一生で一番大きな買い物と言われる「おうち」。心からほっとできる場所「おうち」。その選択基準は人それぞれ。SoLライターはどんな基準で、どんなおうちを選んだか。タイプ別にお送りします。

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別にこれといってポリシーがあって、賃貸と決めているわけではない。けれど、特に強いマイホーム願望というものもなく、分不相応の借金は嫌だしそもそも三千万程度で納得のいく上物にあったことがないし、だったら賃貸の方が気楽でいいやというので現状の選択なのである。


今のところには気付けばもう丸4年も住んでいて、ちびっ子がいる家の割には収納が足りなくいつも「狭い狭い」と嘆いている。日当りは悪くないが隣の家は廃屋で、見るたび悲しい気分にさせられるボロボロの壁が目につく。1階に住む大家族は挨拶もせずメンチだけ切ってくるし、自転車置き場はぎゅうぎゅうの体で時々ちびっ子のバイセクルが飛び出していたりもする。


なんだかいいこと全然ないじゃん!……って気がするのだが、これも借り物だと思えばなぜかそうストレスにもならない。本気で嫌だと思えば引っ越せばいいだけなので気が楽なのだ。面倒な手続きもいらないし、税金だとか修繕費だとかは無縁の話。毎月決まりきったお家賃を振込んでその後はのうのうと暮らしていればよい。住んでいるときに言えば部屋の修理も大家ちゃんがやってくれるもんね。


その辺のユルさ、が結構いいんだな。


そしてこの、どこにでも行こうと思えば行ける、という気安さも代え難いものがある。持ち家があればきっと、ここで長く暮らしていくという生活設計を立てるだろうし、家への愛着に我を忘れてしまうかもしれない。でも今は特にそこまでの思い入れはない(当たり前だが)。強いて言えば仲良くなった隣家の人と別れるのもなんだかなぁ、と一瞬過る思いがある程度(うちのちびっ子の名前をパーフェクトに間違えている点も含めて)である。


ちびっ子が小学生にあがるまでは引っ越しもないだろう。とりあえずは不満足より満足がやや勝っているし、猫も慣れた家がいいだろうし、しばらくはこのまま様子を見ながら暮らしていこうと思う。機が熟せば次の住まいが現れるだろうから焦らずいくつもり。二人暮らしが三人暮らしになるかもしれないしね。



written by YUKAKO