、自転車は生活道具ではなく、競技や趣味に使われることが大半のため、「10年前から、競技用の自転車専門店にして生計を立てている」のだという。
沖縄には自転車が普及しにくい環境要因がある。まず、日本一の暑さだ。沖縄気象台のホームページ(HP)には、「沖縄本島地方の年平均気温は23℃前後。東京や大阪に比べると、年平均気温は6~7℃高くなっています」という記載がある。たとえば東京でかなり寒さを感じる冬の2月に沖縄へ渡ってみると、現地には半袖で過ごしている人もいる。そんな暑さの中で自転車に乗るのは、なかなかきついだろう。
また、四方八方が海で囲まれた島国だということも関係している。1年を通して平均風速の数値も高く、それも海水の塩分を含んだ潮風が吹く。よって、沖縄では道路標識も車もさびまくっている。自転車にはさびやすい部品が多いため、普通に使っていても、半年ほどでさびだらけになってしまう
すると、なんと1台だけ。予想を超える少なさだった。沖縄一の繁華街、国際通りにも自転車は走ってない。さらに鉄道(沖縄都市モノレール、愛称:ゆいレール)の駅を見てさらに驚いた。自転車はおろか駐輪場自体がない。
沖縄県内の自転車店は約30店、人口は約140万人。ちなみに全国で最も自転車店の多い東京は約1000店、人口は約1300万人、規模だけでなく人口1人当たりに換算しても大きな開きがあり、沖縄の自転車店はやはり数少ない。
■ 「年2~3台売れればいいほう」
そんな沖縄の自転車店のひとつに事情を聞いてみると、「沖縄の人は自転車に乗らないため、かなりの数の自転車店が廃業してしまった」と教えてくれた。このお店では、「年に2~3台売れればいいほう」。それも沖縄では、自転車は生活道具ではなく、競技や趣味に使われることが大半のため、「10年前から、競技用の自転車専門店にして生計を立てている」のだという。
沖縄には自転車が普及しにくい環境要因がある。まず、日本一の暑さだ。沖縄気象台のホームページ(HP)には、「沖縄本島地方の年平均気温は23℃前後。東京や大阪に比べると、年平均気温は6~7℃高くなっています」という記載がある。たとえば東京でかなり寒さを感じる冬の2月に沖縄へ渡ってみると、現地には半袖で過ごしている人もいる。そんな暑さの中で自転車に乗るのは、なかなかきついだろう。
また、四方八方が海で囲まれた島国だということも関係している。1年を通して平均風速の数値も高く、それも海水の塩分を含んだ潮風が吹く。よって、沖縄では道路標識も車もさびまくっている。自転車にはさびやすい部品が多いため、普通に使っていても、半年ほどでさびだらけになってしまう
自転車の大敵がもうひとつ。それは道路事情。実は沖縄は坂道が多く、地元の人たちに聞くと道路に石灰岩を使っているため、非常に滑りやすく、雨が降ると自転車やバイクには乗らない人が多いそうだ。
道路事情の要因はほかにもある。それは自動車が普及しすぎていることだ。沖縄は自転車の代わりに普及している乗り物がある。軽自動車だ。こんなランキングがある。
■都道府県別保有車両に占める軽自動車の比率
1位:沖縄県(55.3%)
2位:高知県(54.0%)
3位:長崎県(54.0%)
(出典:軽自動車検査協会、2014年3月末)
沖縄では維持費が安く、手軽に乗れる軽自動車が人々の足になっている。その「車社会」は、ほかの都市とは、ある点で大きく違っているという。そのルーツは太平洋戦争にある。
■ 沖縄で先行した「モータリゼーション」
日本は戦争に負け、沖縄はアメリカに一時統治された。戦後の日本は、東京をはじめとする各都市で、まずは鉄道が敷かれ、次に車の道路がつくられるという順番で街づくりが進んだ。ところが、沖縄の街づくりは当時のアメリカが推し進めていた「モータリゼーション」の影響により、まずは車用の道路がつくられ、その後、電車が普及するという逆の順番になった。そして、沖縄は完全な車社会になった。
実は、沖縄に電車が走り始めたのは今からわずか12年前の2003年。それもレールを敷く用地がなく、街の上を通るモノレールになったという事情がある。
そんな車社会なので、沖縄の人は、自転車に乗ることはおろか歩くことさえ、面倒に感じているという説もある。その証拠に、沖縄のテレビ局が作ったCMのテーマは歩行推進だ。そして、こんなデータもある。
■肥満者の割合(男性20~69歳)
1位:沖縄県(45.2%)
2位:宮崎県(44.7%)
3位:栃木県(40.5%)
(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」2006~2010年)
取材班はひとつの仮説を立てた。それは
「沖縄の人はそもそも自転車に乗れないのでは?」
実際に現地の人を対象に調査してみた。「30年以上乗ってはいないが絶対に乗れる!」と言い張ったご婦人。その結果は……残念なことに。今度は15年ぶりの挑戦というオジサン、その結果は……またまた残念。驚くほど多くの人が自転車に乗れないことが判明した。
暑さ、潮風、車社会――。3つの要因が複合的に重なって、「自転車に乗れない大人」が珍しくない街が生まれた。日本でも有数のリゾート地、沖縄の知られざる姿である。
道路事情の要因はほかにもある。それは自動車が普及しすぎていることだ。沖縄は自転車の代わりに普及している乗り物がある。軽自動車だ。こんなランキングがある。
■都道府県別保有車両に占める軽自動車の比率
1位:沖縄県(55.3%)
2位:高知県(54.0%)
3位:長崎県(54.0%)
(出典:軽自動車検査協会、2014年3月末)
沖縄では維持費が安く、手軽に乗れる軽自動車が人々の足になっている。その「車社会」は、ほかの都市とは、ある点で大きく違っているという。そのルーツは太平洋戦争にある。
■ 沖縄で先行した「モータリゼーション」
日本は戦争に負け、沖縄はアメリカに一時統治された。戦後の日本は、東京をはじめとする各都市で、まずは鉄道が敷かれ、次に車の道路がつくられるという順番で街づくりが進んだ。ところが、沖縄の街づくりは当時のアメリカが推し進めていた「モータリゼーション」の影響により、まずは車用の道路がつくられ、その後、電車が普及するという逆の順番になった。そして、沖縄は完全な車社会になった。
実は、沖縄に電車が走り始めたのは今からわずか12年前の2003年。それもレールを敷く用地がなく、街の上を通るモノレールになったという事情がある。
そんな車社会なので、沖縄の人は、自転車に乗ることはおろか歩くことさえ、面倒に感じているという説もある。その証拠に、沖縄のテレビ局が作ったCMのテーマは歩行推進だ。そして、こんなデータもある。
■肥満者の割合(男性20~69歳)
1位:沖縄県(45.2%)
2位:宮崎県(44.7%)
3位:栃木県(40.5%)
(出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」2006~2010年)
取材班はひとつの仮説を立てた。それは
「沖縄の人はそもそも自転車に乗れないのでは?」
実際に現地の人を対象に調査してみた。「30年以上乗ってはいないが絶対に乗れる!」と言い張ったご婦人。その結果は……残念なことに。今度は15年ぶりの挑戦というオジサン、その結果は……またまた残念。驚くほど多くの人が自転車に乗れないことが判明した。
暑さ、潮風、車社会――。3つの要因が複合的に重なって、「自転車に乗れない大人」が珍しくない街が生まれた。日本でも有数のリゾート地、沖縄の知られざる姿である。
TBS『世にも不思議なランキング なんで?なんで?なんで?』取材班